2012年9月3日月曜日

デフカリオン社の論文に見るHyperionの動作

デフカリオン社は、NIWeek 2012とICCF-17で、開発中の常温核融合装置Hyperionの実現方法に関する論文とスライド(発表資料)を公開しました。これらの原本はデフカリオン社が再開したフォーラムからアクセスできるようになっています。

論文は以下のようにまとめられています。


スライドは以下のようになっています。


この中で素人ながら面白かった点を以下に挙げます。
まず最初に、常温核融合を起こす準備として、水素分子(H2)を水素原子に分離し、励起された状態にするために、プラズマ放電を使っていると書かれています。これはロッシ氏のE-Catでは言及された事のない方式です。論文から引用します(赤字は引用者による)。
Molecular Hydrogen (H2) needs to “break” to its atomic form. Several chemical, electrochemical and plasma methods are available. In Hyperion reactors the atomic H has to be “excited” to its Rydberg state. Its electron’s trajectory becomes elliptic, so the atom behaves like a dipole. Such dipoles can be polarized and “guided” to a target. At first, we introduced the plasma ignition method (DC pulsed at 24KV/22mA at some KHz) to produce glow discharges in a high pressure (2-8bar) hydrogen envelope, by use of specially shaped tungsten and TZM electrodes, resulting in the above.
次に、ニッケルパウダーを使っているのですが、そのまま使うと常温核融合反応には「稠密すぎる」との判断で、何らかの方法でより疎な結晶構造に変換しているようです。論文から引用します。
We realized that nickel crystals (raw material of 5 microns powder) were “too dense” to act in a LENR reaction, as we desired. We introduced a method to turn the Ni Face Centered Cubic crystals close to a C4 or a Pm3m structure, removing all of the face atoms and some Ni atoms in the edges, using a proprietary technique.
で、このような処理の結果、ニッケルの表面は、1グラム当たり48平方メートルの広大な面積を持つようになると。ちなみに、このような環境をNAEと呼んでいるようで、大きなキーワードとして論文に使われています。プレゼン資料から引用します。
As a result, Ni, other agents and ceramics create a 48m2/gr surface of NAE (Nuclear Active Environment)
その後、常温核融合反応を起こすまでの手順が書かれた後、その結果がまとめられています。
以下は、Hyperionの発熱テスト結果です。これを見ると、反応装置内部の温度は180℃〜849℃、外部に取り出せる温度は65℃〜616℃となっています。COP(効率)は、最大で22倍となっており、非常に良いパフォーマンスを発揮しているように見えます。

また、以下はテストを行う前後のNAEの成分分析のようです。特に太字で示された元素について量が変化しており、核変換を示唆するデータだと見ているようです。私は専門家ではないので、この分析の妥当性やレベルの高さは良く分かりませんが、全体として詳細に分析されており、理論詳細は不明でも、どうやれば反応を制御できるかを解き明かしているように思えます。


以上


3 件のコメント:

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  2. フルビデオ http://www.youtube.com/watch?v=zGrTWCcsYk8&feature=plcp


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