何をもって科学とニセ科学を分けるのかは興味深いテーマです。最近では地球温暖化の科学分析の根拠を揺るがすスキャンダル「
クライメートゲート」(Climategate)が話題になってますね。これだけ大きな影響を与えた科学分析であっても、ニセ科学の疑いが出てきたみたいで、今後の展開に要注目です。
さて、以前、「
常温核融合って論文は書かれてるの?」というエントリで、
大阪大学の菊池誠教授のブログの記事から、主にJed Rothwell氏のコメントを引用させていただきました。この記事は「ニセ科学」というカテゴリで書かれている事や、以下の文章から、菊池誠教授が常温核融合はニセ科学だと判断されているように読み取れます。
■引用開始
[追記 5/28]
文章のスタイルから明らかかと思ってはっきり書かなかったのですが、僕はこの「成功」を九分九厘間違いだと考えています。これまでの検証実験との本質的違いはありそうにないです。
もちろん、なんらかのシステムで固体内常温核融合が起きてはならないという理由はないのですけど、パラジウム・水素(重水素)系でいまさらとなると、これまでとはよほど画期的に違うことをしないと無理でしょう。
万が一本当だったら、「ごめんなさい」と言うしかないです。はい。まあ、その必要は生じないでしょう。
それから、今回の「成功」は質量分析の結果に基づいているので、核反応の専門家よりも、まずは質量分析の専門家に、本当にこの実験でいいかどうか伺うのがよさそうです。うちだと、豊田さんとか・・・。ポイントは重水素とヘリウムの識別ですかねえ。よくわかんないけど
まあ、きちんとした論文が出ればすべてがはっきりします。最大の難関は論文を出版するところにあり、そこで査読者からかなり厳しい注文がつくはずです。査読者を説得できるだけのデータをそろえられるのなら、それだけでも立派。
■引用終了
この記事には1000件以上のコメントがついており、とても全部に目を通せてはいないのですが、私には、なぜ菊池誠教授が常温核融合をニセ科学認定されるのかが良く分かりません。
菊池誠教授は「きちんとした論文が出ればすべてがはっきりします。」と書かれているので、科学としての正しいプロセス(手順)を問題にされているのかと思いましたが、これについてはJed Rothwell氏から手厳しい反証が出ました(Jed氏は「常温核融合の論文は19前から数千本出版されています。荒田の結果も10年前から報告され、アメリカ、イタリアなどで追試して確認されています。その文献を読まないで「たぶん間違っている」と速断したから、「ごめんなさい」と言うべきです。」とコメントしています)。しかし、Jed氏の指摘を受けても、ニセ科学認定は変わらなかったようです。
それでは、菊地誠教授が常温核融合の論文の中身が間違っているとみなしているかと言うと、そもそも論文をご存知なかったくらいなので、それもありえません。
私の読解力が足りないのかもしれませんが、要するに菊池誠教授は「世の中で科学と認められていないから、ニセ科学に違いない」と主張されているように思えるのです。(このように発言されている訳ではありません。私がそのように理解したという話です)
しかし、こういうスタンスだと議論になっても認識が深まらないので、ニセ科学を糾弾する人としては不思議なスタンスだなぁと疑問に思っていました。
そうした所、たまたま9.11テロの米国公式説を疑う議論のスレに面白い書き込みがあったので以下に引用させていただきます。「陰謀論」を「常温核融合」に置き換えて読んでみると、菊池誠教授のスタンスが良く理解できました。議論が深まらないのも頷けます。
ちなみに、「911陰謀論」というと怪しげな感じがしますが、しっかりした論拠を示して米国政府に再調査を要求する地道な活動から、十分な根拠を持たず妄想や物語の域を出ない言説まで様々な主張があり、十把一絡げにして語るべきではありません。前者の活動で有名なのは、米国の
建築士リチャード・ゲイジ氏です。今月は
日本での連続講演ツアーが行われていて、今日が最終日です。私もゲイジ氏の主張には賛成で、WTCビルは爆破による制御解体を疑う十分な証拠があると考えています。実は、その論拠の一つである、
WTCの粉塵からナノ・サーマイトと呼ばれる非常に特殊な爆発物を検出したという論文を出した著者の一人に1989年に常温核融合を主張したスティーブン・ジョーンズ博士が名を連ねているのです。面白いですね。
9.11はアメリカ政府の内部犯行@国際18
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/kokusai/1253507461/
■引用開始
615 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 18:26:44 ID:cirYYo9D
★大阪大学教授 菊池誠氏のブログ
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1255708069
The Ground Truth (John Farmer) と「倒壊する巨塔」(ローレンス・ライト)
2009/10/17
すでに他のエントリーでも取り上げていますが、『倒壊する巨塔』は、ビン・ラディンがアルカイダを組織して
テロを実行するにいたるまでの過程と9.11の進行,特にアメリカ政府の情報機関がどのように行動したかを
綿密な取材に基づいて書いた大作にして労作です。
「公式報告」ではないジャーナリストの視点から書かれたものなので、公式報告嫌いのかたにもお勧めします。
というか、そういうかたこそぜひ一読を。
なんというか、ジャーナリストを名乗って陰謀論の本を書いている何人かの日本の人たちとは、
「取材」というもののレベルが違うように思いますが、いかがでしょう。
その『倒壊する巨塔』はJohn Farmerの"The Ground Truth"でもOutstandingと評価されています。
616 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/22(木) 18:44:21 ID:e0d8jsBX
>>615
この人、ペンタゴン関係で「陰謀論はすでに論破したのに」を連呼してるけど、どこで論破してるんだろう
誰かリンク貼ってくれないかな
レッテル張りや人格攻撃ばかりで実のある意見が無いように見えるんだけど
617 名前:smac[] 投稿日:2009/10/23(金) 06:43:53 ID:BGQ8aECG
>>616
>レッテル貼りや人格攻撃ばかりで
>実のある意見が無いように見えるんだけど
それは誠ちゃんの運営方針がそうなんだからしかたない。
彼曰く「陰謀論者との議論は時間の無駄であるばかりか、利敵行為である」とのこと。
疑問や意見などには取り合わず、揶揄、罵倒を投げつけ続けることこそが「正しい陰謀論者の扱い方」である…と主宰者本人が、ブログで読者に呼びかけている。
「論破したのに、しつこく同じ疑問を繰り返してくる」という言い方も、そうした揶揄の一環であり、単なる定型句にすぎない。
したがって、当然のことだが、論破の「実績」はどこにも無い。
以前、オレは何度か、誠ちゃんに議論の呼びかけをしたが、
「そんなこと、専門家じゃない私に分るわけありませんよ」
「あなたはビデオを見ただけで全て理解できるんですか? へぇ~すごい能力ですね」
などと皮肉っぽく揶揄するだけで、まったく議論に乗ってこなかった。そこでオレは、
「『分らない』と言うことは、未解明の疑問があると言うことだろ? なのに議論しないと言うのは矛盾じゃないのか?」と反論し、
「あなたには科学者としての矜持はないのか?」とまで挑発してみたが、誠ちゃんは、
「そんな挑発には乗りませんよ。無駄です」と受け流すだけで、徹底的に「議論拒否」を貫いた。
それでオレは理解したね。
キクログに集う人々は「陰謀論など議論に値しない」と声高に叫ぶことにより、陰謀論に対峙して、論破することのできない自分達を互いに慰めあっているのだ…と言うことを。
あれは、もとより「議論」の場ではなく、印象操作で陰謀論をぶっつぶせ!…という「運動」の場である。
このスレの前の方で誰かが、オレに出向いて議論してくれと言っていたが、
オレは熱心なキリスト教信者が集う教会に出向いて「イエスは処刑後『復活』などしなかった」とか「マリアが処女であったはずはない」などと野暮な指摘をするつもりはないよ。
620 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[???] 投稿日:2009/10/23(金) 14:32:24 ID:Unn/WoAT
>>619
>疑問や意見などには取り合わず、揶揄、罵倒を投げつけ続けることこそが「正しい陰謀論者の扱い方」である
↑このヤリクチは案外ばかに出来ないかもしれんぞ・・・。
横レススマソ──。
629 名前:smac[] 投稿日:2009/10/24(土) 06:26:15 ID:9CbrD/By
>>620
>このヤリクチは案外ばかに出来ないかもしれんぞ・・・。
そのとおり。
誠ちゃんもバカではない。
議論拒否、揶揄、罵倒が卑劣な手段だと一般に受け止められる事は百も承知で、こうした方針を打ち出している。
そこで、誠ちゃんが、それらをどんなロジックにより「正当化」しているのか?…という観点からキクログを精読すれば、なかなか面白い収穫があるのでお奨めするよ。
では以下に、そのロジックを要約して紹介しよう。
ウッカリ読むと、意外に「正論だ」と感じてしまう罠もあるので、注意が必要だが…。
誠ちゃんは「陰謀論者」を二系列に分類する。
第一分類は、事件当初からこの問題に興味を持って精力的に情報を集め、分析、検証を繰り返して「陰謀論」のロジックを組み立てて来た「理論派陰謀論者」。
誠ちゃんは、彼らを「コアな陰謀論者」と呼ぶ。
対して第二分類は、心情的な反米、反権力主義から、「米政府ならやりかねん」と考える人が、中身を精査することなく「陰謀論」を信じ込む、いわば「なんとなく陰謀論者」である。
誠ちゃん曰く、「コアな陰謀論者」は説得不可能であり、さらに強力な理論武装をしているため、論破も不可能であると考える。
もとより、誠ちゃんの頭の中では「陰謀論など論外」であるのだが、
下手に論破しようとして、陰謀論を真面目に議論すれば、かえってそれに信憑性を与えてしまい「なんとなく陰謀論者」の数を増幅させてしまう結果となる。
そこで、以下のロジックが誕生した。(頁をあらためる)
630 名前:smac[] 投稿日:2009/10/24(土) 06:27:40 ID:9CbrD/By
(頁をあらためて)
==「陰謀論」は、その可能性について語り合うだけでも「死者への冒涜」であり「良識や科学への挑戦」と言える「害悪」である。==
==これらは本来、論理的に排除すべきものであるが、残念ながら我々には「コアな陰謀論者」を打ち負かす理論武装が整っていない==
==しかし、かと言って「陰謀論」の闊歩を座して見逃す訳にはいかない。世の中「正しい」者が常に議論で「勝利」するとは限らないのだ==
==ならば我々に出来ることは、陰謀論に染まっていない人々や、陰謀論者であっても「なんとなく陰謀論者」に留まる人々を「コアな陰謀論者」から遠ざけるように努力することだ==
==「あんなものに興味を持って近づいちゃ駄目ですよ」と諭し、それでも興味本位で近づこうとするコマッタちゃんは、ポルノや麻薬に惹かれる子供同様、お尻を叩いてでもやめさせなければならない==
==現存する喫緊の害悪に対して、「議論」「説得」は無力であり、時には強制的な規制こそが有効となる==
==従って、陰謀論に対しては徹底した無視、蔑視、揶揄、罵倒、侮蔑を繰り返すことにより、「善良」な人々が「悪」に染まらないよう、警告を発し続けるのが、最良の対策だと言える==
(以上、==・・・==はキクログよりの「引用」じゃなく、オレの目一杯好意的な解釈に基づく「要約」である)
ちょっと独善的に過ぎる嫌いもあるが、なかなか堂々としたロジック展開だろう?(笑)
キクログ内の本文はもう少し歯切れが悪いのだが、オレが敵に塩を送り、より「論理的」に見えるロジックに組み立て直してみた。
誠ちゃんも、オレのこの「要約」なら異論はないと思う。
このスレの読者諸氏には、上記ロジックのホールを見つけ出し、このロジックに基づく「反陰謀論戦略」に対する対策を自分なりに、ゲーム感覚で考えてみて欲しい。
きっと色々な楽しい収穫があるだろうと思う。
【言うまでもないが、オレは誠ちゃんの支持者ではないヨ。ここんとこ「アル派」に元気ないんで、ちょっと塩を送ってみただけだからネ…誤解のないように・・・って、そんな奴ぁ居ないよな(笑)】(おわる)
■引用終了
以上