2016年7月11日月曜日

ナノ銀によるゴミ焼却灰の放射線低減実験(2)

2013年5月に以下のような記事を書き、ゴミ焼却灰に対してナノ銀を施すと、放射線が低減するのではないかという実験結果を紹介しました。

素人が知りたい常温核融合: ナノ銀によるゴミ焼却灰の放射線低減実験
http://amateur-lenr.blogspot.jp/2013/05/decontaminating-radioactive-ash-of.html

この実験に対して、以下のまとめのコメント欄で疑問があるとの意見がありました。このまとめで扱った室内での実験とは異なるので、まとめの趣旨に変更はありませんが、この疑問について考察してみました。

ナノ銀による放射線低減現象の検証実験では対照実験も行われていますよ - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/980202


結論として以下と考えます。
  • ゴミ焼却灰実験での対照系の設計や測定方法には問題があり、この実験ではナノ銀と一緒に投入した溶液や骨炭の影響を除外できない。この実験だけでナノ銀による放射線低減があるとは言い難い。
但し、こういった実践的なフィールド実験で効果を検証する意義は大きいと思っており、効果を示すのに失敗したデータであっても公開する姿勢は非常に重要だと思います。
また、この実験には問題がありましたが、その後、条件を制御しやすい室内で行われた実験では対照系も測定方法も改善され、より精度の高い設計と実測がなされています。

この測定結果レポートは、松崎いたる区議に対する名誉毀損訴訟で裁判所に提出された原告側資料の中にあります。但し、この資料の公開は原告側の了解を得たものではないので、敢えて元のURLは示さず、この記事の末尾に実験レポートの画像を載せました。非公開が前提であり、プライバシー侵害のおそれのある裁判資料をそのまま公開する松崎いたる区議に姿勢には疑問を感じます。

測定結果レポートの冒頭には、以下のように記載されています。
立会者(測定方法指導) 岩崎 信(元東北大学教授)
しかし、岩崎博士本人に確認したところ、岩崎博士は現場で立ち会っていたが、実験目的設定や実験の実施要領に関して関与していなかったとのこと。また、この時点(2012年3月28日)では、ナノ銀の実験や課題についてほとんどご存知なかったとの事です。
したがって、この実験には、岩崎博士の持つ放射線計測の専門家としてのノウハウは活かされていませんでした。

ホタル飼育の繁忙期であった阿部博士には余りお話を伺えてませんが、この測定は制約の厳しい環境で行われたとのこと。フィールド実験の難しさがあったようです。

以下に問題点の一例を挙げます。

1)実験A(対照系)で放射線量が下がっていない

3.6リットルの水を下から注入していますが、以下のように施行30分後の方が放射線量が高くなっています。
施行前:4.82μSv、施工直後:4.38μSv、施行30分後:4.93μSv

本来、水も遮蔽効果を持つので、放射線量は下がると想定されるのですが、下がっていません。原因は不明ですが、下から注入した水が焼却灰に混ざっていなかったのかもしれません。この状況ですと、同等の条件での比較が難しくなると思います。

2)実験B(本実験系)で注入された遮蔽物がAと同等ではない

実験Bでは以下を注入しています。対照系との違いをできるだけ「ナノ銀だけ」に近づけるためには、Aに入れるものはナノ銀を担持しないコラーゲン溶液と、ナノ銀を担持しない骨炭であるのが望ましいのですが、そうなっていません。
ナノ純銀担持コラーゲン溶液 (10ppm) 3.0リットル
ナノ純銀担持骨炭 3.0kg
但し、ナノ銀担持コラーゲン溶液はほぼ水と同密度らしいので、同量の水を対照系で使う近似はあり得ると思います(遮蔽の強さは殆ど物質の密度で決まるため)。

しかし、Aの水の量とBのナノ銀担持コラーゲン溶液の量は異なっており、またBのナノ銀担持骨炭に相当するものがAには入っていません。

したがって、実験Aと実験Bの差を見ても、それが遮蔽物による差なのか、ナノ銀による差なのかの判別が非常に難しいのです。

以上

実験レポート(9ページ): 松崎いたる区議に対する名誉毀損訴訟で提出された証拠書類













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