2012年8月14日火曜日

Hot Catはクリーン、高温、単純、小型の常温核融合反応炉

NIWeekで出た常温核融合関連のニュースが整理できていないうちにICCF-17が始まってしまいました。実は、NIWeekの期間中にもう一つの重大ニュースがインターネットの常温核融合ウォッチャーの間で大きな話題になっていました。
ロッシ氏のボローニャにある試験場で撮影されたと思われる通称「Hot Cat」の写真とその驚くべきスペックが「Cures」という謎の人物によってリークされたのです。以下がその写真です。検証された情報ではなく、真偽は不明ですが、色々な状況からインチキとも思えません。逆に、本当の情報だからこそ、その重大な意味に耐え切れずリークしてしまったとの観測もあるのです。

この件は、PESNのHank Mills氏によって詳しく取り上げられています。

この記事の中に、リークされた情報が載っています。例によって勝手な和訳をつけて紹介します。

  • It is relatively small. Actually, it is much smaller than previous E-Cat modules.
    (このモジュールは比較的小さい。従来のE-Catモジュールよりも随分小さい)
  • It consumes only a few grams of nickel powder and a tiny amount of regular hydrogen gas.
    (このモジュールは数グラムのニッケルパウダーとほんの少しの水素ガスを消費する)
  • It produces kilowatts of excess power (not even factoring in self-sustain mode).
    (このモジュールは、キロワットレベルの過剰熱を生成する)
  • It can achieve very, very high temperatures.
    (とても、とても高い温度を発生する・・・※別の情報から1200℃と思われます)
  • It no longer requires any form of liquid cooling to remain stable.
    (液体による冷却無しでも安定して動作する)
  • It emits no radiation into the environment and releases zero pollution.
    (放射線を発生しない。 汚染はゼロ)
  • It leaves behind zero nuclear waste, and the transmutation product (copper) can be recycled.
    (放射性廃棄物を生成しない。そして、核変換された生成物(銅)は再利用できる)

これが本当なら、かつて人類が手にした最良・最強のエネルギー生成方式と言っても過言ではないでしょう。従来のE-CatやHyperionよりも高い温度になるため、効率的な発電や強力なタービンの駆動が可能になります。
真偽はまだ不明です。実験データが出てこない限りは、これ以上の詮索は無意味でしょう。ロッシ氏が9月に予定しているカンファレンスと発表内容に期待しましょう。

ネット上では、このCuresという人物の素性をめぐって憶測が行われていましたが、あっさりとロッシ氏が正体を明かしました。以下の記事には、そのDomenico Fioravanti氏の経歴とロッシ氏の関係(推測を含む)が詳しく書かれています。 彼は熱力学の専門家であり、軍隊でColonel(大佐)の地位を得た人物とされています。2011年10月28日に行われた1MW E-Cat顧客による検証テストに立ち会った謎の人物としても知られています。おそらく彼は顧客である軍隊のコンサルタントを努めているのだろうと推測されています。この記事はとても興味深いので是非ご一読をおすすめします。

http://pesn.com/2012/08/13/9602161_Details_Provided_about_Hot_Cat_Test_Data_Leaker/

以上

2012年8月12日日曜日

原発パブコメ出してきました

今後の原発のあり方について、政府が意見募集しています。通称パブコメ。以下に出し方が丁寧に解説されています。今日の18時が締め切りだったので、慌てて提出してきました。
http://publiccomment.wordpress.com/

以下、私の提出した意見です。
<概要>
私は原発ゼロシナリオを選択します。更に、クリーンで持続可能なエネルギー源の開発のために、常温核融合への研究開発促進策の立案と実行を国に要求します。
<意見>
エネルギー・環境に関する選択肢 パブリックコメント
私は原発ゼロシナリオを選択します。

原発は、その運用の中で汚染や被曝を生み出すだけでなく、処理技術が開発されていない放射性廃棄物を後世にツケとして残します。私達が今を快適に生きるために、私達の子どもや孫の世代に膨大な負債を押し付けるべきではありません。即刻、原発を停止し、火力発電等の代替策で2〜3年を凌ぐと共に、新しいエネルギー源開発のために全力を尽くそうではありませんか。
今まで、このような新エネルギー源開発は不可能だと思われてきました。しかし、23年前に発見され、当時は間違いだったと思われた常温核融合(コールド・フュージョン)の実現性が急速に高まってきています。今ではLENR(低エネルギー核反応)やCMNS(凝集体核科学)と呼ばれるようになった常温核融合は、核エネルギーを取り出す非常にエネルギー密度の高い反応であるにも関わらず、従来の原子力や熱核融合と異なり、放射性廃棄物を出しません。しかも、原材料はニッケルや水素など、誰でも入手できる素材であり、寡占による高価格化や枯渇を心配する必要がありません。さらに、非常に小さい装置で反応を起こせるため、家庭用や車載に適した数KW〜数十KWの発電装置を作ることができます。
常温核融合は、1989年にポンズ博士とフライシュマン博士によって発見されましたが、その後、追試の再現性が悪かったために、発見は誤りだったと一般的に信じられるようになりました。しかし、否定できない実験結果が出ていると考えた一部の研究者は、ニセ科学との謗りに耐えながら今日まで着実に研究を進めてきました。今日では3000本以上の論文・レポート等が集積され、200以上の追試で常温での核反応が検出されています。日本でも高橋亮人博士、小島英夫博士、水野忠彦博士、荒田吉明博士など著名な研究者が活躍され、大きな成果を生み出されています。
参照:常温核融合論文ライブラリ http://lenr-canr.org/
2011年1月に、イタリアのボローニャ大学で行われたアンドレア・ロッシ氏の常温核融合装置の公開実験でキロワットレベルのエネルギー発生が検証された事によって、それまで実験室レベルに留まっていた研究が、実用化に向けて一気に加速されました。現状では、既に数社のベンチャー企業がビジネスに向けて活動しており、2012年8月には、ナショナルインスツルメンツ社のプライベートイベントであるNIWeek 2012でも常温核融合研究への貢献が大きなテーマとして取り上げられました。
■各社のWebサイト

常温核融合によって、発電コストは1キロワット時当たり1円以下になると予想されています。実用化への可能性が認知されれば、世界中の産業や社会を変えていく原動力になることは間違いありません。今回のパブリックコメントでは原発について3つの選択肢が示されましたが、常温核融合の力が認知されれば、原発ゼロ以外にありえません。国に対しては、常温核融合の研究開発促進策を求めますが、さらに、国家のエネルギー戦略自体の見直し、国家のビジョンの変革を進めていただきたいと思います。

参考資料:
■常温核融合論文ライブラリ
■常温核融合国際学会
■常温核融合国際学会第17回
■日本の常温核融合研究会
■未来を築く常温核融合 Jed Rothwell 著 
■常温核融合フロンティア 2011  高橋 亮人著
■米国Defense Intelligence Agencyの評価レポート



以上

2012年8月5日日曜日

マーチン・フライシュマン博士のご冥福をお祈りします

1989年に常温核融合の最初の発表を行ったマーチン・フライシュマン博士(Martin Fleischmann)が8月3日に英国の自宅で亡くなりました。New Energy Timesが報じ、ついで、Vortex-lメーリングリストでもJed Rothwellさんが確認しました。謹んでご冥福をお祈りします。
フライシュマン博士が灯した「常温核融合」という新しい火は、世間からの不当な謗りを受けながらも、興味を持った科学者に受け継がれ、着実に大きな火となってきました。そして今や、環境を汚さず、誰にでも安価に手に入れられるエネルギー源として、より良い社会を作るための「希望」へと成長しました。フライシュマン博士、本当にありがとうございました。どうぞ安らかに眠ってください。
Patty & Barry Simon氏によるマーチン・フライシュマン博士に捧げる美しい音楽

晩年は病気を患っておられたようです。ここでは2009年に行われたICCF-15で、多くの常温核融合研究者に祝福されながら豊田稔金賞(Toyota Award)を受賞された時の元気な姿の写真をご紹介します。写真は全て以下のInfinite Energy誌からの引用です。
http://www.infinite-energy.com/resources/martinfleischmann.html

Martin Fleischmann accepts the Toyoda Award.
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee) 

The Toyoda Gold Medal award.
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee)

The Toyoda Gold medal, awarded to Martin Fleischmann.
(Photo by David Nagel)

Martin Fleischmann at ICCF15.
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee) 

Martin Fleischmann
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee) 

Martin Fleischmann examines his Toyoda Gold Medal.
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee) 

David Nagel, Martin Fleischmann and Michael McKubre at ICCF15. 
(Photo by Marianne Macy) 

Martin Fleischmann speaks to the crowd at ICCF15. 
(Photo courtesy of ENEA/ICCF15 Committee)

以上