デフカリオン社へのインタビュー等を積極的に報じているPESNのSterling Allan氏がまとめた「魅力的な5つのフリーエネルギー技術」という記事があります。常温核融合は無限にエネルギーを生み出す訳ではないので、厳密にはフリーエネルギーの定義に当てはまらないと思いますが、非常に安価なエネルギーもフリーエネルギーの中に入れているようで、この記事の中には常温核融合製品もリストアップされています。
一番目には、デフカリオン社の常温核融合装置Hyperionが並びますが、実は、ロッシ氏のE-Catはこのリストには入っていません。常温核融合関連では、もう一社、Brillouin Energy Corporation(BEC社)が二番目にリストアップされています。社名の読み方は、ブリルアンエネルギー社かブリローインエネルギー社だと思われます。
どうやら、Allan氏は、BEC社の持つ技術はHyperionに次いで有望なものと見ているらしいのです。
このBrillouin社のCEOであるRobert W. George II 氏と、CTOであるRobert Godes氏への1時間半に及ぶインタビューが4月19日に掲載されたので、ザッと見てみました。
BEC社は2つのタイプのボイラー(加熱器)があると主張しています。
一つは、Brillouin New Hydrogen Boiler™ (NHB™) または "Hot Tube" と呼ばれる 400ºCから500ºCの乾き蒸気を生成するボイラーです。BEC社は、SRIと協調しながらこのボイラーの開発を進めており、発熱コストはキロワット時当たり1セントになるだろうと予想しています。発熱コアを並べた大規模なボイラーを作って、既存のエネルギープラントの中核を置き換えていくのがビジネスプランのようです。
もう一つは、既に何千時間もテストされてきたもので、Brillouin Boiler™と呼ばれます。これは、BEC社が最初に開発した湿り蒸気のボイラーで、蒸留水と電解液を使っています。このボイラーは100ºCから150ºCの熱を出力するため、家庭やビジネスの給湯・ヒーター用途を狙っているようです。プロトタイプはBEC社のバークレー研究所で継続してテストされているとのこと。
さて、面白いのは、このボイラーの動作方式です。E-CatやHyperionと同じくニッケルを使うのですが、起こる反応はE-CatやHyperionとは全く異なるようです。ニッケルと水素が融合するのではなく、ニッケルは触媒として働き、水素がヘリウムに変換される事で発熱が起こるとBEC社は主張しているのです。
さて、面白いのは、このボイラーの動作方式です。E-CatやHyperionと同じくニッケルを使うのですが、起こる反応はE-CatやHyperionとは全く異なるようです。ニッケルと水素が融合するのではなく、ニッケルは触媒として働き、水素がヘリウムに変換される事で発熱が起こるとBEC社は主張しているのです。
理論的な説明はさっぱり理解できませんが、Robert氏は以下のように主張しています。
Robert氏は、「Cold Fusion(常温核融合)」という俗称やLENRという名称は相応しくないと考えており、新たに「Controlled Electron Capture Reactions (CECR)」又は 「phonon-moderated hydrogen reactions」と呼ぶべきだと主張しています。
"A tiny amount of hydrogen protons are converted into neutrons. These newly produced neutrons are soon captured by hydrogen ions or other atoms in a metallic (e.g. nickel) lattice near to where the hydrogen ions were converted to neutrons. The captured neutrons generate heat because the new atoms that are one neutron heavier shed excess binding energy as heat to the lattice, resulting in a dramatically clean, low-cost, hi-quality heat output."
少量の水素原子が中性子へと変換される。これらの中性子は、金属格子中で近くにある水素イオンや他の原子にすぐに捕獲され、捕獲された中性子が熱を出す。なぜなら、中性子一個分だけ重い新しい原子が過剰な結合エネルギーを金属格子に熱として放出するからだ。結果として、極めてクリーンで低コストで高質の熱が出力される。
Robert氏は、「Cold Fusion(常温核融合)」という俗称やLENRという名称は相応しくないと考えており、新たに「Controlled Electron Capture Reactions (CECR)」又は 「phonon-moderated hydrogen reactions」と呼ぶべきだと主張しています。
このCECRについては、解説ビデオまで用意されているのですが、残念ながら私にはさっぱり分かりませんでした(@_@;)。
常温核融合分野の中でも目新しい理論と実験となると、信用を勝ち得るのが難しいのですが、BEC社はロスアラモス国立研究所とSRI(スタンフォード研究所)のMichael McKubre博士の2者による独立検証を行なっています。McKubre博士は常温核融合研究者の中でも著名人であり、彼が最終的にBEC社のアドバイザーボードの一員になった事実は、BEC社の主張の信頼度を高めています。
BEC社のボイラーについては、まだ第三者検証の結果も公開されていないので、どの程度のものなのか良く分かりません。しかし、先行するロッシ氏やデフカリオン社とは違う方式で「第三の競争者」として名乗りをあげてきた事で、常温核融合技術開発競争はますますホットになってきたのは確実でしょう。常温核融合は、反応のチャネルが幅広いのが非常に面白い所で、これからも新方式を引っさげた挑戦者が現れる可能性は高いのではないでしょうか。
最後にBEC社のプレゼンビデオを載せておきます。
以上
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