2012年の商用化に向けて、以下の3つの目標を掲げています。
- 国や地域毎に企業と排他的なライセンス契約を結んでいく。既に、60カ国850社がライセンス契約に興味を示しており、既に契約交渉を開始しているとのこと。
- 第三者テストを行なって、科学と理論の進歩に寄与する。ギリシアはLENR技術の世界的な研究開発センターになりえる。
- ニッチ市場に向けた研究開発のためのジョイントベンチャー協業をやっていく。
但し、今回の発表の中には、実験データや動作実績など、ハイペリオンの動作を実証するものは含まれていませんでした。公開された仕様は詳細なもので、E-Catよりも高い完成度を伺わせるものですが、実証データがないために、残念ながら誰も評価できない状況です。
公開された仕様書は、21ページにわたるもので詳細にハイペリオンの仕様が記されています。
この諸元は、21ページにわたるもので、色々と興味深い記述があります。全体概要はP18に載っています。例えば以下のような仕様が見てとれます。
- 製品ラインナップは4種類(A,B,C,D)。
- CとDは、反応装置(カーネル)を1台搭載。AとBは、9台搭載するマルチカーネル構成。
- 反応装置の容器の大きさは、直径4cm、長さ10cm。
- 熱出力は、シングルカーネルモデルで5~11kW、マルチカーネルモデルでは10~45kW。
(マルチカーネルモデルでは、5kW×9台=45kWというのが基本のようです) - 出力温度は、A:285度、B:414度、C:185度、D:185度
- 入力電力の最大値は、シングルカーネルモデルで200Wh、マルチカーネルモデルで310Wh。
- 水素の補充までの期間は、シングルカーネルモデルで6カ月、マルチカーネルモデルで6~12カ月。
- ニッケルパウダーの補充までの期間は、シングルカーネルモデルで6カ月、マルチカーネルモデルで6~34カ月。
- 効率(COP)は、シングルカーネルモデルで25倍、マルチカーネルモデルで32倍。
(E-Catよりも相当効率が上がっています)
安全性については「γ-radiation emission ≤0,18 μSV/h。Other emissions None (in all modes)」と記されており、弱いガンマ線だけが発生するとされています。
また、最後に「About the reaction」として興味深い文章が書かれています。以下、勝手に和訳してみました。
Defkalion's scientific R&D team have successfully managed to trigger and monitor Chemically Assisted Low Energy Nuclear Reactions caused by Nickel and Hydrogen nuclei. Following extensive experimentation on the preparation, cleaning and degassing of Nickel clusters and atomic Hydrogen systems, valuable knowledge has been gained.Defkalionの科学研究開発チームは、ニッケルと水素原子核によって引き起こされるChemically Assisted Low Energy Nuclear Reactions(化学反応で支援される低エネルギー核反応)を引き起こし、モニターする事に成功しました。
The data was obtained from conventional, non-specifically designed for LENR instrumentation, such as mass-spectrometer, gas-chromatographer, Wilson chamber, SEM spectra and others.
純化とガス抜きを行ったニッケル・クラスタと原子状の水素ガスを準備した多数の実験によって、価値のある知識が得られました。データは、特にLENR向きではない従来からの測定機器によって取得されました。例えば、質量分析計、ガス・クロマトグラフィー、ウィルソン霧箱(?)、SEMスペクトル分析計などです。
Such measurements of phenomena gave us strong evidence on the activation mechanisms of Nickel that allow the nuclear capture of Hydrogen (the “breaking” of the Coulomb barrier), as well as the thermalization mechanism in a dynamic system of multi-stage set of reactions. Due to the elapsed time between the phenomena and their measurements using the above mentioned instrumentation, an incomplete proof of theories still exists. However, the obtained data provide us with a solid basis to control the triggering and termination conditions of the Ni-H reactions within Hyperion reactors, as well as the necessary conditions for stable performance.現象の測定によって、水素原子の捕獲を可能にするニッケルの活性化メカニズム(クーロン斥力のブレーク)に関する強い証拠が得られました。一連の多段階反応が起こる中で、熱が発生するメカニズムについても同様に分かってきました。
現象と上記の機器を使った測定との間の時間差によって、理論の不完全性はまだ残っています。しかし、得られたデータは、私たちにとっての強固な基礎となり、ハイペリオン反応装置の内部でのニッケル-水素反応を開始し終了させる制御を可能にしました。また、安定した性能を発揮させる制御をも可能にしました。
As a result, the above mentioned efforts led to the design of safe and stable Hyperion pre-industrial product, following the specifications described in this document.その結果、上記の取り組みが、安全で安定したハイペリオンのプレ商用化製品のデザインにつながり、本書では説明された仕様になりました。
Defkalion GT is an industrial company and not an academic or research institute with a role to state, prove and reject theories; as such, we recognize that products do not need to be based on theories. However, we do recognize the importance of scientific knowledge for further scientific research and product development. For this reason, we have decided to invest on a new series of on-line real-time mass spectrometers, designed specifically for LENR and Hyperions, that we are developing and testing in Greece. It is our intention to publish all relative measurements in scientific journals and events, when our tests are finally concluded.Defkalion GTは工業の会社であり、理論の検証を行う研究所ではありません。私たちにとって、製品は理論に裏打ちされている必要はないでしょう。 しかしながら、私たちは更なる研究と商品開発のために、科学的な知識が重要だと考えます。 この理由で、私たちは、LENRとハイペリオンのためにデザインされたオンラインでリアルタイムなmass spectrometers(質量分析計?)へ投資することを決めました。これをギリシアで開発しテストしています。我々のテスト結果が最終的に出揃った際には、学術的な雑誌やイベントでこの結果を紹介しようと思います。
この件は、NyTeknikでも早速記事になりました。ここにも興味深い情報が並んでいます。
UPDATEDに以下のような事が記されています。
- E-Catの分析はPadua大学で実施された(シエナ大学ではない)。これはロッシ氏からの委託による。
- この時の測定結果は、ロッシ氏とFocardi氏の論文に書かれている。
UPDATED (Dec 1): Regarding the earlier claim from Defkalion about the knowledge of what's inside Rossi's reactor, Defkalion has now clarified that the spectroscopy was performed at the University of Padua (not Siena), where this analysis actually was performed, commisioned by Rossi.UPDATA 2には、以下のような事が記されています。
The results of this measurement was published by Rossi and Focardi in their paper from 2010, describing the technology.
- デフカリオン社が自分自身でのテクノロジー開発を考え始めたのは2011年7月。
- 12台のハイペリオンのプロトタイプが稼働している。
- 11千平方メートルの工場を4カ月以内に立ち上げる。
- 既に19のライセンス契約を締結した。
- 27名の科学者がデフカリオン社で働いている。
- 合計40名の社員がデフカリオン社で働いている。
UPDATED 2 (Dec 1): In an interview with Ny Teknik, Alexandros Xanthoulis, representing the owners of Defkalion, stated that:UPDATE 3には、以下のような事が記されています。
- Defkalion started to think of developing its own technology in July 2011.
- 12 Hyperion prototypes are now running.
- The factory of 11,000 square meters in Xanthia will be ready in four months.
- The Defkalion lab will be transferred to a 2,500 square meter lab at the Xanthia location in a few weeks.
- 19 license agreements have been made.
- No money has yet been transfered. Interested companies will pay 500,000 Euros in an escrow account before testing a final product. Half of the license fee of 40.5 million Euros should be be paid at delivery of know-how, and the remaining part after ten days of operation of a factory producing Hyperion products.
- 27 scientists work in-house at Defkalion
- A total of 40 people are employed at Defkalion.
Xanthoulis gave no further information on verification of the core technology, except that it will be made by third parties later this year.
- マルチコアの装置(最大45kWの発熱)の標準価格は、5,500ユーロ(+消費税)。
- 装置の平均立上り時間は6.5分。
UPDATE 3 (Dec 1). From Defkalions forum:以上
- The indicated price for a multi-reactor device (up to 45 kW thermal power output) is 5,500 Euros plus VAT.
- A 3 mm layer of "Ecomass" is used to shield gamma emissions.
- Mean startup time for the reactor is supposedly 6.5 minutes
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