【2年前に書いた記事です。若干修正しましたので日付を変えて再掲しました】
もう5年以上前の話になりますが、近年の常温固体核融合に対する認知の高まりを示す出来事として、2004年3月に英国での「凝集体核科学国際学会」(ISCMNS)の発足が挙げられると思います。ホームページは以下にあります。
The International Society for Condensed Matter Nuclear Science
A Registered Charity limited by Guarantee registered in England No.514306
この学会設立の中心人物であったW.コリス(William Collis)氏が、設立集会の晩餐会で行った演説の内容が、水野忠彦博士著の「
常温核融合 研究者たちの苦闘と成果」のP238に載っていました。研究者の「思い」が感じられて、短くも感動的なメッセージだったので引用させていただきます。
■引用開始
今まで常温核融合は大変ひどい扱いを受けてきた。個々の研究者はお金も地位も研究する場所もなかった。ましてや論文を主要な学会誌に送っても受理されることはきわめてまれであった。さらに、学会で発表することも難しかった。
しかし、今までの15年にわたる努力によって、常温核融合がはっきりと確認された。これによって、ついに凝集体核科学国際会議が英国の公式会議として設立できた。この学会を中心としてさらに発展していこう。もっと多くの会員を集めよう。今まで常温核融合に反対であった科学者でも受け入れていこう。そこになんの差別もないのだ。科学の発展のために、民主的に、開放的に、自由に、これからは進んでいこう。
■引用終了
このISCMNSの初代会長には日本の高橋亮人博士が選出されています。また、この学会の与えた第一回のG. Preparata Awardは、岩村康弘博士と水野忠彦博士が受賞されています。JCFのMLに投稿された高橋博士の記事から引用させていただきます。
■引用開始
JCF会員のみなさん:
Good Newsです。2004年3月20-21日にイタリアのAstiでおこなわれる第5回ASTI会議で凝集系核科学国際学会(ISCMNS)が発足します。この学会の賞として、G. Preparata AwardをCF研究の進展に貢献の高い研究者に送ることとなりました。第一回の受賞者に日本から、岩村康弘さん(三菱重工)と水野忠彦さん(北海道大学)が1,2位で決まりました。他の受賞者は、De Ninno (ENEA), Hagelstein(MIT)です。3月20日にISCMNS会場で授与されます。このPreparata賞はイタリアの理論物理学者でCF研究に貢献の高いGiuliano Preparata(数年前に逝去)を記念するものです。この賞は以前のトリュフ賞(過去4回授与)が名前を変えたもので、日本からは高橋亮人(大阪大)が1995年の第二回に受賞しています。ISCMNSには、岩村、水野、高橋、らが参加の予定です。
高橋 亮人 (大阪大学)
■引用終了
さて、この受賞者一覧が載っているISCMNS Prizesのページ(
http://www.iscmns.org/prizes.htm)を見ると、2008年に「Minoru Toyoda氏」の貢献を記念して鋳造されたGold Medalが載っています。まだ受賞者は決まっていないようです。
が、高橋亮人博士が有力候補のようです(←この記述は私の誤読です。申し訳ありません。訂正してお詫びします)。
■引用開始
Profile of late Minoru Toyoda (1916-1992):
He was the former president of Aishinseiki Co., one of Toyota Group Big Companies. He was also founder of IMRA-Japan, IMRA-Europe, Technova Inc., TEET Foundation, and others which have supported CMNS/CF research activities since 1989 through now (2007-2008):
a) ICCF3 at Nagoya was financially supported by his aid.
b) IMRA-Japan started CF research soon after Fleischmann-Pons announcement in 1989.
c) IMRA-Europe provided CF research laboratory to stay and study for Dr. S. Pons, Dr. M. Fleischmann, Dr. E. Yamaguchi, and others who have made great scientific contribution for CMNS/CF experimental studies.
d) IMRA-Japan provided laboratory building for the New Hydrogen Energy Project(1993-1998) of Japanese Governmental Budget (MITI/NEDO). Many Japanese and over-sea researchers stayed in Shin-Sapporo NHE laboratory for the Project.
e) The TEET (Thermal and Electric Energy Technology) Foundation has been awarding Grant-in-Aid for several selected CMNS/CF researchers in Japan every year since 1993).
f) Technova Inc. is a Think-Tank including activity in new energy researches as CMNS/CF.
■引用終了
■引用開始
そもそも同社がこのような機械を作るようになったのは、豊田稔元社長の「革新的な研究をして、世の中に貢献しよう」という考えが元になっている。そこで米国に先進的な研究所を設立。それがIMRA AMREICAの前身だった。ちなみにIMRAの「M」は稔の頭文字から取っているそうだ。
■引用終了
【訂正:2011-09-17】
ここで言及されているIMRA社はイムラアメリカ社と書きましたが、コメント欄で、欧州での研究開発及び調査を行っているIMRA EUROPE S.A.S.社の方であるとご指摘をいただきました。ありがとうございました。上記の記事を一部訂正しました。
核融合の研究を行っていたのは、IMRA EUROPE S.A.S.です。
http://www.imra-europe.com/
フランスにあります。
IMRA EUROPE S.A.S.とIMRA AMERICA .INCは、別々の会社です。
IMRA EUROPE S.A.S.は、欧州での研究開発及び調査を、
IMRA AMERICA .INCは、米国での研究開発及び調査
を、行っています。
以上