2011年11月6日日曜日

10月に行われたE-Catの実験で示された事と残念だった事

10月にロッシ氏が行った2回のテストはいずれも成功でした。但し、科学的な実験としては残念なところがあります。
実験の様子は、http://www.lenr-canr.org/News.htm にJed Rothwell氏の的確な要約レポートが載っています。 特に1回目の実験について、大局的に見ればセルフサステインモードでの過剰熱検出は明らかだが、実験の不備により充分なデータが取れなかった問題点も指摘しています。たいへん分かりやすい素晴らしい要約だと思うので、勝手に和訳してお届けします。

■Jed氏のレポートの勝手な和訳

Rossi device again demonstrated in self-sustaining mode. Large reactor demonstrated
Updated November 3, 2011
by Jed Rothwell

2011年10月7日に、アンドレア・ロッシ氏は、1MWプラントで使用するつもりの反応装置の1つユニットのテストを行いました。 テストは9時間続きました。 約4時間近くの間は入力は全くゼロで動作しました。 この装置はセルフサステインモードで動作したのです。 常温核融合の文献では、このモードはしばしば「死後の熱」と呼ばれます。(1993年にフライシュマン博士とポンズ博士によって初めて使われました。)

テストのレポートと短いビデオが、NyTeknik誌のMats Lewan氏によって発表されました。 詳細はここにあります。
(※訳者による補足: この実験の機器構成は以下のようにHiggins氏によって図解されています)


何人かの専門家がこれらの結果に疑問を表明していますが、大部分の人は反応装置が多量の過剰熱を発生させたに違いないと信じています。理由は以下です:

反応装置のベッセル(容器)は30リットルの水を保持します。 最初に電力によって水が沸騰しました。 過剰熱生成が始まりました。 2時間後に電力はオフにされました。 その後も過剰熱はおよそ4時間セルフサステインモードで発生し続けました。 このセルフサステインモードでの運用の間、およそ60リットルの水道水がベッセルに注ぎ込まれ、容積の2回分を取り替えたことになります。 反応装置の表面は熱いまま(60~80度)でした。(これは断熱が不十分で、多くの熱を放射したことを意味します)。 このモードへ入ってから3時間くらいの所で、ビデオは、観察者のひとりが偶然露出している金属面に触れたシーンを映しています。 金属は人を痛みでジャンプさせるほど熱かったのです。

セルフサステインモードの開始時には、過剰熱は3kWでした。 1時間後に8kWに上がりました。 過剰熱は不安定で、全部で3回上昇しました。 セルフサステインモードの終了時に、発熱は再び増えていました。 観察者が反応装置の内部を見たがってので、ロッシ氏はセルからガスを抜き、冷却水の流れを増加させて、反応を止めました。 もし、故意に止めなかったら、反応がどれほど長い間続いたかは分かりません。

断熱が不十分な金属のベッセルが30リットルの沸騰水で満たされれば、すぐに冷え始めます。 水は冷える一方です。 熱いままでいる事はないし、より熱くなることもありません。 そんな事があったら熱力学の第二法則に反してしまいます。  冷たい水道水60リットルがベッセルに注がれ、段階的に元々の水を置き換えて行きました。 これも冷却の要因です。 1時間後には、ベッセルは室温近くまで温度が下がる筈です。 ベッセルの中の何かが発熱していなければ、4時間の間、水を沸騰させ続けるのは物理的に不可能です。 この反応装置の中には、化学的な発熱源も電気的な発熱源もなかったのですから、熱は未知の反応から発生したに違いありません

残念ながら、どの位のエネルギーが発生したかを正確に決められないという問題によって、このテストは損なわれました。 ピークの発生熱量は、公称では8kWですが、測定装置が不正確であったために、実際にはもっと低かったかもしれないし、またははるかに高かったかもしれません。 おそらくは、10kWと思われます。 以下のような問題がありました: 測定機器の設置方法が不適切だったこと。 温度と流量の正確な独立検証を妨げた排出用ホースの置き場所。 非常に重要な流量などの値が計測も記録もされなかったこと。測定値が電子的に記録されたなかったこと(SDカードを挿入して、記録するのは簡単だった筈ですが)。 非常に重要な温度と流量のデータは、本来、毎分電子的に記録されるべきものですが、実際には、Lewan氏が手動で書き留めていました。 彼は10分か15分毎にしか測定機器を読み取れなかったので、データには大きなギャップがあります

これらの問題点は、2~3時間で修正できたかもしれません。 そうすれば、疑い深い反論にもっと容易に答えられたでしょう。 これらの問題点は以前のテストから存在していたので、全て予想されたことでした。 専門家は、テストに先立つ数週間から修正する方法をロッシ氏にアドバイスしていましたが、彼はこのアドバイスを無視しました。

モトローラ社や他の専門家がデータを解析しました。 彼らの殆どは、過剰熱の発生はあったと結論を下しました。 これらのレポートのいくつかがここにあります:  http://lenr-canr.org/RossiData/

Horace Heffner氏による分析はここにあります。

2011年10月28日に、ロッシ氏は、52ユニットからなる全体プラントを動かしました。 おそらく、再び入力無しで470kWの熱を生成したようです。 テストの模様はNyTeknikで記事になりました。

■和訳終了

Jed氏の元の記事は以下にあります。

http://www.lenr-canr.org/News.htm

以上

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