以下、特許出願書類から要点を引用します(赤字は引用者による)。
(19) 【発行国】日本国特許庁(JP)要約は以下の通りです。
(12) 【公報種別】公開特許公報(A)
(11) 【公開番号】特開2015-55527(P2015-55527A)
(43) 【公開日】平成27年3月23日(2015.3.23)
(54) 【発明の名称】高周波振動撹拌のエネルギーと、その撹拌機の振動羽根を両極として水の電気分解により発生するナノ・マイクロバブルの破裂エネルギーの共用で、ある元素から他の元素に変換させる技術及び処理方法、並びに放射性セシウム137及び134等の放射性物質の無害化する技術及び方法
(21) 【出願番号】特願2013-188323(P2013-188323)
(22) 【出願日】平成25年9月11日(2013.9.11)
(71) 【出願人】
【識別番号】392026224
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
【住所又は居所】東京都大田区久が原2丁目14番10号
【課題】ある元素から他の元素に変換させる技術及び処理法並びにセシウム134及びセシウム137などの無害化システム及び装置の提供。
【解決手段】システムは、処理槽1、高周波振動モーター3、前記モーター3に連結された処理槽1の下方へと伸長する2本の振動棒4及び振動棒4の下部に取付けられた多段式振動羽根5を含んで構成される高周波振動撹拌装置を備えている。前記モーター3を、インバータ6により制御して、処理槽1中の放射性物質を含む液中おいて多段式振動羽根5を100~200Hzの周波数で振動させることにより、放射性物質の無害化が進行する。更に、多段式振動羽根5を電極と兼用して電気分解することにより、その際発生するナノ・マイクロバブルの破裂により生成する強力なエネルギーにより元素の変換並びに無害化の効果が大幅に向上する。また、この元素変換技術はカルシウムを貴重なコバルトやニッケルへと元素変換することも可能である。
実施例に測定値が載っていました。
【実施例1】
【0033】
放射性セシウム137及び134を含有した汚染水を高周波撹拌装置で、160Hzの振動数にて、22日間、無害化実験した結果を表1に示す。
【0034】【表1】
【0035】
その結果、約3週間の処理での無害化率は約20%であった。
【実施例2】
【0036】
実施例1に電気分解を併用した無害化実験の結果を表2に示す(振動数は同じく160Hz)。
【0037】【表2】
【0038】
その結果、約2週間の処理での無害化率は約50%、さらに約2週間の処理でさらに約50%(処理前に対して約75%)であった。実施例1(無害化率20%)と比較すると、電気電解を併用すると無害化率が著しく向上することが判明した。このことにより、電気分解の際に発生するナノ・マイクロバブルの強力な破裂エネルギーの効果が確認された。
【0039】
表3に示すように、バブリング槽内のセシウム137は21~23Bq、セシウム134は10~12Bqでいずれも元の汚染水の約1/1000の濃度であり、電解により生成された酸水素ガス(OHMASA-GAS)に随伴される放射性元素量は僅かであることがわかる。
【0040】【表3】
【実施例3】
【0041】
実施例2と同じく電気分解を併用し、高周波撹拌機の周波数を120Hz、140Hz、160Hz(実施例2)、180Hz、190Hzに設定した無害化実験の結果を表4~表7に示す。
【0042】【表4】
【0043】【表5】
【0044】【表6】
【0045】【表7】
【0046】
この結果無害化率は周波数により大きな差が認められ、160Hz(実施例2)の場合の無害化率が最も高かった。
上記で、振動周波数が高ければ高いほど効果が高い訳では無い、という所が面白いですね。160Hzの場合が無害化率のピークになっています。
【実施例4】
【0047】
次に、実施例2と同じく高周波撹拌及び電気分解併用して温度40℃、80℃に設定して無害化試験を行った。その結果を表8、9に示す。
【0048】【表8】
【0049】【表9】
【0050】
この結果、表8、9に示すようにセシウム137無害化率は74%及び72%、セシウム134ではいずれも73%であり、温度による影響は認められなかった。
【実施例5】
【0051】
セシウム133(試薬)を用いて、高周波撹拌及び電気分解併用でセシウム1133の元素変換実験を行ったところ、表10に示すように、約2週間の処理でセシウム133が、バリウムそしてプラチナに元素変換することが確認できた。なお、中間の値が最終の値より大きいのはさらに別の元素に変換がされた結果と推測される。
【0052】
元素分析に使用した測定器は、横河アナリティカルシステム(株)製のICP質量分析装置(HP-4500、形式:NIGC16190 SD)を用い、セシウム133を350mg/Lの濃度となるように、3%のKOH水溶液に溶解し、0.5Lの試料を採取して測定した。
【0053】【表10】
【実施例6】
【0054】
更に、元素変換を確認するために0.5%の塩化カルシウム水溶液を、実施例5と同じ装置を用いて高周波撹拌及び電気分解併用で元素変換実験を実施したところ、約20日間の処理で以下に述べるように元素変換が確認された。
【0055】
元素分析は、実施例5と同一の測定器を使用して、同一の条件において測定した。その結果を表11に示す。この表から、20日後にカルシウム濃度は大幅に低下し(2800→1800mg/L)、代わりに鉄(<10→7700μg/L)、銅(3→370μg/L)、コバルト(1→270μg/L)及びニッケル(12→14000μg/L)の濃度が増加していることがわかる。特に、鉄及びニッケルの濃度の増加が著しい。このことから、高周波撹拌及び電気分解併用により、カルシウムが主としてニッケル及び鉄に元素変換されたと考えられる。
【0056】【表11】
【実施例7】
【0057】
実施例6において、「カルシウム」を極めて価値のある「ニッケル」や「コバルト」に元素変換できることが実証された。そこで、カルシウム源として、一日の排出量が数十トンから数百トンともいわれる処理費用が膨大で問題となっている鶏卵の殻を、粉砕機により粒径数μm~数十μmに粉砕して、純水に投入して10~30%の濃度のスラリー状として、実施例6と同様に処理して、貴重なコバルトやニッケルに変換する実験を行った。表12に示すように、20日の処理の結果、カルシウムの濃度が減じ(3200→2500mg/L)、その代わりにコバルト(<1→1800μg/L)及びニッケル(<1→11000μg/L)の濃度が増加しており、この実施例でもが元素変換が確認された。
【0058】【表12】
以上