2014年12月2日火曜日

岩村康弘博士の元素変換記事がIsotope Newsに掲載される

日本アイソトープ協会の広報誌であるIsotope News〔No.728〕2014年12月号の「展望」というセクションに、元素変換実験で有名な三菱重工業の岩村康弘博士の原稿が載りました。

論文ではなく一般向けの科学記事として、これまでの元素変換実験の結果を5ページに圧縮してまとめてあるので、オススメです。PDFとして無料でダウンロードできます。科学の世界でメジャーな広報誌に常温核融合の肯定的な実験結果が載るのは素晴らしいことだと思います。

http://www.jrias.or.jp/books/cat3/2014/728.html
Isotope News 〔No.728〕2014年12月号目次
展望
ナノ構造金属において重水素透過によって観測される“元素変換”現象について
岩村 康弘
この記事の最後の方で、MITの講演でも報告されていた元素変換反応の収量の格段の増加に触れられています(以下に引用します)。マイクログラムオーダーまで収量は増加しているようで、たいへん素晴らしい進展だと思います。
4 収量増大への取り組み
 これまでの反応収量は通常数ng〜数十ng オーダーに留まっており,実用化のためには,反応収量の増大が必要である。そのため,最近は実用化を目指した,変換量の増大研究に取り組んでいる。実験結果から,以下の要因が変換反応に重要であるという仮説を立てて研究を進めている。
 1)表面の重水素密度
 2)Pd 表面層の電子状態
 1)の重水素密度が高い方場合に変換量が増大することは重水素透過実験から確認できている。ただし,ガス透過法では付加できる圧力には限界があり,収率の飛躍的向上は困難と判断し,以降の重水素透過は電気化学的手法を採用し,等価的に高い重水素圧力を Pd 表面に加えることで重水素密度の向上を図った。図 8 は重水素のガス透過法と電気化学的手法を用いて透過的に重水素を高圧で透過させる手法の比較を示している。両者は重水素を透過させるという意味において同じであるが,表面の重水素密度が異なる。図 9 はこの両者の実験による元素変換反応の収量の違いをまとめたものである。このように従来 ng オーダーであった収量が電気化学的重水素透過法により 2〜3 桁程度増大していることが分かる。
以上



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