Scientific Americanに載った以下の記事によると、雷が起こっている時には、実はX線やγ線も放出されているとのこと。観測機器の精度が上がって来て、どうやら多くの雷で起こっている現象だと分かってきたそうです。水野忠彦博士がグロー放電を使った過剰熱生成の実験を思い出してしまいますね。
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有償の記事なので、以下に二箇所からごく一部を引用します。研究していくと様々な予想外の現象が発見されて、理論仮設の修正が続いているようです。自然界には解明できていない現象がまだまだ多いのですね。興味のある方はご購入ください。
2010年にはノルウェーのベルゲン 大学でデータの再解析が行われ,測定機器の飽和現象による影響を考慮する と,発生源の高度はより低いと考えら れることが明らかになった。結局,地球ガンマ線発生源の推定高度は2年足らずで50km以上も下降した。これほど急激なパラダイムシフトが起こるのは科学の世界では珍しい。
10年前に私たちがこの分野に足を踏み入れた当時,スプライトは大気中で高エネルギーの放射線を発生させる存在として一躍脚光を浴びていた。それが今では雷雲や様々な種類の大気発光,はたまた実験室で起こるスパーク現象まで,ほとんど何もかもが検出可能なレベルのガンマ線を出しているら しいと判明したのに,スプライトがそ の仲間に入っていないというのは皮肉な話だ。スプライトが放射できるエネルギーは低く,地球ガンマ線とは無関係というのが現在の定説になっている。
地球ガンマ線の研究は,雷鳴轟く嵐の中で凧を揚げて雷が放電現象であることを証明したといわれるフランクリ ン(Benjamin Franklin)の仕事を引 き継いでいるといえる。驚いたことに,フランクリンの凧揚げ実験から2世紀半がたった現在でも,雷雲からガンマ 線が出ている原因はおろか,通常の稲妻がどのようにして発生するのかさえ完全にはわかっていない。以上