2011年10月12日水曜日

デフカリオン社、常温核融合装置ハイペリオンの商用プロトタイプ準備完了!

去る10月6日にイタリアのボローニャで行われたE-Catの公開実験は無事に終了し、実験レポートも発行されました。そのニュースもフォローしたいのですが、実験の余韻が消えない10月10日に、デフカリオン社から興味深いプレスリリースが発行されたので、本日はそのメモです。

デフカリオン社は、「ロッシ氏がデフカリオン社との契約を破棄~奇妙な関係悪化」でも述べたように、E-Cat技術の商用化をするために設立された会社にも関わらず、財務上の理由によってロッシ氏から契約を破棄された経緯があります。
さて、今回のプレスリリースでは、以下のように彼らの常温核融合装置「ハイペリオン(Hyperion)」の商用プロトタイプが製造できるようになったと述べています(和訳は引用者による)。

Defkalion invested a lot of money to evolve Rossi’s E-Cat lab prototype into its Hyperion product. Defkalion is now at the stage where its industrial prototype is ready for production.
(デフカリオン社はロッシ氏のE-Cat研究プロトタイプをHyperion製品へと進化させるために多大な投資を行なってきた。そして今、商用プロトタイプの製造準備が整った。)
Defkalion has held direct business discussions with 62 interested companies who visited our offices in Greece and witnessed our work. Small industry and large energy players internationally were all impressed by our progress in technology and engineering.
(デフカリオン社は62の会社とビジネス交渉してきた。彼らはギリシアの我々のオフィスを訪れて、我々の仕事を見ている。小さな 工場から巨大なエネルギー会社まで世界中から来た人々が我々の技術に感銘を受けた。)

上記からすると、やはり、デフカリオン社はロッシ氏から秘密のノウハウの供給を受けなくても、独自の常温核融合装置を製造する能力を持ったのでしょう。さらに、ハイペリオンはバージョン7になっており、ロッシ氏のE-Catよりも進んでいると取れる記述をしています。

Today, Hyperion engineering has completed version 7. We were surprised to see our old designs used in public testing. We were confused why our old designs were implemented wrongly, as well as witnessing insufficient use of instruments and testing protocols.
(今日、Hyperionはバージョン7となった。我々は、古い設計のマシンが公開テストに用いられたのに驚いた。 我々は、古い設計が間違った実装をされている事や、計測器やテスト手順が不十分である事に困惑した。)

ロッシ氏に続いて、デフカリオン社までもが常温核融合装置の先陣争いに加わってきたことで、ますます目の離せない状況になってきました。今月末には、E-Catによる1MWプラントの顧客引渡し&検証テストが予定されており、実に楽しみの多い10月となりました。

以上

2011年10月3日月曜日

世界を変革する常温核融合の5つの利点

常温核融合の認知拡大を目指してブログだけでなくリアルな活動にも熱心なCold Fusion Nowに新たな常温核融合紹介ビデオが登場しました。作成・ナレーションはRuby Caratさん、編集はEli Elliottさん、音楽はFog Actionによります(制作スタッフの一覧はビデオの6:51頃に表示されます)。


このビデオでは、"The 5 World Changing Benefits of Cold Fusion"(世界を変革する常温核融合の5つの利点)が説明されています。その5つとは以下です。
  1. Ultra Clean Energy (極めてクリーンなエネルギー)
  2. Abundant Fuel (豊富な燃料)
  3. High Energy Density (エネルギー密度の高さ)
  4. New Economy (新しい経済)
  5. Global Power Shift (世界的なパワーシフト)
これだけだと分かりにくいと思うので、勝手に解説を付け加えてみます。

1. Ultra Clean Energy (極めてクリーンなエネルギー)
常温核融合反応は、核反応であるにも関わらず、有害な放射性物質や中性子線を発生しません。反応によって安定な同位体元素しか生成されないのです。これが現在の原子力と大きく異なる所であり、常温核融合では廃棄物の処理に困りません。しかも、二酸化炭素も発生しなければ、煤煙も出ないので、石炭や石油に比べても遙かにクリーンなエネルギーと言えるでしょう。

2. Abundant Fuel (豊富な燃料)
ロッシ氏のE-Catの例で言えば、燃料は水素とニッケルです。どちらも、地球上に豊富に存在する元素であり、枯渇を心配する必要がありません。

3. High Energy Density (エネルギー密度の高さ)
これは燃料1グラム当たりから発生するエネルギーの多さを言っています。一般に、核反応で発生するエネルギーは燃焼等の化学反応で発生するエネルギーの百万倍にもなります。ロッシ氏のE-Catでは僅かな量の水素とニッケルを消費しますが、燃料交換は半年に1回で済むとのこと。100グラムほどのニッケルを入れておけば、半年の間、数kW以上の熱を生成し続けるのです(但し、反応を起こすための入力電力は必要ですが、発電装置を付ければこれも賄えるようになるでしょう)。

4. New Economy (新しい経済)
E-Catは最初の一歩に過ぎません。常温核融合による発熱・発電装置は、小型化でき、しかも、燃料補給を気にせずに、どこにでも設置できるようになるでしょう。これは、単に発電だけでなく、車や電子デバイスや宇宙開発といった様々な分野に大きな変革をもたらすでしょう。滅ぶ産業もあるでしょうが、幾つもの新しい会社や新産業が勃興すると期待しています。

5. Global Power Shift (世界的なパワーシフト)
今の世界は、石油のようなエネルギー資源を持っている国や、石油の決済通貨を握る国にどうしても金と権力が集まってしまいます。しかし、常温核融合が普及すれば、どの国でも誰にでも簡単にエネルギーを手に入れられるようになります。常温核融合による発電装置は小型化できるため、巨大な配電設備も必要ありません。小さなコミュニティが独自に発電所を持つことだって夢ではありません。これは私達の社会のありようを変えて行くでしょう。

如何でしょうか。「エネルギー」がいつでもどこでも誰にでも安く簡単に手に入る世界。そういう世界へ扉を開くのが常温核融合テクノロジなのです。


以上

2011年10月2日日曜日

E-Catの公開テストは10月6日にボローニャで実施予定

常温核融合やE-Catに関するニュースを日本語に翻訳して伝えてくれるサイトがあります。和訳の質が結構良いので助かります。

今日は9月30日に載ったE-Catの公開テスト日程についてのニュースを、上記サイトから転載し、少し日本語に手を入れて読みやすくしてみました。元の記事は9月28日にE-Cat Worldに載っています

■転載開始(和訳を引用者が勝手に修正した。赤色も引用者による)
アンドレア・ロッシ氏、初のE-cat公開テストと結果公表の日付を確定

E-cat Worldより新たな記事を紹介します。
2011年10月まであと数日です。E-Catの支持者達が待ちに待った月です。アンドレア・ロッシ氏によると、E-Catの公開テストと明かされていない顧客への1MWプラントの初出荷に向けた作業は順調に進んでいるようです。

ロッシ氏は、彼のプラントについて、10月に何が期待できるか幾つかの情報を提供し始めました。
「10月中旬には次の事柄を説明したい。
1:どこで1MWプラントのテストが行われるか
2:1MWプラントの全て(機密を除く)の特性 (我々が開発した新しいタイプの反応装置についての補足情報)
3:おそらくは顧客名(顧客からの公開許可が得られれば)

また、ロッシ氏はイタリアのボローニャ大学で実施される予定であるE-Catの1ユニットのテストについても情報を提供しています。彼は、様々な国から選ばれた科学者や科学ジャーナリストをこの公開テストに招待したと言っています。(但し、誰が招待に応じたかについては述べていません。)

ロッシ氏はさらに、「7日にはインターネットで1MWプラントを構成する1クラスタのモジュールについて10月6日に行ったテストの報告書とビデオを見られるようにする」と述べました。

以上のことから、10月6日に行われるこのテストがE-Catの公表の重要な部分であるように見えます。このテストは、1MWプラントのテストよりも彼の発明をより良く説明するデモになるかもしれません。なぜなら、複数のE-Catではなく、1台のE-Catに注意を集中できるからです。

いずれにしても、私たちはカレンダーに丸をつける日ができました。このイベントが待つだけの価値があるものなのかどうかすぐに分かることでしょう! 記念すべき日になることを願います。
■転載終了

以上

2011年9月24日土曜日

「SECRETS OF E-CAT」 初めてのE-Cat本が出版された

ロッシ氏によるE-Catの顧客引渡しが来月に近づくにつれ、E-Catの周辺ビジネスの兆候が色々と出てきました。その一つがE-Cat関連書籍の発行です。どうやら一番乗りは、E-Cat Newsのサイトに紹介された “SECRETS OF E-CAT”(E-Catの秘密) になったようです。
著者はMario Menichella氏で、イタリア人の物理学者ライターとして活躍しておられる人のようです。以下は著者のWebサイトです。
この本は元々はイタリア語で出版されており、買うのを諦めていたのですが(イタリア語は私にとっては全くの暗号です)、こんなに早く英語版が出るとは思っていませんでした。

そこで、本を販売しているページをアクセスしてみました。この本はPDFで販売されており、世界中どこからでも電子的に入手できるようです。価格は7ユーロ。今の為替レートだと750円くらいでしょう。

購入の支払いはPayPalで行えるようです。目次は、以下に公開されていますので、購入される際には参考にされると良いでしょう。私は思案中です。明日には買っているかもしれませんが。
http://www.consulente-energia.com/a-Index.pdf

ところで、E-Cat本はもう一つ出版が予定されています。以下の「Rossi's eCat: Free Energy, Free Money, Free People」です。9月19日発売予定となっていたのですが、まだ出荷されていないようです。英語書籍市場への一番乗りを逃しましたね。
http://www.amazon.com/dp/0955782635

以上

2011年9月19日月曜日

E-Catのセルフサステインモード(Heat After Death)の実験結果

NyTeknik誌のMats Lewan氏による実験レポートを見てみました。
http://www.nyteknik.se/incoming/article3264365.ece/BINARY/Report+E-cat+test+September+7+%28pdf%29
レポートによると、実験に使ったE-Catの新モデルは、50cm×60cm×30cmの大きさと約80kgの重さがあり、以前のモデルよりだいぶ巨大になっています(その分、1台あたりの出力も増えています)。
このE-Catに水を注入すると、中の常温核融合反応部分で熱せられ、熱水と蒸気として外に排出されます。
今回の実験は、非常に限られた計測装置と時間の中で行われており、残念ながら科学の厳密な検証に向けたものではありません。例えば、温度は計測されていますが、発生熱量を正確に測定するための機器が用意されていません。しかし、E-Catの「セルフサステインモード」がどのようなものであるのかを知る上では貴重だと思います。

実験レポートにも温度変化の図がついていますが、最初からの温度の立上りが知りたかったので、温度データのExcelシートをダウンロードして、自分でグラフを書いてみました。主なイベントを記入したものが以下です。
18:59からヒーター電力を徐々に上げるに従って、出力温度が上昇して行きます。そして、温度が133度Cになった22:35にヒーター電力を切り、最終的に23:10にポンプを停止して水素ガスの圧力を下げます。この22:35から23:10の期間が、入力エネルギー無し(ヒーターオフ)の状態で出力(熱)を発生し続ける「セルフサステインモード」での動作です。
セルフサステインモードの期間には出力温度の低下が見られますが、23:10に水素ガスの圧力を下げた後の急激な温度低下に比べると低下は小さいものであり、熱発生が続いていると推測されます。

レポートの評価では、出力熱量は、少なくとも3.8kWで、多ければ7.8kW程度と見積もられています。入力電力量である2.6kWに比べて利得が小さくなっていますが、出力熱量の計測は非常に粗いものなので、定量的な妥当性を論じても意味はないでしょう。セルフサステインモード時は、入力電力はゼロだったので、出力(3.8kW~7.8kW)はそのまま利得となります。

また、セルフサステインモードについては以下のような記述があります。最悪ケースでは、30分のセルフサステインモード運転の後、10分のフルパワー入力運転が必要ではないかとのこと。これでも、フルパワー入力時間は40分中の10分で済むので、効率は4倍に上がる事になります。こういう運用が、E-Catでセルフサステインモードを使うという意味だったのですね。
Supposedly this Ecat needs 10 minutes of full power electric input after every 30 minutes of self sustaining operation, for stability reasons, in the worst case.
ちなみに、この「セルフサステインモード」は、常温核融合現象の中でも非常に面白い現象で、素人ながら常温核融合現象の本質に迫る手がかりだと思います。蛍光灯のように電力を加えると光るのではなく、ロウソクのように一旦「着火」するとエネルギーを入力しなくても反応が持続するのです。セルフサステインモードは、「死後の熱:heat after death」とも呼ばれています。これは昔から知られていて、例えば、以下のような記録が残っています。



http://www.lenr-canr.org/acrobat/RothwellJmiraiokizu.pdf

「未来を築く常温核融合」ジェト・ロスウェル著 P12から引用
今まで最も劇的な実例は水野の報告実験で 100 グラムのパラジウムの陰極を用いて、一ヶ月以上数ワットの過剰熱を認めて、合せて 12 メガジュールを発生した。一ヶ月すぎたある朝、非常に熱くなっていて、とうとう 100 ワット以上を出力していた。セルは触れないぐらい熱かったので、水野は危険を感じて、電源を切った。切った後も発熱が続いた。この現象は他の研究所でも観測されたことがあって「死後の熱」と呼ばれている。水野はセルを電源から取り外して水がいっぱい入っているバケツに沈ませた。次の朝にはバケツの水が全部蒸発していたので、再び満たした。また蒸発してしまい、再度バケツを水で満たした。11 日間に合計 37.5 リットル蒸発してからやっと室温に冷めた。
これはおそらく水野忠彦博士が記述しておられる以下の体験のことだと思われます。

http://www.lenr-canr.org/acrobat/MizunoTjyouonkaku.pdf
「常温核融合プロジェクト」水野忠彦著 P44「1991 年3 月 水野の閉鎖セルから出た異常発熱」からの引用(読みやすさのために引用者が一部改行、赤色を追加した)
そうして4月22日の朝、電気分解を止めて後はパラジウム中に入っていた重水素の放出を待った。 普通、電気分解をストップするとすぐに重水素が放出され、系内の酸素と結びついて熱を出すが、 大体10 時間でその反応が終わることもわかっていた。用いたパラジウムは100g位でほぼ1モル当 量と考えてよい。これに飽和まで水素が入っても0.5モル当量だから出てくる総熱量は151Kジュールが最大である。すると、時間で割って4.2 ワットとなる。しかし実際には重水素の放出量はこの半分であり、2ワットと計算されるのである。この値は電解に要したエネルギーの10 分の1 位なので温度上昇は2℃程度にしかならない。だが、セルの温度は重水素の放出が収まった後でも75℃には下がらずに90℃を示していたのである。このことに気がついたのは4月25日の朝になって再び記録計を見た時である。驚いたことに温度が100℃を示している。しかもゆっくりと上昇していっている。この時は朝の9時すぎで、秋本も中性子の検定を横で行っていた。 
「秋本さん、温度が上がっていっているよ。ちょっと変だ。設定より30℃も高い。目盛りがずれているのだろうか。中性子はどう。」
すると秋本が
「温度が上がっていっているって。ちょっと見せてみて。本当だ、確かに上がっている。」と記録紙 を見ながら言った。
「中性子をチックしてみよう。」と言いながらマルチチャンネルアナライザーのメモリーを切り換えた。
「いや、特別大きな変化はないよ。相変わらず2.45MeVのピークは見えるけどね。格別増えてはいない。どれも同じにみえる。」とスペクトルをみながらいった。
水野は本当に温度が高いのか気になって、手前にある、中性子減速プラスチックのブロックをいくつか取り除いた。電源の電圧、電流ともに安定しており、電解前の20V、3.0Aと一定で、これも1ヶ月の間全く変わっていなかったのである。もちろんこれは安定電源を使っているのであるから当たり前のことである。ヒーターにはステンレスで被覆したシースヒーターと言うものを用いており、この抵抗値が6.67 オームとなっているのであるから、1ヶ月間60ワットであったのである。すると75 度を示していなければならない。しかも電解を止めて3日もたっているのだから、重水素も大体出てしまっているはずである。ただこの時に直接わかるデータは温度と圧力、それとヒーター、電解の電流、電圧である。パラジウム内の重水素濃度は計算しないとわからないのであるが、大体の値は圧力、温度から見当がつくのである。 
ちょっとセルの表面に手を伸ばしてみた。
「かなり熱い。70 度なんてものではない。明らかに100 度以上ある。手で触れるようなものではないよ。」と水野。
「何が起こっているんだ。」秋本が叫ぶ。
「わからない。でも重水素もほとんど出てないし、再結合による熱じゃない。ヒーター電源も60ワットのままだ。」水野
「もしかしたらこれが常温核融合というものじゃないか。」秋本が興奮気味につぶやく。
「まさか。電解も止めているのに。3日もたっているんだ。こんな話は常温核融合でも聞いたことがない。いずれにせよヒーターも切った方が良さそうだ。このままほおっておけばどこまで温度が上がるかわからない。何かあったらこの研究も続けられなくなってしまう。それにこの実験の初めに起きていた爆発も気になるし、あの時の圧力は優に100 気圧をこえていた。それも何百回も起こっていた。事故でも起きたら大変だ。」とうわずりながら、水野は急に不安をおぼえた。
「いや、これは良い機会じゃないか。今まで二年以上も実験をやっていて、やっと熱らしい熱が出てきたんだ、このまましばらく様子を見よう。」と秋本が冷静にいう。
「わかった。でももしここで何か起こるとまずいからセルは移そう。そこで温度を見てみよう。」と水野は何とか結論を出した。 
そして一度自分の部屋に戻り、雑巾やタオルを持って来て、それでセルをぐるぐる巻きにした。金属部分に触れないように気をつけて地下の実験室から3 階の自分の研究室まで運び、大きな厚い金属パネルの後ろに置いた。こうしておけば何か起こってもパネルで囲まれているので危険はないはずだ。設計耐圧は250気圧、フッ素樹脂は別としてステンレス部分は500℃以上になっても壊れないはずだ。もちろん上部には安全弁が付いていて、100 気圧以上になれば自動的にガスが放出されるはずだ。ただし、急激な爆発が起こった場合には耐えられるかどうかは自信がなかった。長い年月、高温高圧下の水素吸収を研究していたので、どのような容器設計が安全か、経験上からわかっているつもりではあったが、このような予想もつかない現象には、今までの知識から対応できない恐ろしさを感じていたのが事実だ。 
このようにして容器を鉄の台の上に置いたのであるが、次の日になってもいっこうに温度は下がる様子はなかった。この日は金曜日であり、連休が近かった。このままでは不安であったので、思い切って冷却することにした。大きな12lのポリエチレン製のバケツに水を半分、約8l位入れセルを漬けたのである。この時の温度はセル上部につけている熱電対の出力を見ると4.0mV になっており、温度に換算すると相変わらず100℃のままであった。すなわちヒーターを切り、電解を止めているのに熱出力としては120 ワットを維持しているのである。すると電解を止めた後の総熱量は1.2×10**7ジュールという熱になる。このようにして水の中にセルを漬けると温度は急に下がっていき、1 時間程で60℃までになっていった。この状態にしておけば温度は下がっていくものと考え、そのままにしておいたのである。次の日の朝、気になって研究室に来てバケツを見て驚いた。八分目位入っていた水がほとんど蒸発して無くなっており、再び温度は80℃前後で変化しているのである。さすがにこうなってくると異常を感じないわけにはいかなくなった。8lもの水を全て蒸発させる熱量は約2×10**7ジュール、燃焼熱や相変態等では説明がつかない熱量である。大体それらの熱は大きく見積もっても10**5ジュールのオーダーであるから、すでに二桁も多くなるのである。そこで、より大きな20リットルのバケツに入れセルが完全に浸かるまで水を入れた。そのようにして3 日後の4 月30 日に再び来てみるとまたもや水が完全に蒸発しており、セルの温度は50℃で変化をしているのである。再度水を15 リットルほど入れ、そのままにして熱電対を記録計に接続し、5月の1、2 日とそれぞれ水を5 リットルづつ足した。そして、連休が終わった5月7日の朝には水は半分ほど残っており、温度も35℃にまで低下し、変動もなくなっていたのである。この時は正確な熱データーを取ることは初めから考えていなかったので、どの程度の熱が出たのかは水の蒸発量などから推論する以外にはない。 
水の蒸発熱は全て合わせると4 月30 日以後には8.2×10**7ジュールとなる。これまでの総発熱量を合わせると、少なくとも1.14×10**8ジュールというとてつもない量の発熱があったことになるのである。これを電解やヒーターに使ったエネルギー2.6×10**8ジュールと比較すると40%となり、電解だけに使ったエネルギーはそれまでにほとんど全て熱として生じているので、この計算は非常に低く見積もった値である。
このような異常な発熱を見たことで、水野はさすがに予想も付かない自然界の奥深さに今さらながら驚かされ、思い知らされたのであった。そして、自分の常識からのがれられないこともあきれてしまった。弱いながらも中性子を自分で確認し、また数が合わないまでもトリチウムさえも検出していながら、熱についてはまさかという気持ちが心の底にあったために、測定の準備も、それが起きたときの対応も全く出来なかったのである。このいつ起こるかわからない熱についてはこの後も何度となく経験するのである。
以上

2011年9月17日土曜日

E-Catの1MWプラントの写真と最新の実験結果

ロッシ氏のE-Catのニュースを継続的に提供してくれているNyTeknik誌のMats Lewan氏が9月14日にE-Catの1MWプラントの写真とセルフサステインモードの実験結果レポートを公開しました。どちらの記事にも数分の動画が付いています。
まだ中身を読めていないのですが、まずは公開された情報を整理しておきます。
【訂正 2011-09-18】 実験結果の数値を記録したExcelシートがダウンロードできたので訂正しました。

【1】 セルフサステインモードの実験結果
See the E-cat run in self-sustained mode
Av: Mats Lewan
Publicerad 14 september 2011 07:00
Just over half an hour without external energy input. Ny Teknik assisted recently in a test where the ‘E-cat’ invented by Andrea Rossi was run in self-sustained mode.

【2】 セルフサステインモードの実験レポート
上記の【1】記事から、以下の詳細レポート(PDF)がリンクされています。

http://www.nyteknik.se/incoming/article3264365.ece/BINARY/Report+E-cat+test+September+7+%28pdf%29
Test of Energy Catalyzer
Bologna  September 7, 2011


【3】 セルフサステインモードの実験結果の数値
上記の【1】の記事の右欄には、以下のように温度データを記録したExcelシートがリンクされており、以下のURLからダウンロードできます。
http://www.nyteknik.se/incoming/article3267991.ece/BINARY/Temperature+data+Sept+7+%28xls%29
が参照されているように見えるのですが、残念ながらリンクは【2】のPDFを指しています。訂正(Excelシートの公開)を期待しましょう

【4】 1MW(相当の熱を発生する)プラントの写真
http://www.nyteknik.se/nyheter/energi_miljo/energi/article3264361.ece
Here’s Rossi’s one megawatt plant
Av: Mats Lewan
Publicerad 14 september 2011 07:00
Here it is: the plant that according to inventor Andrea Rossi will produce one megawatt of thermal energy via an unknown reaction in his ‘energy catalyzer’. The plant is now being shipped to the United States.

上記の記事には以下のような鮮明な写真が貼付されています。

■ コンテナの扉を開けたところ

■入力となる水を注入するポンプ

■出力となる蒸気のバルブ

■コンテナの背面

以上
【追記:2011-09-18】 YouTubeに投稿された動画
上記の記事に載った動画がYouTubeにも投稿されていたのでリンクを載せておきます。私の英語力の問題で聞き取りづらいので英語の自動キャプションに期待したのですが、全然ダメでした・・・全く違うキャプションが付いてしまいます。



【追記終了】



常温核融合ドキュメンタリー映画 The Believers

137 Filmsという科学ドキュメンタリーを作成しているNPOが常温核融合を扱ったドキュメンタリー映画「The Believers」を作っています。9月13日に以下のような最新情報が掲載されました。この業界の事がさっぱり分からないのですが、2012年の公開を狙って編集中のフィルムの持ち込みを開始したらしいです。
The Believers: Finishing Act III.  Cut to-date sent to POV for consideration for their upcoming 2012 season.  Assembling film festival calendar.  Partial screening at Northwestern University's School of Engineering September 27.
楽しみに待ちましょう。以下は4分ほどの予告編です。


The Believers Trailer from 137 Films on Vimeo.

以上