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2015年8月30日日曜日

ロッシ氏のE-Catの中核技術を記した特許が米国で成立

2015年8月25日に、ロッシ氏の常温核融合装置E-Catの中核をなす特許が米国で成立したとのニュースがMats Lewan氏のサイトに載りました。


この特許の権利者は、ロッシ氏のLeonardo社となっています。なかなか認められず、成立までに時間がかかりましたが、これでロッシ氏は知的財産権を保護することができ、今後のビジネス化に向けた大きなステップとなりました。

この特許にはE-Catの中核のリアクターの構成と燃料の内容が書かれているために、常温核融合ウォッチャーの注目を集めています。早速、燃料組成を題名にしたスレッドも立ち上がっています。

http://www.lenr-forum.com/forum/index.php/Thread/1950-Huge-News-E-Cat-US-Patent-granted-50-Ni-20-Li-and-30-LiAlH4/?pageNo=1

特許を見ると、以下の図3が構成を示しています。燃料をサンドイッチのように挟んで、さらにNo.34のヒーター層の上下を燃料層で挟む(No.36とNo.38)という構造のようです。


燃料の組成については以下に出ています。ニッケル50%、リチウム20%、LiAlH430%が適しているとのこと。この情報はこれから行われるであろう追試にも大きな影響を与えるでしょう。



以上

2015年2月22日日曜日

水野忠彦博士のグロー放電による新しい常温核融合炉の特許

水野忠彦博士が発明者で、水野博士の水素技術応用開発株式会社と株式会社クリーンプラネットが出願人となっている新たな国際特許が公開されています。国際公開番号は WO2015/008859 です。


以下が要約部分です(赤字は引用者による)。いわゆる常温核融合反応のことを「トンネル核融合」と呼んでおられるようです。おそらく、「ホスト金属中でのクーロン障壁について」で書いた、金属中に原子核がある場合におこるトンネル効果を意図された用語だと思います。
要約: より安定的に従来に比べて熱を発生することができる反応体、加熱装置及び加熱方法を提供する。この反応物(26)が表面に形成されたナノサイズの金属ナノ粒子(金属ナノ突起)を含む水素貯蔵金属を含み、水素原子が反応に金属ナノ粒子に格納されている場合、そのように重水素ガス雰囲気の反応炉内に配置される(26)において、電子は、強く、周囲の金属原子と他の電子によって影響を受けた金属ナノ粒子は、のように重い電子が作用し、前記結果として、金属ナノ粒子中の水素原子の間の核間距離を収縮させることが可能となるトンネル核融合反応の発生の確率を高めるため、これにより、より安定的に従来に比べて熱を発生するようになっている。
この特許で示された方式には幾つかの特徴があります。まだ余り読めていませんが、私が気付いた点を以下に挙げます。

特徴の1点目は、グロー放電を使った常温核融合反応炉であることです。これは[0021]に記載されています。
[0021] ここで本発明では、電極として機能する反応体26の表面に、ナノサイズでなる複数の金属ナノ粒子を形成することで、重水素ガス雰囲気中で巻回型反応体25及び反応体26によりグロー放電を発生させた際、金属ナノ粒子中に水素原子が吸蔵され、ナノサイズの金属ナノ粒子内の電子が周囲の金属原子や他の電子から強く影響を受けて重電子として作用し、その結果、金属ナノ粒子内での水素原子間の核間距離が縮み、反応炉2内において中性子を放出しながら熱を発生させる核融合反応を起こさせることができる。
特徴の2点目は、「プラズマ処理」によって、電極の表面に金属ナノ粒子構造を増やしたり、金属表面の酸化皮膜を除去して反応性を上げる工夫です。これは[0022]に記載されています。
[0022] 因みに、この実施の形態においては、後述するプラズマ処理を行うことにより、反応体26を反応炉2内に設置した後に、当該反応体26の表面にナノサイズでなる複数の金属ナノ粒子を形成するが、本発明はこれに限らず、反応体26を反応炉2内に設置する前に、反応体26に対してスパッタ処理や、エッチング処理等を行い、当該反応体26の表面にナノサイズでなる複数の金属ナノ粒子を予め形成しておき、当該金属ナノ粒子が表面に形成されている反応体26を反応炉2内に設置するようにしてもよい。但し、この場合であっても、重水素ガス雰囲気中で巻回型反応体25及び反応体26により炉内にグロー放電によるプラズマが発生した際に、水素原子が金属ナノ粒子内に吸蔵し得るように、後述するプラズマ処理を行い、反応体26の表面の酸化被膜を除去し、表面の金属ナノ粒子を活性化した状態にする必要がある。
特徴の3点目は、リチウム等の元素を添加することで反応を促進できるとしている点です。これは[0039]に記載されています。
[0039] なお、反応体26は、重電子水素原子間の核融合反応発生確率を増やすために、例えばアルカリ類や、アルカリ土類原子(例として水素原子構造を持つ、Li、Na、K、Ca等)を金属ナノ粒子の表面に添附してもよく、これにより金属ナノ粒子中での電子の受け渡し作用を大幅に増加させることができ、一段と核融合反応発生確率を上げることができる。本発明の発熱装置1では、このようにして核融合反応を安定的に起こさせ、核融合反応時に生成される大きなエネルギーによって、安定的に発熱し得る。
特徴の4点目は、この反応によって中性子の発生を計測しており、かつ、放電電圧によって中性子発生量を制御しているとしている点です。これは、[0042][0043]に記載されています。
[0042] これとは別に、発熱反応処理を行うため、反応体26を反応炉2から取り出すことなく、上述したように電極対に1[kV]を印加してグロー放電を発生させ続け、反応炉2内を10^-6気圧程度とし、ガス供給手段3により反応炉2内に重水素ガスをガス圧10^-2気圧で供給した。これにより発熱装置1では、1~2分後に中性子測定手段19によって中性子が測定された
[0043] 次いで一旦、グロー放電を中止し、反応炉2内に重水素ガスを補給した後、十分に電極対を冷却し、再び電極対に1[kV]の電圧を印加してグロー放電を発生させた。これにより中性子測定手段19によって、再び中性子を測定し始め、この後、中性子を数時間継続して測定した。ここで、中性子の測定結果を図3に示す。図3に示すように、この発熱装置1では、グロー放電を起こさせるために電極対に電圧を供給した後から急激に中性子が発生していることから、反応炉2内で中性子発生を伴う核融合反応が起こっていることが推測できた。また、このような中性子の発生数は、電極対の放電電圧によって制御でき、電圧の指数関数で発生中性子数が増加することが確認できた。なお、安定的な中性子の発生は、電圧の供給により、10^6個が得られた。発熱反応を200秒間継続させたときの反応体26の単位面積あたりの中性子発生量を計算したところ10^5個であった。 
図3

以上に挙げた特徴のうち、中性子発生を制御できるとしている点は、常温核融合炉に新たな応用を切り拓く可能性がある非常に重要な特徴だと思います。今後の動向を気にしておく必要があるでしょう。

また、ちなみに、もちろん過剰熱検出の結果についてもデータが示されています(表1や表3)。



以上



2014年11月10日月曜日

E-Catの特許の所有者はIPH International BV社?

前の記事で紹介したロッシ氏の特許について、出願者がIndustrial Heat社からIPH International BV社に書き換わっているという重大な指摘がE-Cat Worldに出ました
以下がE-Cat Worldに引用されている特許の出願書類ですが、たしかにIndustrial Heatが見え消しされて書き換えられています。出願書類全体は ここ で参照できます。


また、奇妙なことに、アドレスは書き換えられておらず、「111 East Hargett St, Raleigh, NC」と、Industrial Heat社のアドレスのままになっています。

では、新たに特許の権利者となっているように見えるIPH International BV社が何者か・・という点について、先ほどのE-Cat Worldの記事は色々な情報を集めてくれています。


という事で、残念ながら、依然として正体は謎に包まれたままです。いったい何者なのか非常に気になりますね。


以上

2014年11月9日日曜日

ついに公開されたロッシ氏のE-Catの米国特許

ロッシ氏のE-Catの方式を記したと思われる米国特許が公開されたのが見つかって、ウォッチャーは盛り上がってます。

公開された特許は ここ で参照できます。またPDFファイルは、 ここ で参照できます。
名称は「DEVICES AND METHODS FOR HEAT GENERATION」です。冒頭部分を引用します。Industrial Heat社が出願者になっています(赤字)が、これについては更に新しい発見があります(後述)。
United States Patent Application 20140326711 
Kind Code A1 
Rossi; Andrea November 6, 2014 
DEVICES AND METHODS FOR HEAT GENERATION  
Abstract
A reactor device includes a sealed vessel defining an interior, a fuel material within the interior of the vessel, and a heating element proximal the vessel. The fuel material may be a solid including nickel and hydrogen. The sealed vessel may be sealed against gas ingress or egress and may contain no more than a trace amount of gaseous hydrogen. The sealed vessel is heated with an input amount of energy without ingress or egress of material into or out of the sealed vessel. An output amount of thermal energy exceeding the input amount of energy is received from the sealed vessel. The fuel material has a specific energy greater than that of any chemical reaction based energy source. 
Inventors: Rossi; Andrea; (Miami Beach, FL) 
Applicant: Industrial Heat, Inc. Raleigh NC US   
Assignee: LEONARDO CORPORATION Miami Beach FL 
Family ID: 1000000535808 
Appl. No.: 14/262740
Filed: April 26, 2014
特許の中には、昨年の第三者検証の時と同じように見える写真が載っています。

また、以下のような構造図も載っています。この特許の出願時には三相交流を使っていたようです。


この特許の中には、COPが11.07だという記述があります。素晴らしい効率です。
[0221] The following was taken into account:
Ea=140.70 kWh=140700 Wh
COP=(117426+1440113)/140700=1557539=11.07 
まだ公開されていない以下の特許が関連特許として挙げられています。
61818553 May 2, 2013
61819058 May 3, 2013
61821914 May 10, 2013 
E-Catの特許が公開され始めた事によって、常温核融合の実用化競争は新たな局面に入るかもしれません。常温核融合装置へ適用できる新たな機器の特許を取得したり、E-Catの追試を行った上で、E-Catの特許に抵触しない新たな方式を考える人が出てきたり、様々な動きが加速すると思われます。面白くなってきました。

最後に、多くのウォッチャーがこの特許を記事にしていますので、ご紹介しておきます。

E-Cat Worldの記事
A New Patent Application Published for Andrea Rossi’s E-Cat
http://www.e-catworld.com/2014/11/06/andrea-rossis-new-patent-application-published-for/

Facebookのグループ
Cold Fusion, LENR and Andrea Rossi
https://www.facebook.com/groups/ECat.LENR/permalink/1016691335013437/

メーリングリスト
[Vo]:New Rossi Patent Appln..publishes Today
https://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg99591.html

E-Catの追試に乗り出しているMFMPの投稿
The HOTCAT Patent application is published... - Martin Fleischmann Memorial Project
https://www.facebook.com/MartinFleischmannMemorialProject/posts/861995693831131

Notes on patent application: []=Project Dog... - Martin Fleischmann Memorial Project
https://www.facebook.com/MartinFleischmannMemorialProject/posts/862010367162997

COP of 11.07 claimed in effectively a mass flow... - Martin Fleischmann Memorial Project
https://www.facebook.com/MartinFleischmannMemorialProject/posts/862046710492696

Key takeaways from Patent application... - Martin Fleischmann Memorial Project
https://www.facebook.com/MartinFleischmannMemorialProject/posts/862055713825129

ちなみに、プロジェクト名の「Project Dog Bone」は、先日の第三者検証で用いられたE-Catの形状が犬の(咥えている)骨に似ている所から来ています(笑)。

以上