2011年4月10日日曜日

ロッシ氏の常温核融合装置E-catの改良型を使った実験をスエーデンの科学者が検証し、核反応と結論付ける

ロッシ氏のニッケルと水素を使った常温核融合装置「E-cat」については度々お伝えしてきましたが、4月6日にまたも大きなニュースがありました。継続的にE-catの記事を出しているNyTeknikの「Swedish physicists on the E-cat: "It's a nuclear reaction"」によると、3月29日にボローニャ大学で改良型のE-catを使った実験が行われ、Giuseppe Levi博士のほか、スエーデンの物理学者2名が立ち会ったとのこと。



以下のような状況です。
  • 改良型のE-cat:ロッシ氏は1月の実験で使ったE-catよりも小型で安定して動作する改良型の装置を使ったとの事。出力は約4.4 kWと、1月の実験の時に出た12kWより小さくなっていますが、安定しているようです。10時45分から16時30分までの約6時間稼働させ、その間、発生したエネルギーで水を沸騰させ続けました。
  • 立ち会った2名のスエーデンの物理学者は、Hanno Essén助教授(Swedish Royal Institute of Technologyの理論物理学)とSven Kullander教授(Uppsala University)との事。この内、Hanno Essén助教授は、3月までSwedish Skeptics Society(スエーデン懐疑派協会)の会長を務めていたとの事です。Twitter等では、あたかもスエーデン懐疑派協会が常温核融合を認めたかのようなツイートが流れていますが、正確にはHanno Essén助教授が認めたという話です。
  • E-catに充填されるニッケルのパウダーは約50g。反応装置の仕組みは相変わらずロッシ氏しか知らない秘密ですが、ここに水素が送りこまれて反応が起こります。
  • Hanno Essén助教授らは、別のE-catで使われたニッケルのパウダーを入手しており、その中から10%の銅を検出しているとの事。彼らは、これを核反応の生成物と見ています。Hanno Essén助教授らは同位体比率の測定を進めており、既に自然界の比率とは異なるという結果を得ているようです(別ニュース:調査中)。ニッケル→銅の元素変換が起こっているようです。
今回の実験は以下の点でとても重要です。
  • 改良型の装置を安定稼働させ、ロッシ氏の開発が着実に進んでいる事を立証した。
  • ニセ科学に厳しい懐疑派協会の会長であった物理学者が検証し、核反応と思われると認めた。
今後もE-catの進捗がニュースになる都度、科学界や投資家に徐々にこの実験の持つ途方もない重要性が認知されていくでしょう。

今般の震災の原子力災害の状況を見て、私も遅まきながら原子力発電所は早急に運転を停止し、代替エネルギーへのシフトを進めるべきだと思うようになりました。原子力発電所のリスクを分かっていませんでしたし、管理に携わる企業や政府組織、技術者・科学者の危機対処への準備や能力がこんなに低いとは思ってもいませんでした。残念です。
原発からの脱却にとって最も重要なのは低コストの発電テクノロジの開発です。この候補として、常温核融合への研究開発投資の拡大を政治家や研究者に働きかけていきたいと思います。


【参考文献】
http://lenr-canr.org/acrobat/EssenHexperiment.pdf
Experimental test of a mini-Rossi device at the Leonardocorp, Bologna 29 March 2011.
Travel report by Hanno Essén and Sven Kullander, 3 April 2011.

以上

1 件のコメント:

  1. Using Google translate I am happy to see that these inspiring news has reached Japan! Thanks for writing about this. Let´s all hope it is true! I have a blog www.e-cat.se (english) where I try to collect news about this! Welcome to check it out, if you are interested!
    / DL

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