2015年3月31日火曜日

東北大学電子光理学研究センターとクリーンプラネット社が凝縮系核反応研究部門設立

東北大学電子光理学研究センターと株式会社クリーンプラネットは、4月1日に新たに「凝縮系核反応研究部門」を共同で設立すると発表しました。凝縮系核反応の基礎研究と応用開発研究を同時に開始するとのことです。
「凝縮系核反応」とは、いわゆる常温核融合を指します。常温核融合は今や正しいとは言えない俗語なので、正式名称には相応しく無いという判断なのでしょう。

いよいよ日本でも公式に常温核融合を研究する部門ができたというのは、たいへん素晴らしいニュースです。今後の発展に期待したいと思います。


東北大学からのプレスリリースWebページ


東北大学からのプレスリリース(PDF)


クリーンプラネット社からのプレスリリース(PDF)


クリーンプラネット社からの英文プレスリリース(PDF)


クリーンプラネット社のFacebookページから


クリーンプラネットは、4月1日から、国立大学法人東北大学と、同大学電子光理学研究センターにおいて新たな研究部門を設立し、革新的なクリーンエネルギーの創設に向けての共同研究を開始します。この共同研究は、4年間行うことが予定されており、「凝縮...
Posted by Clean Planet Inc. on 2015年3月30日


Clean Planet Inc. and Tohoku University are launching “CleanEnergy Research Lab” at Tohoku University on April 1st,...
Posted by Clean Planet Inc. on 2015年3月29日


以上

2015年3月29日日曜日

ICCF-19のプログラムの詳細が公開される

ICCF-19のプログラムやポスターセッションの概要が公開されつつあります。
全体スケジュールは以下のようになっています。


それぞれの発表セクションの中身も公開されています(まだ決まっていない空白スケジュールが残っていますが)。以下、曜日毎に見ていきます。

月曜日:
岩村康弘博士が東北大学に立ち上がる常温核融合研究の取り組みについて話されるようです。非常に楽しみです。

火曜日:
東北大学電子光理学研究センターの笠木治郎太博士、豊田中央研究所の日置辰視博士、テクノバの北村晃博士の発表があります。

水曜日:

木曜日:
注目したいのは、放射能の低減研究の2つの発表です。
Vysotskii Vladimir博士:
Transmutation of Cs133 isotope to Ba Nucleus During Growth of Methanogenic Bacteria of Sea Sludge
(海の泥にいるメタンを生成するバクテリアの成長中に起こるCs133同位体からBaへの核変換)

Goryachev Igor Vitalievich博士:
Technology of Environmentally Clean Remediating Radioactive Waste Based on Low Energy Transumation of Radioactive Nuclides
(常温核変換に基づく放射性廃棄物の環境浄化テクノロジー)


金曜日:
テクノバの高橋亮人博士の発表があります。


ポスターセッションおよび口頭発表のアブストラクトのタイトルは以下で分かります。ポスターセッションには、Parkhomov博士も登場しています。



以上

Parkhomov博士の常温核融合炉実験の報告

2015年3月26日にロシアの Alexander G. Parkhomov博士が、数日間にわたって行ったロッシ風の常温核融合炉の実験報告を行いました。既に昨年末に成功していた実験の延長にあるものですが、大きく改良された結果となっています。この報告は、以下の点で今後世界中に追試の動きを広げていく大きな原動力になると思います。
  • 長時間、安定した過剰熱を発生できたこと。
  • 短時日で、おそらくParkhomov博士一人の工夫で改善できていること。
  • 炉をガレージワーク(たぶん自宅の実験室)で作れていること。誰にでも入手できる材料を使っていること(毒性があるので取扱注意の材料はあるが)。
  • 商用を目指すロッシ氏は中核のノウハウを秘匿しているが、Parkhomov博士は科学者の立場であり、全ての材料・プロセスをオープンにしていること。

この講演に関する情報は以下にあります。多くのボランティアが英訳や情報拡散に協力しており、深く感謝します。

主だった資料を以下に挙げます。

講演のビデオ(ロシア語なので中身は理解できませんが・・・)
このスクリプトは ここ にあります。




プレゼンテーション資料の英訳




講演内容を英語文書にまとめたもの

以上

2015年3月23日月曜日

JCMNS Vol15. (Proceedings of ICCF-18)が発行されてました

気づかないうちに、国際常温核融合学会の学会誌であるJCMNSの第15巻が発行されていました。中身は国際常温核融合学会第18回大会(ICCF-18)のProceedingsとなっています。


Vol 15.の目次は以下のようになっています。盛りだくさんです。
(末尾の数字はページ番号です)

RESEARCH ARTICLES

Flux Effects in Metal Hydrogen Loading: Enhanced Mass Transfer 1
M.C.H. McKubre and Francis L. Tanzella

Nuclear Products of Cold Fusion by TSC Theory 11
Akito Takahashi

Anomalous Exothermic and Endothermic Data Observed by Nano-Ni-Composite Samples 23
Akito Takahashi, A. Kitamura, R. Seto, Y. Fujita, Taniike, Y. Furuyama, T. Murota and T. Tahara

Energetic Particles Generated in Earlier Pd + D Nuclear Reactions 33
D.Z. Zhou, C. Wang, Y.Q. Sun, J.B. Liang, G.W. Zhu, L.P.G. Forsley, X.Z. Li, P.A. MosierBoss and F.E. Gordon

Excess of Power during Electrochemical Loading: Materials, Electrochemical Conditions and Techniques 44
V. Violante, E. Castagna, S. Lecci, F. Sarto, M. Sansovini, T.D. Makris, A. Torre, D. Knies, D. Kidwell, K. Grabowski, D. Dominguez, G. Hubler, R. Duncan, A. El Boher, O. Azizi, M. McKubre and A. La Gatta

Conservation of E and M, Single Cavitation Heat Events 55
Roger S. Stringham

Amplification and Restoration of Energy Gain Using Fractionated Magnetic Fields on ZrO2–PdD Nanostructured Components 66
Mitchell Swartz, Gayle Verner, Jeffrey Tolleson, Leslie Wright, Richard Goldbaum and Peter Hagelstein

Imaging of an Active NANOR®-type LANR Component using CR-39 81
Mitchell R. Swartz, Gayle Verner, Jeffrey Tolleson, Leslie Wright, Richard Goldbaum, Pamela Mosier-Boss and Peter L. Hagelstein

Incremental High Energy Emission from a ZrO2–PdD Nanostructured Quantum Electronic Component CF/LANR 92
Mitchell Swartz

Entrepreneurial Efforts: Cold Fusion Research at JET Energy Leads to Innovative, Dry Components 102
Mitchell Swartz

Femto-Helium and PdD Transmutation 106
A. Meulenberg

Pictorial Description for LENR in Linear Defects of a Lattice 117
A. Meulenberg

Radiation Coupling: Nuclear Protons to Deep-Orbit-Electrons, then to the Lattice 125
A. Meulenberg

Revisiting the Early BARC Tritium Results 137
Mahadeva Srinivasan

Piezonuclear Fission Reactions Simulated by the Lattice Model 149
A. Carpinteri, A. Manuello, D. Veneziano and N.D. Cook

Hydrogen Embrittlement and Piezonuclear Reactions in Electrolysis Experiments 162
A. Carpinteri, O. Borla, A. Manuello, D. Veneziano and A. Goi

Neutron Isotope Theory of LENR Processes 183
John C. Fisher

Pressurized Plasma Electrolysis Experiments 190
Jean-Paul Biberian, Mathieu Valat, Walter Sigaut, Pierre Clauzon and Jean-François Fauvarque

Numerical Modeling of H2 Molecule Formation within Near-surface Voids in Pd and Ni Metals in the Presence of Impurities 195
O. Dmitriyeva, R. Cantwell and M. McConnell

Possibility of Tachyon Monopoles Detected in Photographic Emulsions 203
Keith A. Fredericks

A Mass-Flow-Calorimetry System for Scaled-up Experiments on Anomalous Heat Evolution at Elevated Temperatures 231
A. Kitamura, A. Takahashi, R. Seto, Y. Fujita, A. Taniike and Y. Furuyama

Hydrogen Absorption and Excess Heat in a Constantan Wire with Nanostructured Surface 240
U. Mastromatteo, A. Bertelè and F. Celani

Celani’s Wire Excess Heat Effect Replication 246
Mathieu Valat, Ryan Hunt and Bob Greenyer

Water-free Replication of Pons–Fleischmann LENR 256
William H. McCarthy

Surface Preparation of Materials for LENR: Femtosecond Laser Processing 268
Scott A. Mathews, David J. Nagel, Brandon Minor and Alberto Pique

LENR Excess Heat may not be Entirely from Nuclear Reactions 279
David J. Nagel and Roy A. Swanson

The Case for Deuteron Stripping with Metal Nuclei as the Source of the Fleischmann–Pons Excess Heat Effect 288
Thomas O. Passell

Explaining Cold Fusion 295
Edmund Storms

Progress in Development of Diamond-based Radiation Sensor for Use in LENR Experiments 305
Charles Weaver, Mark Prelas, Haruetai Kasiwattanawut, Joongmoo Shim, Matthew Watermann, Cherian Joseph Mathai, Shubra Gangopadhyay and Eric Lukosi

Investigation of Possible Neutron Production by D/Ti Systems under High Rates of Temperature Change 314
Charles Weaver, Mark Prelas, Joongmoo Shimn, Haruetai Kasiwattanawut, Shubhra Gangopadhyay and Cherian Mathai

Lessons from Cold Fusion Archives and from History 321
Jed Rothwell

以上

HydrobetatronもCOP=2.26を達成との知らせ

イタリアで常温核融合装置Hydrobetatron(ハイドロベータトロン)の作成を進めているOpen Power Associationから、E-Cat WorldのFrank Aclandさんの所に連絡があったそうです

それによると、HydrobetatronでCOP=2.26の過剰熱発生に成功しているとのこと。タングステンパウダーと水素を使ったテストを行っていて、タングステンパウダーとアルゴンを使った対照系と比較しているとのことです。

まだ現象の解析中で、実験結果全体は4月に開かれるICCF-19で発表するとのこと。これまた楽しみな話題です。

ちなみに、Hydrobetatronは、最初はATHANORという名前で呼ばれており、イタリアの工業高校で試作されたのが始まりです。日本の水野博士・大森博士が考案した、タングステン電極とグロー放電を使った常温核融合方式を使っているのが特徴です。




以上

2015年3月22日日曜日

ナノ銀による放射線低減実験~応用光研FNF-401を使った測定

久しぶりに、ナノ銀による放射線低減現象の実験結果を投稿します。
応用光研工業株式会社の出しているFNF-401というかなり精度の高い測定器を使用して2012年11月8日に計測された実験結果を阿部宣男博士からいただいたので以下にまとめます。

FNF-401の設置写真

測定は以下の2ステップで行われました。
  1. 二本松市の一般のご家庭から採取したセシウム汚染土壌25gの放射線量を測定
  2. この汚染土壌25gにナノ銀を担持させたコラーゲン溶液40cc(約40g)を添加し、計65gとなった試料の放射線量を測定
上記2回の測定結果データをSPViewerというツール可視化したものを以下に置きました。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/95398078/SPViewer/spviewer.html

複数のデータを表示する機能を使って2回の測定結果データをグラフにしたのが以下の図です。放射性セシウムに特徴的な3つのピークがそれぞれ減少している事が見てとれます。

2つの測定結果の比較

上記のデータから、1回目と2回目で試料の質量が変わっている事に注意して、それぞれの試料に含まれていたセシウムのベクレル数を比較してみます。

1回目:汚染土壌25g

日時:2012/11/08 10:15:39
質量:25g
測定時間:1800秒
Cs-134: 121912Bq/kg
Cs-137: 232378Bq/kg
したがって、25gの試料全体に含まれるセシウム量は、
Cs-134: 121912 Bq/kg × 0.025 kg = 3048 Bq
Cs-137: 232378 Bq/kg × 0.025 kg = 5809 Bq

2回目: 汚染土壌25g + ナノ銀コラーゲン液40cc(40g)

2012/11/08 11:27:32
質量:65g (ナノ銀溶液40gを付加)
測定時間:1800秒
Cs-134: 42055Bq/kg
Cs-137: 79941Bq/kg
したがって、65gの試料全体に含まれるセシウム量は、
Cs-134: 42055 Bq/kg × 0.065 kg = 2734 Bq
Cs-137: 79941 Bq/kg × 0.065 kg = 5196 Bq

したがって、2回の間のセシウムの減少率は以下の通り。(時間間隔は1時間12分)
Cs-134の減少率: 2734/3048 = 89.7%
Cs-137の減少率: 5196/5809 = 89.4%

10時15分から11時27分まで1時間余りしか経っていないにも関わらず、89.7%や89.4%といった率でベクレル数が減少するのは、何か異常な現象が起こっていると思われます。また、Cs-134とCs-137という異なる同位体が同じような率で減少しているのも非常に興味深い現象です・・・ナノ銀は特定の放射性同位体に選択的に効果を及ぼすのではなく、複数の放射性同位体に同じように効果を及ぼしているように見えます。

FNF-401のような精度の高い測定器があると、減少率を継続的に計測するなど、様々な検証が可能になりそうです。もし、FNF-401をお持ちの研究室があれば、是非、追試に取り組んでいただきたいと思います。

ちなみに、FNF-401の説明書には以下のような利点が記されています。強力な遮蔽によってバックグラウンドの影響を抑えている点が素晴らしいと思います。
  • 検出限界値が低い(1kg の試料を 1000 秒測定した場合 10Bq/kg まで測定出来る)
  • シンチレータが大きい(φ3 インチ×3 インチ) (精度を上げる為の部品選定。効率が良い測定が出来る)
  • 鉛遮へいが厚い(5cm) (バックグラウンドが低いので、より正確な測定が出来る)
  • 上部から下部まで鉛で遮へいされている (バックグラウンドが低いので、より正確な測定が出来る)

以上

2015年3月20日金曜日

Parkhomov博士が長時間の過剰熱発生に成功(COP=3)

ロシアのParkhomov博士がまたもE-Cat風の常温核融合炉の実験に成功したようです。以下がその写真です。



このニュースを最初に報じたのは以下のサイトのようですが、ロシア語なので殆ど分かりません。


で、これを英語で報じてくれているのが、 Peter Gluckさんの以下のサイトです。感謝!


今回の実験のポイントは以下の通りです。

  • 長時間テストに成功。March 16, 23:30から開始して、March 19, 10:00現在まで続いているとのこと。
  • 12時間かけて段々と加熱し、March 16, 23:30時点で1200度に到達。
  • 加熱パワーは300WでCOP=3。つまり、300Wの入力に対して3倍のエネルギー出力が得られている。
  • 今回、気圧測定をしていて面白い挙動が観測されています。徐々に加熱していくフェーズでは200度で5bar程度だったのが、気圧減少が起こり、1000度では負圧になったと。

そして、この成果は、3月26日に開催されるCOLD NUCLEAR FUSION AND BALL LIGHTNINGS SEMINARで発表されるそうです。以下のようなプログラムが載っています。

  1. 16:00 - 16:10 Nikolai Samsonenko  (from the university): "Remembering Alexander Borisovich Karabut"
  2. 16.10-17.30 M.Ya.Ivanov, V.K. Mamaev, Central Institute of Aviation Engines Building, Moscow: "Elements of LENR theory and their verification" 
  3. 17:30- 18:00 A.g. Parkhomov: "About the results of long time testing of the new variant of analog of the Rossi reactor"
  4. 18:00- 18:10 meeting of the redaction board.

実に楽しみな状況になってきましたね。追試に取り組んでいる多くの研究者を勇気づけるでしょう。

以上

【追記】
MFMPによると、入力300Wで1200度に到達(対照系では1070W必要だった)。その後、3月20日10:50(モスクワ時間)にヒーターが破損して中断したが、ヒーターを交換したら無事に再起動でき、1日おいて再開してなおも実験継続中のようです。こんなに安定して高出力が続くとは驚きです。
この件については以下で報じられています。MFMPの文書は、この常温核融合炉の作成方法を詳しく記述しています。

http://www.e-catworld.com/2015/03/21/mfmp-reports-parkhomov-breakthrough-90-minutes-of-excess-heat/

https://docs.google.com/document/d/1BbE6V6HKHC3NOOSJmI9QEgP3H5EXcuGDPNn5Oc787RQ/edit

以上

2015年3月8日日曜日

Parkhomov博士の常温核融合炉実験論文

Parkhomov博士のE-Cat風の常温核融合炉の実験結果をまとめた論文が「International Journal of Unconventional Science」誌に載りました。


特に新しい情報はないようですが、論文としてまとまった形になって良かったと思います。論文のPDFは以下のリンクでダウンロードできます。
http://www.unconv-science.org/pdf/7/parkhomov-en.pdf

以上

ロシアでは追試に向けた新たな挑戦が始まっている

MFMP(マーチン・フライシュマン博士記念プロジェクト)の面々がモスクワまで行ってParkhomov博士に会ったというニュースがありました。おそらくその時に、MFMPのBob GreenyerさんはロシアでE-Cat風常温核融合炉の追試を進める人たちと知り合ったようです。

ロシアの科学者達は、Parkhomov博士の追試結果を前向きな興味を持ってとらえているようで、色々と新しい追試のアイデアが出てきているようです。以下のE-Cat Worldの記事に紹介されていたのは、常温核融合反応を起こすために必要な素材を固めて「燃料パレット」にしてしまうアイデアのようです。「LockTherm LLC」という会社がスポンサーになっているとのこと。こうやって参加者が増えて沢山のアイデアが試されるようになると、進化速度が上がりそうですね。
http://www.e-catworld.com/2015/03/07/russian-team-creating-lenr-fuel-pellets-bob-greenyer/


以上