2012年5月13日日曜日

デフカリオン社の実験風景と建設中の施設の写真

第三者評価を開始したニュースを流して以来、沈黙を守っているデフカリオン社が写真を公開しました。研究室での実験風景と建設中の施設の様子が写っています。

http://www.defkalion-energy.com/files/2012-05_StatusPicturesFinal.pdf

殆ど解説もなければ、実験データも公開されていないので、ここから具体的な何かを読み取ることはできないのですが、なかなか興味深い写真集です。PDFの各ページをイメージに落としたものを以下に掲載します。
最後の方に「工場の生産ライン」を企画しているかのような一文と写真があるのが意外でした。デフカリオン社はライセンスビジネスを目指しており、実際の装置の製造はライセンシーが担当するのだと思っていたからです。新たな雇用を生み出す可能性を見たギリシア政府あたりが、工場自体も運営するように頼んだとか、何か事情があるのではないかと勝手に勘ぐっています。マーケティングが開始される(とデフカリオン社が言っている)7月が来るのが楽しみです。

表紙:2012年5月の発行です。
 デフカリオン社のオフィス:ギリシアのアテネにあります。
 前書き:第三者評価と新しいテスト施設の準備状況を示すとあります。
 Team Work Briefing
 Demo Lab Set Up

 水素の注入回路
 電流の測定システム
 測定装置

 第三者による放射線計測
 第三者による熱測定
 反応装置の熱測定端子
 反応装置
 反応装置と冷却インターフェース
 反応装置を遮蔽するボックス
 第三者のガンマ線測定装置
 テスト実行中
 第三者の解析データ
 第三者の実験結果


 使用後の反応装置
 反応装置の重量測定
 ギリシャの北、Xanthiにある施設
 建設中の研究所の検証施設


 工場の生産ライン(企画中)

 研究開発室(建設中)
 デザインオフィス(準備完了)
 マネジメントオフィス(準備完了)
 購入する土地
 最後


以上

2012年5月6日日曜日

イタリアのトリノ市で開催された国際学術会議でのNANORの紹介

イタリアのトリノ市で「The Atom Unexplored」と題した国際学術会議が5月4日に開かれました。日本語に訳すと「未解明の原子の謎に挑む」みたいな感じでしょうか。
この会議、前半(午前)は常温核融合(LENR)のセッションで、後半(午後)は熱核融合のセッションという面白い構成になっています。両分野の科学者を集めての議論が起こるように意図して企画されたのでしょう。
常温核融合のセッションでは、お馴染みのMITのHagelstein博士やNickenergy社を創立したPiantelli博士の名前が挙がっています。Valerio Ciampoli氏というNichenergy社の研究者と思われる人もいるので、Nickenegy社も組織として動きだしているようです。


この会議の模様はインターネット経由でビデオ視聴できるようになっています。最近は結構色々な講演がこうやって世界中から見られるようで、(中身は分からなくとも)雰囲気だけでも味わえる便利な世の中になりました(^^;)。

誰か面白そうな所だけピックアップして教えてくれないかなぁと他力本願していたら、早速、Frank AclandさんがE-Cat Worldにレポートしてくれました。ちなみに、Frankさんは毎日のように常温核融合関連のニュースを記事にして、読みやすい英語で配信してくれています。E-Cat Worldは常温核融合ウォッチャーには欠かせないサイトです。


これによると、Hagelstein博士が発表の中で、常温核融合研究の同僚であるMitchell Swartz博士が開発したパラジウムを使った常温核融合装置NANORを紹介したそうです。Hagelstein博士によれば、パラジウム中に電流を流して過剰熱を発生させ、入力の約14倍の出力を得ているとのこと。
そして、NANORは1月以来MITで稼働を続けており、化学的に考えられる以上の発熱をし続けていると報告すると共に、一般の見学者を迎え入れたいと表明したそうです。

このNANORは今年の1月に開催された常温核融合の速習コースの中で実験に成功しており、Swartz博士のWebサイトであるCold Fusion Timesに詳しく報じられていました。

その後、Steve Krivit氏が結果に議論を呈して、反論の応酬があったりしました。最近では、4月にマサチューセッツ州の議員であるTarr氏に説明をしたというニュースもありました(Tarr氏はロッシ氏にE-Catの工場誘致を持ちかけた人物です)。
Hagelstein博士とSwartz博士はNANORの成果に自信を持っているようで、今回の一般の見学者の招待は認知拡大の大きな助けになると期待します。



以上


2012年5月5日土曜日

Brillouin Energy社:常温核融合実用化を狙う三番手

デフカリオン社へのインタビュー等を積極的に報じているPESNのSterling Allan氏がまとめた「魅力的な5つのフリーエネルギー技術」という記事があります。常温核融合は無限にエネルギーを生み出す訳ではないので、厳密にはフリーエネルギーの定義に当てはまらないと思いますが、非常に安価なエネルギーもフリーエネルギーの中に入れているようで、この記事の中には常温核融合製品もリストアップされています。

一番目には、デフカリオン社の常温核融合装置Hyperionが並びますが、実は、ロッシ氏のE-Catはこのリストには入っていません。常温核融合関連では、もう一社、Brillouin Energy Corporation(BEC社)が二番目にリストアップされています。社名の読み方は、ブリルアンエネルギー社かブリローインエネルギー社だと思われます。
どうやら、Allan氏は、BEC社の持つ技術はHyperionに次いで有望なものと見ているらしいのです。

このBrillouin社のCEOであるRobert W. George II 氏と、CTOであるRobert Godes氏への1時間半に及ぶインタビューが4月19日に掲載されたので、ザッと見てみました。
BEC社は2つのタイプのボイラー(加熱器)があると主張しています。
一つは、Brillouin New Hydrogen Boiler™ (NHB™) または "Hot Tube" と呼ばれる 400ºCから500ºCの乾き蒸気を生成するボイラーです。BEC社は、SRIと協調しながらこのボイラーの開発を進めており、発熱コストはキロワット時当たり1セントになるだろうと予想しています。発熱コアを並べた大規模なボイラーを作って、既存のエネルギープラントの中核を置き換えていくのがビジネスプランのようです。


もう一つは、既に何千時間もテストされてきたもので、Brillouin Boiler™と呼ばれます。これは、BEC社が最初に開発した湿り蒸気のボイラーで、蒸留水と電解液を使っています。このボイラーは100ºCから150ºCの熱を出力するため、家庭やビジネスの給湯・ヒーター用途を狙っているようです。プロトタイプはBEC社のバークレー研究所で継続してテストされているとのこと。

さて、面白いのは、このボイラーの動作方式です。E-CatやHyperionと同じくニッケルを使うのですが、起こる反応はE-CatやHyperionとは全く異なるようです。ニッケルと水素が融合するのではなく、ニッケルは触媒として働き、水素がヘリウムに変換される事で発熱が起こるとBEC社は主張しているのです。


理論的な説明はさっぱり理解できませんが、Robert氏は以下のように主張しています。
"A tiny amount of hydrogen protons are converted into neutrons. These newly produced neutrons are soon captured by hydrogen ions or other atoms in a metallic (e.g. nickel) lattice near to where the hydrogen ions were converted to neutrons. The captured neutrons generate heat because the new atoms that are one neutron heavier shed excess binding energy as heat to the lattice, resulting in a dramatically clean, low-cost, hi-quality heat output."
少量の水素原子が中性子へと変換される。これらの中性子は、金属格子中で近くにある水素イオンや他の原子にすぐに捕獲され、捕獲された中性子が熱を出す。なぜなら、中性子一個分だけ重い新しい原子が過剰な結合エネルギーを金属格子に熱として放出するからだ。結果として、極めてクリーンで低コストで高質の熱が出力される。

Robert氏は、「Cold Fusion(常温核融合)」という俗称やLENRという名称は相応しくないと考えており、新たに「Controlled Electron Capture Reactions (CECR)」又は 「phonon-moderated hydrogen reactions」と呼ぶべきだと主張しています。
このCECRについては、解説ビデオまで用意されているのですが、残念ながら私にはさっぱり分かりませんでした(@_@;)。

常温核融合分野の中でも目新しい理論と実験となると、信用を勝ち得るのが難しいのですが、BEC社はロスアラモス国立研究所とSRI(スタンフォード研究所)のMichael McKubre博士の2者による独立検証を行なっています。McKubre博士は常温核融合研究者の中でも著名人であり、彼が最終的にBEC社のアドバイザーボードの一員になった事実は、BEC社の主張の信頼度を高めています。

BEC社のボイラーについては、まだ第三者検証の結果も公開されていないので、どの程度のものなのか良く分かりません。しかし、先行するロッシ氏やデフカリオン社とは違う方式で「第三の競争者」として名乗りをあげてきた事で、常温核融合技術開発競争はますますホットになってきたのは確実でしょう。常温核融合は、反応のチャネルが幅広いのが非常に面白い所で、これからも新方式を引っさげた挑戦者が現れる可能性は高いのではないでしょうか。

最後にBEC社のプレゼンビデオを載せておきます。

以上

2012年4月30日月曜日

Leopoldo Pirelli工業高校の常温核融合装置ATHANOR

イタリアのローマにあるLeopoldo Pirelli工業高校で常温核融合装置を試作し、入力エネルギーの約4倍の熱を検出したというニュースが流れています。
この実験結果が正しいかどうかは今後の検証(追試)を待たねばなりませんが、たとえ間違いがあったとしても、工業高校の生徒が教師の指導を受けながら常温核融合装置を作って実験しているとは何と素晴らしいことでしょう! 世の中で十分に認知されていなくても、革新的で面白いと思う実験を指導する教師がいて、資金を出そうと決断する経営者や父兄がいるとは本当に素晴らしい。これが先駆けとなって、数年後には世界中の高校での必須実験になっていると良いですね。


この実験結果の発表は地味ではありますが、以下の理由から非常に大きな意味を持つ可能性があります。
  • はっきりと常温核融合の効果を確認できる成果だと思われること。まだ検出されたエネルギーの絶対値など具体的なデータは明確に公開されておらず断定できません。しかし、断片的な情報からは絶対的なエネルギー量・温度も高いとの期待が高まります。400%の入出力比があって、誰にでも過剰熱が計測できる実験なら、強い説得力を持つでしょう。
  • 独創的な仕組みであること。彼らは、ロッシ氏のE-Catやデフカリオン社のHyperionの真似(追試)をしたのではありません。かつて、日本の水野博士・大森博士が考案したグロー放電方式に、ナノパウダーを電極として使う改良を加えた独創的な方式を考案しています。素晴らしい学生達だと思います。
  • 特許を出願した上で技術を公開しようとしていること。おそらく技術開発の王道を学ぶ意味があるのだと想像しますが、これによって各所での追試が期待できます。今までも小さい過剰熱発生の実験装置は学術論文として公開されてきましたが、大きな過剰熱を発生する反応装置については、ロッシ氏もデフカリオン社も技術のコアを秘匿したままです。
  • 誰でも入手できる道具と材料を使っていること。これも追試が期待できる大きな要因です。
以下、この発明を知るための手がかり情報を挙げてみました。

http://www.leopoldopirelli.it/
Leopoldo Pirelli工業高校のホームページ

http://www.leopoldopirelli.it/index.php?menu=1&cont=1000
同高校の常温核融合装置を作るプロジェクト「ATHANOR」発表会の様子(ATHANORは日本だとアタノールと読むのでしょうか。同名のコスメ企業があるようです)
同高校の教諭であるAbundo氏, Pieravanti氏, De Santis氏, Cipriani氏が指導したようです(イタリア語なのでGoogle翻訳のお世話になってます)。

http://roma.repubblica.it/cronaca/2012/04/19/foto/il_reattore_costruito_dagli_studenti-33583028/
常温核融合装置の写真がスライドショーで見られます。素人目には、立派な計測器を使って、丁寧に作られた装置のように見えます。


http://www.e-catworld.com/2012/04/cold-fusion-in-italian-high-school/
この発表を紹介するE-Cat Worldの記事です。元々はイタリアの常温核融合ブロガーであるDaniele Passeriniさんのブログで紹介されたのが発端だったのですが、E-Cat Worldの分かりやすい英語で説明して貰ったので助かりました(Danieleさんのブログはたいていイタリア語です)。

http://www.e-catworld.com/2012/04/more-details-about-pirelli-high-school-cold-fusion-experiment/
E-Cat Worldの記事の第二弾です。指導教官の一人であるUgo Abundo氏がDanieleさんに送ったメールの英訳が載っています。
反応炉の特徴が以下の文にあります − 水野博士の考案したタイプの電気的反応炉だが、基本的な相違は、「フリーのナノパウダー」を使っている点にあるとの事。「フリー」とは、特別な前処理をしていないのと、何かにくっつけている訳ではない事を示しているようです(私の理解)。「fluidized-bed reactor」と言っており、後述するように泥状のナノパウダーを示すのかもしれません。
I’ll drop you a hint that it it an electrolytic reactor (Mizuno type, Iorio), but with the fundamental difference that free nanopowders are used, not treated or fixed on supports, that we’ve been able to confine and turn on in a totally innovative fluidized-bed reactor.
以下の文も素晴らしいと思います。様々な分野に跨るスキルを要求する常温核融合の研究にチームで挑むという意図を持っていたんでしょうね。 − 「私たちは技術者(教師)のグループで、各々の得意領域は限定されていますー放射線防護、化学、物理、数学、工学ー しかし、我々は自分たちの強みを統合して、この成果を出しました」
We are a group of (teachers) engineers with sectorial skills in radioprotection, chemical, physics, mathematics, engineering and we have integrated our strenghts in this accomplishment (with the precious help of our students that have acquired important competencies on the field, even if limited to the educational aspects).
http://www.e-catworld.com/2012/04/english-translation-of-build-instructions-for-pirelli-athanor-cell/
E-Cat Worldの記事の第三弾ですが、この記事に本装置の作り方が英語で記されています。原文は以下のイタリア語の文書です。
http://www.22passi.it/downloads/athanor/pdf%20athanor.pdf
この文書の中に装置の写真と図が載っています(下図)。アノード(陽極)とカソード(陰極)が上下に配されており、これでグロー放電を起こすようです。ポイントは、カソードの材質と構造にあるようで、2〜5グラムのタングステンの針(直径0.1mm、長さ3〜5mm)と1〜2グラムのパウダー(100ミクロン〜50ナノメータまでの様々なサイズ)を泥状にしたものが入っているとのことです。様々なサイズの針とパウダーがミックスになっているのが工夫のキモでしょうか?
On the plate is placed a mixture of tungsten needles (length 3 -5 mm and diameter 0.1 mm) of 2-5 grams and powders, in the form of mud, the grain size between 100 microns and 50 nanometers, in variable proportions, of the weight of g. 1 to 2.


この実験については、Vortex-lメーリングリスト上でも話題になっています。Jed Rothwell氏は、以下の投稿で、この実験は大森博士と水野博士のグロー放電実験と同じ仕掛けを使っているが、タングステンのフリーパウダーを使っている点が違うらしいと言っています。水野博士の論文や発表資料へのリンクを紹介してくれています。

http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg65329.html
Re: [Vo]:Pirelli Foundation funds successful LENR Cold Fusion Project
Jed Rothwell
Mon, 23 Apr 2012 17:46:56 -0700

This is definitely an Ohmori-Mizuno style glow discharge experiment. I heard from one of the authors. It employs "confined free powders of tungsten in a reaction chamber by natural convection" with a plasma between the powder and  "an anode jacketed by a porous sintered borosilicate glass filter."

The problem with the O-M experiment was that it was unstable, short-lived, and it caused a large explosion. This technique probably fixes the first two problems. I don't know about the third. When I observed the tests, Mizuno could make the effect turn on for ~5 minutes at most. The heat eroded the cathode in about 15 minutes. It was broken up into black dust at the bottom of the cell. So, the effect appeared to be real, but it was of no practical use. See:

http://lenr-canr.org/wordpress/?page_id=187#PhotosTMizuno

I assume the black color of the dust meant the particles were of small dimensions. I do not think it could be tarnished in a 15-minute experiment.
Once the metal was broken up and it fell to the bottom and there was no way to use it in a circuit. That is to say, it was nothing like a fluidized bed.

This new technique starts off with powder and uses it in a fluidized bed.

- Jed


http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg65346.html
Re: [Vo]:More Details About Pirelli High School Cold Fusion Experiment
Jed Rothwell
Tue, 24 Apr 2012 07:54:56 -0700

Daniel Rocha wrote:

Does that use H or D?
>

Ordinary water, that has been purified with a Milli-Q purifier. See:

http://www.lenr-canr.org/acrobat/MizunoTconfirmatia.pdf

They spend a couple of days cleaning the cathodes and other equipment, using a sacrifice cathode as a getter, and taking other steps to ensure purity. The test only runs for 20 minutes, but it takes 10 hours of preparation. They sometimes prepared several cathodes beforehand, and used the same electrolyte.

Electrochemists tend to be fanatics about reducing impurities.

Ohmori was better at that than anyone I have seen. He had gold cathodes that had been used for months, in plastic boxes. They were still shining, untarnished. I thought they were unused! Most cathodes that have been used for a few weeks are tarnished with galvanized gunk on them. The Milli-Q water purifier and other similar machines work by electrolysis.

- Jed


以上

2012年4月15日日曜日

第10回 水素吸蔵金属異常現象 国際ワークショップ

先週4月10日〜14日にイタリアのシエラで、第10回 水素吸蔵金属異常現象 国際ワークショップ(10th International Workshop on Anomalies in Hydrogen  Loaded Metals)が開かれました。国際常温核融合学会のISCMNSのページに以下のように告知されています。
プログラムはここにあり、アブストラクトはここにあります。
今回は、日本からは高橋亮人博士と北村晃博士が以下のような題名で発表されたようです。
A. Takahashi
Are Ni + H Nuclear Reactions Possible?
A. Kitamura
Summary of the latest results of gas loading experiments

この他にも、先日CERNで常温核融合の講演を行ったCelani博士や、MITのHagelstein博士など、お馴染みの名前が並んでいます。生体内核変換の研究で有名なVysotskii博士の名前もあったのですが、今回は会議の趣旨からして生体内核変換の発表ではなかったようです。残念。
V.I.Vysotskii
About the effectiveness of Widom-Larsen theory for explanation of LENR phenomena
V.I.Vysotskii
Application of correlated states of interacting particles in nonstationary and modulated LENR systems

今回の発表で最も注目しているのは、ニッケル−水素系反応の研究で有名なPiantelli博士の発表ですが、残念ながらプログラムには題名はまだ載っておらず、アブストラクトも公開されていませんでした。Piantelli博士は、Nichenergy社というベンチャー企業を立ちあげており、Nichenergy社は今回のワークショップのスポンサーの一つになっています。何か面白い発表があったのか気になるところです。

また、スポンサーの一つであるCoolescence社のRich Cantwell氏らの発表も入っているのですが、この会社は米国コロラド州ボルダーに設立された常温核融合研究のベンチャーのようです。検索してみると以下のような資料がみつかります。

どのような議論がなされたのか素人には理解が難しいのですが、地道な研究活動が世間に認知される事を願っています。

【追記:2012/04/17】
Piantelli博士のプレゼン内容を気にしていた人がプレゼン資料の所在を教えてくれました。
https://docs.google.com/open?id=0B6id5Hf-xMWOYXVjekJCN1ZkQk0

専門家の解説を聞かないと意味は分かりませんが、Piantelli博士が作成したセルで過剰熱検出の実験を行った結果が述べられているようです。結論のページを見ると、(1)20W以下の入力で71Wの出力が得られている、(2)温度は200度から400度の間である、(3)表面には以前の核変換実験の時と同じような現象が見られている、とあります(原文は以下)。高出力で利得も大きいので、結構すごい結果ではないでしょうか?

We are very close to the auto-sustenance (less than 20W introduced and 71W produced = 91W) (t=260C)
We have seen that the energy production can be obtained between 200C and 400C
We have indication that the phenomenon takes place at the surface of the sample; we have seen in previous experiments a transmutation effect

以上

2012年3月18日日曜日

常温核融合技術が次世代のエネルギーを作る

福島原発の事故をうけ、もはや原発はすべて廃炉にするしかないでしょう。今の政府や電力会社に原発を安全に運用できる技量がないと示されたのですからやむを得ません。
問題は、原発をなくした後、代替となるエネルギー源をどう確保できるかです。しかし、3〜4年先を考えれば、この問題に対する答えは明らかです〜常温核融合技術がその答えです。

常温核融合は少量の燃料(水素やニッケル)から多量のエネルギーを取り出せます。この性質は、従来の原子力(核分裂・核融合)と同じですが、有害な核廃棄物や中性子線は発生せず、発熱モジュールを小型化できる点が今までとは全く異なります。常温核融合技術の登場で、エネルギーコストが従来の十分の一以下に下がり、どの国でも燃料を得られる状態になれば、我々の世界は今とは全く違ったものになるでしょう。

日本にとって問題なのは常温核融合が認知されるまでのこの1〜2年だと思います。常温核融合が認知されれば、それだけで原油の価格は下がるでしょう。なぜなら、誰も石油の枯渇を心配しなくなり、いずれE-Catと同程度のコスト競争力を持つ価格に下がると購買者が期待するからです。一日でも早い認知拡大が日本の国益にもかなうのではないでしょうか。

常温核融合は、今では、低エネルギー核反応(LENR: Low Energy Nuclear Reactions)や凝集系核科学(Condensed Matter Nuclear Science)と呼ばれています。
1989年に、マーティン・フライシュマン博士とスタンレー・ポンズ博士が、この現象を発見したと発表しましたが、追試の失敗が続いたことから発見は間違いだったというの­が一般的な見解となりました。
しかし、この不思議な現象に魅せられた一部の科学者(日本・米国・イタリア・ロシア等)は研究を続け、実験の再現性や理論仮説の精度を高めてきました。今日では3000本­以上の論文・レポート等が集積され、 研究者の間では「常温核融合現象に定性的な再現性はある」とされています。日本でも高橋亮人博士、小島英夫博士、水野忠彦博士、荒田吉明博士、北村晃博士など著名な研究者が活躍されて­おり、工学社から書籍も発刊されています。

とはいえ、2010年末までは、まだまだ実験室レベルで再現性を検証している状況でした。ところが、2011年1月に米国在住のイタリア人エンジニアであるアンドレア・ロッシ氏が、ニッケルと水素を反応させる常温核融合装置「E-Cat」のデモをイタリアのボローニャ大学で行­ったことで状況は大きく変わりました。これは数キロワット以上の熱を発生できる「実用的な」常温核融合装置だったのです。

ロッシ氏は、2012年末には家庭用のヒーターとして商用化し、大量に販売すると宣言しています。ギリシアでは、当初ロッシ氏と提携していたデフカリオン社が同じ方式に基づくと思われるHyperionという名前の常温核融合装置を商用化しようとしています。他にもライバル企業が現れる兆しも出てきています。

ECATの公式ホームページである http://ecat.com/ に今冬発売開始予定のECAT Homeの開発状況が公開されています。少し抜粋して紹介します。
http://ecat.com/news/andrea-rossi-ecat-march-update

  • ロッシ氏は家庭用のECAT Homeを新しいデザインで再設計しており、大きさは33cm x 33cm x 6cmで縦置きも横置きも可能。重量は10 kg。
  • ECAT Homeは、2つの単純な接続インターフェースを持っている:水の入力と出力だ。入力エネルギー(電力)の6倍のエネルギー(熱)を取り出せる。
  • 法律に従い購入者は満足しなければ60日間は返品できる。レオナルド社は法律で要求される保証を提供する。
  • 建設中の新工場の生産能力は、年間100万台である。
  • 水素のための容器は不要になった。安全上の理由から水素は固形材の中に格納される。
  • UL認証を取得中。
  • 放射線はECATの外部では検出されていない。
  • ECATの販売ライセンスは既にライセンシーに提供されているが、まだ公開していない。いずれライセンシーの全ネットワークを公開する予定。

また、E-Catは1MWの熱を発生するプラントを既に商品化して、昨年11月末に初出荷しています(ロッシ氏によると)。このプラントは52台の小型E-Catを1台のコンテナに集積したもので、その写真が以下に公開されています。既に軍事関係の顧客から10台以上の追加注文を受けていると言われています。
http://ecat.com/ecat-products/ecat-1-mw



ギリシアのデフカリオン社は、より詳しい情報を提供しています。以下がHyperionのプレ商用版のデータシートで、昨年11月にデフカリオン社のホームページに公開されました。
http://www.defkalion-energy.com/files/HyperionSpecsSheetNovember2011.pdf
HYPERION KW SERIES SPECIFICATION DATA SHEET- PRELIMINARY

以下、このスペック表からの抜粋です。1モジュールで5kWの発熱を行い、温度は185〜285度。効率は25倍以上で、燃料交換は半年に一回といった大まかな仕様が読み取れます。
Thermal source: Chemically Assisted Low Energy Nuclear Reaction (CALENuR) Ni-H
Thermal power (measured at external heat exchanger outlet)

  • Range: 5-11kW
  • Max Output temperatures (measured at external heat 
  • exchanger outlet) 
  • Series A: 285度
  • Series C: 185度
  • Hyperion Weight ≈19,5 kg
  • Maximum electric energy consumption per hour at ON 
  • mode <200Wh
  • Hydrogen can recharge every 6 months
  • Powders renewal every 6 months
  • COP Better than 1:25


残念ながら、Hyperionについては、まだ公開実験や第三者検証が実施されたことがありません。要は実働することが証明されていないのです。これに対して、デフカリオン社は去る1月23日に第三者検証者を公募すると発表しました。プレスリリースは以下にあります。
http://www.defkalion-energy.com/files/2012-01-23_Independent_Testing_on_Hyperion_Reactors.pdf

この後、Pure Energy Systems NetworkをやっているSterling Allanさんのデフカリオン社訪問記事が掲載されました。
http://pesn.com/2012/02/13/9602039_Hope_from_Athens_found_in_Cold_Fusion/

この記事でデフカリオン社の言葉を伝えているのですが、それによると、先ほどの第三者検証では少なくとも7つの組織が検証を予定しているとのこと。最初の18社とのライセンス契約を近々発表予定で、ライセンスコストは40.5Mユーロ(約40億円)だとも言っています。ライセンス契約を結んだ会社は年間30万台のユニットを生産する工場を設立する所が多いそうです。
更に、デフカリオン社はこの第三者検証を2月24日から開始し、一番手はギリシア政府とも言っていました。その後、とてもポジティブな結果を得たとの速報が2月28日にフォーラムに投稿されました。
http://www.e-catworld.com/2012/02/defkalion-reports-successful-conclusion-of-tests-with-government-officials/

残念ながら、その後、デフカリオン社はフォーラムでの情報発信をやめ、正式な広報のみにすると宣言。他のグループによる第三者検証が続いている筈ですが、残念ながら、その後の情報は得られていません。

デフカリオン社の言葉を信じるならば、この強烈なコストパフォーマンスを持った発熱装置の生産ラインが世界中に揃いつつあることになります。


常温核融合が実現されれば、我々の社会や生活に大きな変革が訪れます。本当に変革は始まるのか否か、認識を深めたいと思う方は是非調べてみてください。

【参考文献】
http://www.lenr-canr.org/BookBlurb.htm
http://lenr-canr.org/acrobat/RothwellJmiraiokizu.pdf
未来を築く常温核融合
Jed Rothwell著
常温核融合関連論文の図書館とも言うべき http://www.lenr-canr.org/ を管理されているJed Rothwellさんによる常温核融合の解説書です。常温核融合を知る上では必読書といえるでしょう。


http://jcfrs.org/file/CFfrontier2011.pdf
常温核融合フロンティア 2011
高橋 亮人(大阪大学名誉教授、(株)テクノバ)著
常温核融合研究全体の最新状況を専門的に解説した本です。非常に専門的で難しい内容ですが、素人にも雰囲気は味わえるかと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=-j2dLk4g5ZY&cc_load_policy=1
常温核融合がもたらす5つの利点を簡潔にまとめた動画に日本語字幕をつけました。科学技術の話題よりも、その社会的な影響に重点があります。

http://www.facebook.com/groups/209258969132018/
Facebookの「常温核融合グループ」です。素人が集まって議論していますので、興味のある方は是非ご参加ください。



以上