この中で、ナノ銀による放射線低減実験についての口頭発表とポスター発表が行われました(発表者はそれぞれ岩崎信博士と阿部宣男博士)。
口頭発表 7月7日(月)
放射線効果(1) 10:00〜11:00
座長 鷲尾方一(早大・理工研)
1a-III-01 4-5nm銀粒子の土壌中の134Csと137Csおよび加理肥料中の40K放射能低減効果(東北工大・共通教育セ)○岩崎信、
(元東京都板橋区ホタル生態環境館)阿部宜男、
(個人)坂本圭磯、綾部斗清、望月將地
⇒ 口頭発表の様子は、ツイキャスの動画で見る事ができます。
ポスター発表 7月7日(月)11:30 〜 7月8日(火) 11:00
ⅠP-18 4-5nm粒径銀粒子による土壌中セシウム放射線低減現象 −その発見と初期の線量計データを中心に−(元東京都板橋区ホタル生態環境館)○阿部宜男、
(個人)坂本圭磯、綾部斗清、望月將地、
(東北工大・共通教育セ)岩崎信
興味深い内容が盛りだくさんなので、何回かに分けて報告しようと思います。
これまでも、放射性セシウムを含む土壌に対してナノ銀を混ぜると、土壌の放射線強度が低下したという実験結果が発表されていました。今回の発表では、その具体的な実験方法やこれまでの経緯が説明された他、放射性カリウム(40K)に対してもナノ銀による放射線低減現象が起こった事が報告されました。
この結果は以下の点で非常に重要だと思います。
- ナノ銀による放射線低減効果が、放射性セシウム以外の放射性物質(40K)に対しても有効である事が示された。
従来の実験で、セシウム134とセシウム137の両方に対して低減効果がある事が分かっていたので、他の放射性物質に対しても効果があるのではないかと思われていましたが、少なくとも40Kに対して効果があると判明しました。 - 実験に使用された試料は誰でも購入できるカリウム肥料。使用しているナノ銀もUFS-REFINE社で販売されている。そのため、両者を組み合わせた今回の実験の追試はかなり容易になると期待できる。
- 40Kは天然に存在する放射性物質で、存在比0.01%、T1/2=12億年。
- 用いているスペクトロメータ(クリアパルス社A2702)の有感体積が小さいため、測定には大量のカリウムが必須。そのため、U9標準容器にカリウム肥料を目一杯(76.7g)入れたものを試料とした。
- 鉛遮蔽箱の底に上記検出器を平らに置き上に試料を直接置く配置(「表」)と、試料を底に置き試料容器の蓋の上に検出器を伏せて置く配置(「裏」)の二測定を一組とし(各12時間)、これらの平均値を求めた。
- 実験は2013年2月12日にシリーズIを開始。
初期値測定後、容器を開けて中を確認し、カリウムをバットに一旦戻し、ナノ銀担持タルク粉300ppm 5gを均一に混ぜ、更にナノ銀担持コラーゲン液160 ppm 10ccを注入。全体を丁寧に混ぜたあと容器に詰め、テープで蓋の併せ目部分を封じ,ナノ銀滴下後一連の測定を8月9日まで8回実施。 - この間バックグラウンド(BG)を何度も測定(各12時間)。
- 内2回で「裏」測定が抜けたので6回の結果を示す。
[(40Kの光電ピーク領域の総計数)-(同領域のBG) ]値の「表/裏」平均値の初期値に対する相対値:
初期値 2月13日表/14日裏 1.00;
15日/16日 0.83;
17日/18日 0.87;
4月8日/ 9日 0.81;
5月5日/6日 0.79;
6月27日/27日 0.80;
7月24日/25日 0.77;
8月9日/9日 0.80 - 上記の通り、この期間で約20%の減衰率となった。
- なお、「表/裏」差を考慮した各平均値の不確かさの大きさは概ね3%~12%(内統計的変動は2.5%弱)と推定された。
- 9月10日に上記の試料を開封し中を点検して試料の中間部に注射器でナノ銀コラーゲン液20ppm 5ccを追加注入し、容器を封じて一日経過してからシリーズⅡを開始し、今も継続中。似た結果を得ている。
以上
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