2009年11月4日水曜日

酸水素ガスと水の振動撹拌と常温核融合の関係?

以下の記事を見て「酸水素ガス」という面白い物質の事を知りました。

http://warren.jugem.jp/?eid=1200
日経産業新聞が取り上げた「酸水素ガス」は、トンデモ科学の臭いがする!
2009.08.30 Sunday

この報道記事しか見ていない段階でトンデモ科学とするのは時期尚早だと思いますが、私も記事以上の事は調べていないので、何とも言えません。

ところが、少し検索していたら、価格.comの掲示板の記事から更に面白い事が分かりました。発明者は、振動撹拌と常温核融合現象に関係があると考えているようなのです。以下、説明します。


上記の記事の中で、次の特許が参照されています。

http://kantan.nexp.jp/kouhou.html?kh=A/2009/67/2009028667&kp=pdf
特開2009-028667 水の改質方法
出願日:2007年7月27日
出願人:日本テクノ株式会社
発明者:有冨正憲、大政龍晋

この特許は、非常に単純に言うと「水を200時間かき混ぜたら、Mg、Zn、Ca、Al、Cu、Na、K、Seといった元素が出現します」という驚くべき事を主張しています。特許内容から引用させていただきます(赤字は引用者によります)。
■引用開始
【0006】
本発明者らは、振動数が100Hzを超えるような高周波振動、たとえば100~200Hzといった高周波振動を振動羽根に与えて振動攪拌をおこなうと、100Hz未満、とくに40~60Hzといったような低周波振動を振動羽根に与えて振動攪拌をおこなった場合に較べて、Mg、Zn、Ca、Al、Cu、Na、K、Seなどの含有量の増大割合が極めて大きいことを見出したのである。
とくに本発明による「水に対しての100Hz以上の高周波振動」を長時間、たとえば100時間以上行うと、後記の実験結果から明らかなとおり、少なくともMg、Zn、Ca、Al、Cu、Na、K、Seについては明らかにその含有量が顕著に増大しているという驚くべき事実を確認しているのである。この現象は一種の原子転換が起こっているのではないかとも考えられる
この現象から推測すると、超音波、例えば20~30KHzの超音波も、その利用の仕方によっては、本発明と同様の現象がおこる可能性がある。少なくとも高周波振動攪拌と超音波の併用は、本発明で起こっている現象を一層促進する可能性がある。
■引用終了
発明者は、常温核融合との関係を強く意識していて、ケルブランの生体内原子転換説を持ち出しています。
■引用開始
【0007】
従来から、原子転換という現象は、原子核が核分裂および核融合を起こす場合や原子核に粒子が衝突しておこる核変換によって発生することはよく知られている。
一方、フランスの生命科学者であり、ノーベル生理学・医学賞の受賞候補者にノミネートされたことのあるルイ・ケルブラン博士は、ニワトリに長い間カルシウムを全く与えず、硬い殻の卵を産めない状態にしておいた後、アルミニウムとカリウムからなる雲母を餌として与えたところ、硬い殻(カルシウム入り)の卵を産むようになったという事実に基づき、生体内で原子の転換が行われているとの説を発表している(C・L・ケルブラン著、桜沢如一訳、1962年12月10日、日本CI協会発行、「生体による原子転換」参照、ケルブランの紹介をしている本としては平成7年6月15日廣済堂出版発行、深野一幸著、「地球を救う21世紀の超技術」第212~217頁参照)。これはケルブランの
常温原子転換説と言われるものである。そして、ケルブランの著書には、約三千件にも及ぶ常温、常圧の原子変換の具体的事例が人、海水生息生物、植物、種々のバクテリアについてみられる、と述べられている。そして、その後少数の関係学者などにより自然界の水の原子転換の測定や生体内の原子転換の実証を試みたが、転換データは得られたもののその転換率は非常に微量であり、生体内という特殊環境下のため、その再現性が困難であったことなどから、今日までケルブランの生体内原子転換説は世界的学問として認知されていない。
【0008】
このような環境下において、馬渕幸作発明の特開2004-74074号公報では、密閉空間に原水を封入し、該原水中に高温高圧の蒸気を噴出させて、その蒸気の噴出力で原水を撹拌しつつ、閉鎖空間内を高圧(15~20atm)に維持した状態で所要時間原水を撹拌処理することにより原水中の成分の原子転換を介してミネラル成分を多量に含有したミネラル成分含有水を生成する方法を提案している。この明細書の実施例によれば、原水に較べてナトリウム濃度が約130%、カルシウム濃度が約50%増加したと記載している。しかし、この方法は、高温高圧というコストのかかる条件が不可欠であり、原子の増加率もそれほど高くはない。
また、九州大学大学院の梨子木久恒らは、特開2004-122045号公報において、筒状容器よりなる微細気泡発生器を水、その他の被処理液内に浸漬し、被処理液に好ましくは空気などの不活性気体を加えて微細気泡発生器内において高速旋回せしめ、その時に生ずる負圧とこの負圧によって生ずるキャビテーション気泡の圧壊時に微局所的に生ずる超高圧高温の反応を用いて前記被処理液の含有元素比率を変化させる方法と装置を提案している。
【0009】
微量のエネルギーによる元素転換は、ケルブランによる「生物学的元素転換」手段のほか、多くの研究者によって追求されてきたが、本発明は、「微量エネルギー」による元素転換が可能であり、また再現性があることを立証したものである
この微量のエネルギーによる元素転換は、現代物理学の常温核融合の概念に近いものであるが、常温核融合は、非常に制約された条件下で特定の物質に生ずるものとされているが、この微量のエネルギーによる元素転換は、今回の試験データでも分かるように自然界に存在している比較的軽い元素が、また生命維持にとって重要な元素が、相互に元素転換している事実を再現したものとも言える。
前述の先行文献などを参考にすると、本発明においては下記の反応が起こっている可能性が考えられる。
7N+ + 5B- →12Mg
12Mg + 8O →20Ca
20Ca + 8O + 1H→29Cu
29Cu + 1H →30Zn
9F++ 21H →11Na
また、前記反応のような元素同士の融合とは反対に、反応する元素同士の分裂、すなわち原子番号および原子量の減産的な元素の転換現象も起こっていると推定される。
12Mg →11Na + 1H
19K →11Na + 8O
処理水中の他の元素においても上記と同様の元素変換がおこり、各元素濃度が増減しているものと推定される。
微量エネルギーによる元素転換は、前述のようにケルブランによって「生物学的元素転換」とともに追求されてきたが、この発明において、微量エネルギーによる元素転換が確実に発生し、それが再現性のあるものであることが証明されたのである。
この微量エネルギーによる元素転換は、現代の物理学における常温核融合に近い現象であるが、従来の常温核融合は非常に制約された条件下で特定の元素にのみ生ずるものとされていた。ところが本発明における現象は、表1のデータからも明らかなとおり、自然界におけるありふれた軽量元素で、かつ生物の生命維持にとつて重要な元素が、相互に元素転換しているということであって、これはまさに驚くべきことである。
■引用終了
実施例として、実験の結果が載っていますので更に引用します。
■引用開始
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
【0063】
実施例1
(1)超純水の製造
水道水をカチオンH型イオン交換樹脂塔→脱酸素塔→アニオンOH型イオン交換樹脂塔に順次通すことにより純水を得た。
さらにこの純水を逆浸透膜で処理して、超純水とした。
(2)処理装置
実施例に用いた処理装置は、図23~27に示す。なお、下記装置において、水と接触する恐れのある部分および水と接触する部分は、すべて樹脂コーティング処理、本実施例ではエポキシ樹脂コーティング処理が施されている。
使用している高周波振動撹拌装置について、
(i)振動モータとして、ユーラステクノ株式会社発売、商品名ハイフレユーラスKHE2-2Tを用いた。ハイフレユーラスKHE2-2Tは、3相、200V、50サイクルの所では150Hzまで、60サイクルの所では180Hzまで可能、2種、モータ回転数:50サイクルの所では9000r/min、60サイクルの所では10800r/min、振動力2kN、出力0.15kW、全負荷電流:50サイクルの所では0.90A、60サイクルの所では0.55A、の性能を持つものである。
(ii)インバーター:富士電機株式会社のFRENIC 5000 HIIS
(iii)振動羽根:振動棒(直径12mmのSUS304製)2本にステンレスSUS304製の振動羽根3枚を図24および25に示すように固定したものであり、羽根のサイズは縦105mm、横100mm、厚さ0.5mmである。
(iv)密閉収納槽:ステンレスSUS304製のもので、その内面に2mm厚のエポキシ樹脂をライニングしたものであり、内容積は、17.7リットルである。
(v)密閉手段
(イ)密閉収納槽とその蓋との接合部分の密閉は、耐熱ゴムパッキング(厚さ3mm)を用いた。
(ロ)振動撹拌機の振動棒と蓋との間の密閉は図26に示す。図に示すとおり蓋における振動棒挿入部分にSUS304製のシリンダーをはめこんで蓋に溶接し、振動棒とシリンダーの内壁の間にはリング状のパッキングを入れた。パッキングは、上下がポリプロピレン製のキャップであり、中央がNBR製のゴムパッキングとした。
(3)超純水の処理方法
超純水15.0リットルを図23~27に示す密閉収納槽に充填、密閉し、インバーターを用いて振動モーターを135Hzで振動させ、常温で200時間振動撹拌を行った
(4)データの採取
東京工業大学の原子炉工学研究所所長であって、発明者の1人でもある有冨正憲教授が東京工業大学の誘導結合プラズマ質量分析計(ICP質量分析計)を用いて、平成18年12月20日に測定したものである。
【0064】
表1における超純水原料水の項のデーターは、製造後の超純水を測定したときのデーターであり、「超純水原料水200時間振動攪拌水」の項のデーターは図23~27の装置を用い、常温、200時間、135Hzで振動撹拌処理をした後の水を測定したときのデーターである。なお、表1中の濃度を示す数値の単位はppbである
■引用終了
実験結果は以下のようにまとまっています。はっきりと、MgやZn等の濃度が高まっていると読み取れます。実験内容が(撹拌装置に難しい技術が用いられているとしても)「水を掻き回し続けるだけ」というシンプルなものなので、混入や測定誤差といった要因も考えにくいように思います。実に驚くべき結果なのですが、誰かこの追試や理論構築に挑戦している人はいないのでしょうか? 再現するとしたら、たいへんな発見だと思うのですが・・・

■引用開始(表1)

■引用終了
以上

2 件のコメント:

  1. 特開2009-028667 は拒絶査定になっています。
    表1の実験結果については、処理前の超純水と、200時間振動攪拌処理済みの水で比較していますが、200時間の振動攪拌を停止したままにしておいた水との比較が必要だと考えます。
    超純水を金属容器に入れて置くと金属が溶け出します。
    当該の装置は、その後放置されたままのようです。というより、日本テクノという会社には技術者がいないようです。

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    1. コメントありがとうございます。
      ご指摘の通り、対照実験系の取り方が不十分なのかもしれません。ただ、話を直接伺うと、実は裏が取ってあったりする事もあるので、大政博士と会う機会があったら聞いてみようと思います。
      ありがとうございました。

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