2011年7月25日月曜日

常温核融合技術が原発と電力利権を滅ぼす

サッカーの世界では大躍進が見られて嬉しかったのですが、福島原発事故については放射性物質汚染が広がるばかりで、無為無策の政府・行政に憤りを感じます。今回の事故では、放射能汚染予測システム(SPEEDI)の情報が隠匿され徒に被曝を拡大したばかりか、土壌や食料品の汚染度の計測を積極的に行わなず、対策らしい対策は打たれていないのが現状だと思います。

国家プロジェクトとも言うべき原子力発電に対して、これほどまでに危機管理能力が無いことが分かった以上、原発は廃止すべきです。今のまま運用を続ければ、また重大な事故が起こるのは目に見えています。

しかし、脱原発のデモや市民運動が高まっても、実際にそうするのは難しいのが現実でしょう。事故原因の究明や責任者の処分が済まない内に、休止中の原発を再稼働させ、従来通りの原発推進をしていこうという動きが出てきています。この原因をネットゲリラさんが見事に喝破しています。
■引用開始(赤字は引用者) 
大事なコトなので何度でも書くんだが、「原子力」とか「流域下水道」とかいう巨大なシステムを作って国民を中央集権的に管理する事で、役人とか政治家というのは自分の「仕事」というか「縄張り」を形成してきたわけだ。そういう集中型の施設でないと、お上が管理しきれない。あちこちで勝手に発電したり、下水処理されては、役人の出番も税金の出番もない
でも、問題は、消費者にとって安いとか高いとか、そういう事じゃない。個人の屋根のうえで発電されたんでは、税金も取れないし、天下りも出来ないw 今までは、電気は東電経由で役人や政治家のフトコロを潤し、それにガソリン代で税金取りまくっていたのが、みんなパーです。自分ちの屋根のうえで発電した電気で電気自動車動かされては、ガソリンで取っていた膨大な税金も取れないし、これ以上太陽光発電のコストが安くなれば、都会でマンションに住んでいる人以外はみんな、生活にかかるエネルギー・コストが途方もなく安くなる。 
■引用終了

上記の指摘は本質を衝いていると思います。しかし、そういう本質があるにしても、原発には、夢のエネルギーとして推進されてきた表向きの理由がちゃんとあります。発電費用の安さと安全性です。

前者については、原発の1 キロワット時(kWh)あたりの費用は、火力の半分以下であり、水力と比べても安いと算出されています(※1参照)。廃炉までの放射性物質の処理費用や事故処理費用を考慮していないという批判があり、実際にはもっと多額の費用がかかるでしょう。しかし、そういった負の側面を勘定しなければ費用は他の発電方式に比べて安いのです。

後者の安全性についても、原料の採掘から始まる電力供給のライフサイクル全体で見ると、テラワット時当たりの死傷者数は桁違いに原子力が小さいという試算があります(※2)。これも、チェルノブイリや今回の事故によってもたらされた被害を参入すれば、こんなに小さくて済む筈はないと思います。しかし、逆に、原料となる石炭や石油を大量に採掘・輸送しなければならない火力発電が多数の犠牲の上に成り立っているのも厳しい現実です。費用の問題を別にして、脱原発で火力発電量を増やすのも手放しでは喜べないのです。

また、代替エネルギーとして期待される風力発電や太陽光発電にも、供給が安定しないとか、発電できる場所が限られるといった課題があり、急速な置換えは難しいだろうと思います。

しかし、常温核融合技術による発電によって事情は一変します。なぜなら、発電費用が他の方式に比べて圧倒的に安く、しかも安全性も高いからです。(※3)

E-Catの発電費用は、1キロワット時当たり1セント(約1円)と主張されており、これは、安いと言われる原子力発電の5分の1の価格です。今のE-Catが本当にこれだけの低価格を実現できるのかについて、まだ信頼できる根拠は出ていません。しかし、以下のHank Mills氏の記事が示すように、原材料はニッケルパウダーの加工品、秘密の触媒と水素です。加工と触媒にかかる費用も原材料費の10%以下と言われており、いずれ安い価格に落ちていくのは確実だと思います。ちなみに、核反応は化学反応よりも、質量あたりの発生エネルギーが10万~100万倍大きいので、火力発電等に比べると、まさに「桁違い」に効率が良く、原材料が少なくて済むのです。(これは原発の発電費用が小さくなる要因でもあります)


さらに、E-Catに用いられた技術は非常に安全です。簡単に遮蔽できる程度のガンマ線しか観測されておらず、放射性廃棄物も出ません。石炭・石油のような煤煙も発生しません。原材料の量も少ないので、石炭・石油の採掘・輸送のような危険な作業も少なくて済みます。

これだけ見ても常温核融合による発電の優位は明らかです。そして、もう一つ、決定的な要素があります。E-Catのように「小型化できる」、という事です。E-Catのモジュールは、下の写真のように人間が手で持てるほどの大きさです。これを並列に沢山並べることで、大容量のエネルギーを発生させようとしています。


ネットゲリラさんが指摘されているように、従来、発電事業は膨大なインフラ(発電設備・送電網など)を必要とするために、一部の(準)公共企業に独占されてきました。しかし、常温核融合発電が実用化すれば、今のコジェネレーションシステムのような形で、地域や企業といった単位で小さな発電所を運営できるようになっていくと思います。

この世界では、もはや東電のような巨大企業は不必要です。電力の「中央集権」は崩壊していくでしょう。インドや中国のように、人口に比して電力インフラが整っていない国々では、各家庭が小さな発電機を持つようになるかもしれません。下の写真はホンダのエネポですが、この中身が常温核融合発電装置になれば、半年間燃料交換不要で発電を続け、燃料費も激安という製品が実用化されるのではないでしょうか。


長々と書いてきましたが、常温核融合技術は、世界のエネルギーインフラを変えます。
普及が進めば、世界中の原発は自然に停止に追い込まれるでしょう。理由は簡単です。利用者は安くて安全なものを求めるという単純な経済原則に従ってそうなるのです。

日本のみなさん、早く、この革命的な技術と、その意味に気がついてください。この技術によって、危険な原発も、馬鹿馬鹿しい電力利権も葬ることができるのです。

最後に、PES Networkに載っていた「Hitler Panics Over Rossi's Energy Catalyzer」というパロディ動画を紹介します。これは、「ヒトラー 最後の12日間」という名作映画の中で追い込まれたヒトラーが激昂するシーンに、E-Catに追い込まれている既存エネルギー産業という想定のセリフを英語字幕でかぶせたものです。元のシーンは深刻なのですが、このパロディは思わず笑ってしまいます。私が一番笑ったのは、以下のセリフです。

Woman comforting crying girl - "Don't worry, you still have time to sell your shares in Exxon-Mobile..."
(泣いている女性を慰める・・・「心配しないで。まだあなたのエクソンモービルの株を売る時間はあるわよ」)






以上

【※1】発電方式別の発電コストの比較



【※2】発電方式別の死者数の比較
安全性については、実は原子力が最も人命の犠牲が少ないと見られている事が、「金融日記」というブログに指摘されています。今回の福島原発事故のような大規模災害の長期被害を参入すると、原子力の犠牲者数は跳ね上がる可能性があると思いますが、かといって、他の発電方式の犠牲者数が下がる訳ではありません。
■引用開始 
火力や水力と比べて原子力ははるかに人命の犠牲が少ない発電方法で、そのことはエネルギー政策担当者の間では常識なんですけど、知らない人が意外と多いようなので今日は各エネルギー源でどれぐらいの人が死ぬのかを簡単に計算したいと思います。実は原子力は、風力やソーラーよりも死ななければいけない人の数が少ないんです。 
■引用終了

この「テラワット時当たりの死傷者数」については、以下のサイトにデータが載っています。



ちなみに、世界のエネルギー供給量の内訳を見ると、実は圧倒的に石油・石炭・天然ガスが多く、原子力はわずか6%に過ぎません。




【※3】常温核融合と他のエネルギー源の比較
Jed Rothwell氏の「未来を築く常温核融合」からの引用です。








2011年7月24日日曜日

イタリアで開かれた常温核融合の公開セミナー

イタリアのヴィアレッジョという都市で、この週末に常温核融合の公開セミナーが開かれるという告知がE-Cat Fusionに載っていました。常温核融合に興味を持つ研究者が集まって、Focardi博士のインタビューを流したり、Celani博士の話があったりしたようです。


で、早速、22passiブログのDanielさんがそのレポートをブログにアップ。世界中からリアルタイムにニュースが集まり、イタリア語でもギリシャ語でもGoogle様にお願いして英語に翻訳できるとは便利になったものです。(日本語の翻訳は精度が低くて残念ながら使えません・・・)
長いレポートで、ほとんど中身を読めていませんが、以下の写真を見ると盛況だったようです。(上の写真が開始15分前の会場の様子)


このレポート、時間の逆順に並んでいるのですが、目についた(私にとって)面白い記事を抜書きしました。日本語は私のコメントです。



19:49 - He wonders whether there are correlations between earthquakes and cold fusion reactions. Celani says he's been detected correlation between earthquakes and emissions of tritium that could be explained by the phenomena of cold fusion.

Celani博士が地震とトリチウムの発生の関係に言及したらしく驚きました。たしか、初期の頃に、ジョーンズ博士が地震とヘリウムの発生について調べていたように思います。これは別の観点で非常に興味深い現象です。


18:26 - The search for Piantelli, after a pause and the end of the collaboration with Focardi, has started a couple of years ago, thanks to the emergence of a lender, convinced the company to participate in the uninterrupted functioning for two years of two cells, both well with the excesses of the order of a few tens of watts. A new company Nickenergia (?) Has formed an ad hoc 5 months ago [Defkalion seem to compete] and other industries would be giving the rights to produce different types of reactors (more or less powerful).


ニッケル・水素系の常温核融合反応を追っている別のベンチャー「Nickenergia社」があって、ここでも違うタイプの装置が研究されている? のかも。



18.12 - The military interest seems particularly justified by the possibility of producing tritium at very low cost through the merger (the tritium is used to maintain operational thermonuclear warheads).


軍の興味は、安価なトリチウム製造にある?



17.53 - Arata was the first, working with powders of Palladio, to understand that the cold fusion reaction increased with decreased particle size, but to a certain point: the ideal range is 5-15 nanometers. Smaller sizes become counterproductive,


荒田吉明博士は、やはり、パラジウムのナノパウダーを使った先駆者で、5~15ナノメートルの大きさが良く、それ以上小さいとかえってダメになると発見したと認知されているようです。

そろそろ寝ます・・・

以上

2011年7月18日月曜日

eCatNow! (E-Cat関連ニュースのポータルサイト)

最近、日本以外では、E-Catの情報を発信するブログが増えてきました。そんな中、eCatNow! というポータルサイトが立ち上がりました。E-Cat関連のニュースチェックに役立ちそうです。


ここには以下のサイトからの情報が集められるようです。


FREE ENERGY TRUTH
http://FreeEnergyTruth.blogspot.com

NY TEKNIK
http://www.nyteknik.se

NEW ENERGY TIMES
http://www.newenergytimes.com

PESWIKI
http://www.peswiki.com

COLD FUSION NOW
http://coldfusionnow.wordpress.com

ECAT NEWS.COM
http://www.ecatnews.com

ECAT NEWS.NET
http://www.ecatnews.net

NEXT BIG FUTURE
http://nextbigfuture.com

CLEANTECH BLOG
http://www.cleantechblog.com/

E-CATWORLD
http://www.e-catworld.com


以上

ICCF-17は韓国で開催(2012年8月12~17日)

岩村康弘博士のICCF-16報告書~韓国は国家プロジェクトを始動か」でも触れたように、韓国政府が常温核融合研究に力を入れるため、次回のICCF-17の開催地に立候補したと伝えられていました。
凝集系核科学国際学会(ISCMNS)のホームページをチェックした所、既に韓国での開催の告知が出ていました。2012年8月12日~17日、韓国のDaejeon Convention Centerで開催されます。日本からも近いのでニュースが増えることを期待しましょう。


Daejeon Convention Centerは色々と科学技術関係のイベントが開催されているようで、ググってみると昨年は以下のような催しも行われたようです。大きな会場があるようです。


以上

2011年7月17日日曜日

JCF-12は12月に神戸で開催予定

日本の常温核融合の研究会であるJCF(Japan CF-research Society)の第12回年会が今年12月に開催されるそうです。今回は神戸での開催です。
開催案内は以下のページに載っています。
http://jcfrs.org/NEW.HTML

開催案内部分は以下の通りです。
JCF12(CF研究会第12回年会)開催御案内
日時:平成23年12月17日(土)~12月18日(日)
会場:神戸大学・深江キャンパス
JCF12 会場責任者:北村晃(神戸大学大学院海事科学研究科)


詳しい情報は、 http://jcfrs.org/jcf12.pdf に載っています。今まで聴講した事はないのですが、一度聞きに行ってみたいものです。

以上

E-Cat/Energy Catalyzerの検索頻度

Googleによる検索頻度グラフです。期間とした、Energy CatalyzerとE-Catは2011年を、LENRと常温核融合は全期間を指定しています。「常温核融合」の2008年のピークは、おそらく荒田吉明博士の公開実験と水野忠彦博士のWeb記事による盛り上がりだと思います。「LENR」の2009年のピークの原因は良く分かりません。


「Energy Catalyzer」: http://bit.ly/oxCCf0
「E-Cat」: http://bit.ly/np1U2B
「LENR」: http://bit.ly/nJX72z
「常温核融合」: http://bit.ly/qIjN51

以上

2011年7月3日日曜日

AmpEnergo社はアメリカ大陸向けのE-Cat商用化を担当

Cold Fusion Nowの「AmpEnergo claims the Western Hemisphere」という記事を見て気が付きました。


デフカリオン社は、ギリシャにあって、米国以外の商圏へのE-Cat提供を行うのですが、米国についてはAmpEnergo社がE-Catの提供を行うと発表されています。そのAmpEnergo社のホームページに6月27日付けでアメリカにおけるE-Catの商用化を行う旨のプレスリリースが掲載されていました。



従来、AmpEnergo社は米国(アメリカ合衆国)を商圏とすると理解していたのですが、このプレスリリースには北米・中南米・カリブを含む「in the Americas, including North America, Central America, South America, and the Caribbean.」と書いてあります。これはプレスリリースの方が正しい情報なのでしょう。

以上

ロッシ氏のE-Cat発明に先立つ研究成果

ロッシ氏の発明は素晴らしいものですが、ロッシ氏が突然思いついたという類のものではなく、過去の常温核融合研究の積み重ねの上に花開いた発明だと思います。
5月6日にJedさんがvortex-lに投稿した記事に、ロッシ氏が参考にしたのではないかと思われるニッケル・水素系の研究論文が紹介されています。
論文URL: http://www.lenr-canr.org/acrobat/CampariEGphotonandp.pdf


これは、2004年にフランスのマルセイユで開催されたICCF-11(下の写真)で発表されたもので、9名の著者の中には、ロッシ氏の共同研究者であるFocardi博士とロッシ氏と特許争いをしているPiantelli博士がいます。


この論文では、ニッケル・水素を使った長時間のエネルギー発生の実験例が出てきます。一つは278日間で900MJを生成した例で、もう一つは319日間で600MJを生成した例です。Fig. 6は、発熱の測定結果のグラフです。発生熱量の大きさと発生時間の長さから、非常に素晴らしい実験成果だと思います。

http://imgur.com/6Leou.jpg


ちなみに、この実験では目に見える大きさのニッケルを使っていたようですが、ロッシ氏はナノパウダーを使っています。これは、荒田吉明博士の成果(パラジウムのナノパウダーと重水素を使った反応系の考案)を参考にしたのではないかと勝手に推測しています。

E-Catが有名になれば、今まで埋れていた研究成果が再び脚光を浴びて、新たなアイデアの源泉になっていくのではないでしょうか。常温核融合科学全体の発展のためにも、是非、E-Catには成功を収めて欲しいと願っています。

以上