2009年11月1日日曜日

小島英夫博士の「科学する心と常温核融合現象」

「常温核融合」を科学する」の著者である小島英夫博士が「理大 科学フォーラム」2008.5 pp.30-37(2008)に執筆された「科学する心と常温核融合現象」という記事がPDFとして常温核融合研究所のWebサイトに登録されています。文献をスキャンして作ったPDFらしく、残念ながらGoogle等では内容を検索できません。

この記事は、常温核融合現象の全体像を示すと共に、複雑系の現象であると考える根拠が示されています。常温核融合現象は、なぜ定量的再現性がないのか等の疑問に対する考察として非常に示唆に富む文章だと思います。素人には難しい部分もありますが、常温核融合の事を知りたいと思った時にまず目を通すべき文献の一つだと思います。

この記事をテキスト化する事で、引用や検索がしやすくなると考え、本論の大部分にあたる「2.常温核融合現象(CFP)とは」から「3.常温核融合現象の科学」の11ページをテキストとして以下に引用させていただきました。興味を持たれた方は、是非、原文を見ていただければと思います。
なお、図と図の説明部分は引用しておりません(図を省略した部分には★印で注記しました)。また、指数の表記のように、私の知るHTML技では表現が難しいものはX**Yのような表記に勝手に書き直しました。正確に知りたい方も、是非、原文を参照いただければと思います。

■引用開始

2.常温核融合現象(CFP)とは

 1989年3月の末から数ヶ月の間、新聞や科学雑誌の紙面を賑わした「常温核融合(Cold Fusion Phenomenon, CFP)」発見のニュースを覚えている読者も多いことでしょう。しかし、その現象が辿ったその後の不幸な運命は知られていないと思われます。それは、CFPが世界の学会で市民権を得ることが出来なかったことの結果です。この17年間の研究の推移と当初「常温核融合」と呼ばれた事象を含む常温核融合現象(CFP)が、いかに興味のある現象で、多大の科学的・技術的可能性を秘めているかを説明しましょう。
 工業社会に不可欠なエネルギー源としての原子力に、核分裂と核融合反応を用いる二つの方式があること、核分裂反応を用いた原子力の平和利用は、放射性廃棄物の処理という未解決の難問を抱えているにもかかわらず、その利用が推進されざるを得ない状況にあることは周知の事実です。他方で、核融合反応を用いた原子力の平和利用は、膨大な予算を使った50年余の真剣な努力にもかかわらず、各国での成功の可能性が危ぶまれ、国際共同計画ITERという形で一本化して、これから50年をかけてその実現可能性を明らかにしようという、遠大な計画に結実しました。2005年、実験装置本体はEU主体に運営され、日本も主要な一翼を担うことで各国が合意に達しました。
 近代文明がエネルギー源の枯渇という危機に直面していることが真剣に議論されていた1989年の3月に、「常温核融合」という名で発見が報じられた常温核融合現象(CFP、Cold Fusion Phenomenon)は、エネルギー源としての可能な応用が予想されたために、かえって不幸なスタートを切ることになりました。その予想にからむ思惑は、その後の研究の展開に不幸な烙印を押してしまいました。現在もその影響は払拭されていません。科学とは無縁の、応用にからんだそのような夾雑物を取り除いて、CFPに含まれる諸事象を科学的に考察すると、そこには核物理学と固体物理学の中間の未知の領域に関係した新しい科学が含まれていることが分かってきました。

2.1 実験装置
 1989年3月に、フライシュマンとポンズは莫大な過剰熱を主とする、常温核融合現象に属するいくつかの現象を観測しました。
 それらの現象を説明するために、彼らは「d-d融合反応の起る確率が、PdDx合金中では真空中でに比べてとてつもなく(10**50倍程度に)大きくなる」という彼らの予想(フライシュマンの仮定)に基づいた解釈をつけて、結果を発表しました。殆ど同時に発表されたジョーンズたちの中性子のエネルギー・スペクトルの測定も、同じ仮定に基づいて計画され、解釈されたのです。彼らの用いた実験装置は、図1に示した模式図の(a)電解型です。その後、これらの三種の型の装置(図1)を使って多くの実験がなされ、多様な実験データが得られています。

(★図1を省略。原文をご覧ください★)

2.2 常温核融合現象の実験結果
 1989年から18年間に得られたCFPの実験データを、表1に要約しました。この表に示された各種の事象は、「フライシュマンの仮定(固体内でd-d融合反応が起る)がCFPの基本的反応ではない」ことを示しています。最も単純な事実は、重水素を含まない系(軽水系)でもCFPが起っていることです。

表1: 母体固体、動作核、実験法、核反応の直接証拠と間接証拠、測定量(物理量)の性質(蓄積型と散逸型)。過剰熱をQ、核変換をNTと略記。質量数4以下の核である重陽子d、トリトンt、ヘリウム3 3He、ヘリウム4 4Heの発生はそれぞれの核種の生成として、その他の、質量数が5以上の核種が生成される核変換(Nuclear Transmutation, NT)と区別している。

母体固体
Pd, Ti, Ni, KCl+LiCl, ReBa2Cu3O7, NaxWO3, KD2PO4, TGS, SrCeaYbNBcOd
エージェント
n,d,p,6-3Li,10-3B,39-19K,85-37Rb,87-37Rb,(イオン・ビーム)
実験法
電気分解、気体放電、気体接触、(高圧放電、イオン・ビーム照射)
直接証拠
ガンマ線γ(ε)、中性子エネルギー・スペクトルn(ε)、NT産物の空間分布NT(r)、核崩壊定数の短縮、核分裂しきい値の減少
間接証拠
過剰熱Q、中性子数N、系でのトリチウム量、核変換NT(NTd,NTf,NTa)、X線スペクトルX(ε)
蓄積型測定量
NT核、系内の変換核量、密閉系内のトリチウム量とヘリウム量
散逸型測定量
過剰熱Q、中性子数、ヘリウム量、発生粒子のエネルギー・スペクトル

 この表で、母体金属は水素同位体(軽水素Hあるいは重水素D)を多量に吸蔵(吸収し、安定に維持)する性質を持つ金属/化合物で、代表的なものはfccおよびhcp型遷移金属、および陽子伝導体と呼ばれる化合物です。エージェントは、母体金属に加えたときCFPを起こす条件を実現する原子・粒子で、重水素D、軽水素H(軽水素でもCFPが起る!)、Li-6,K-39,Rb-86などの原子、および熱中性子nがあります。
 熱中性子の役割は単純でなく、確立していません。これは中性子自体が、単純には測定にかからない素粒子であるためでもあって、CFPの捉え方によって、研究者の間でもその役割の評価には意見が分かれています。しかし、熱中性子(とそれより少しエネルギーの高いエピ熱中性子)が存在しないところではCFPが起こらず、熱中性子を人為的に照射するとCFPが増幅されることから、「熱中性子の存在はCFPの必要条件であると考えなければならない」というのが筆者の意見です。
 この表は、「母体金属とエージェントからなる一種の複雑系で、核反応が起ると考えないと説明しようのない多様な事象が観測されている」ことを示します。その事象の全体をまとめて常温核融合現象(CFP)と呼ぶのですが、それらの事象は二つの観点から分類できます。一つは核反応との関係から、もう一つは測定との関係からです。

1) 核反応の直接および間接証拠
 核反応との関係では、その事象に現れる物理量が核反応に直接関係するか、間接的に関係するかで、前者を核反応の直接証拠、後者を間接証拠と呼んでいます。
 新しい核種の生成やガンマ線の発生は、核反応を直接的に示しており、新しい核種の空間的分布と時間的分布は、直接証拠の中でももっとも価値の高い情報を与えます。中性子のエネルギー・スペクトルも直接証拠と考えられます。
 化学反応では説明できないほど大きな熱量の発生は、間接証拠と言えます。発生する中性子の総量も間接証拠に入れてよいでしょう。X線の発生は間接証拠です。

2) 蓄積型と散逸型物理量
 測定との関係では、事象に関係した物理量が蓄積型か散逸型かによって、測定精度に大きな違いが出てきます。当然、蓄積型の物理量の測定精度の方が高いと言って良いでしょう。
 蓄積型の物理量には、核変換によって生じた原子核(核種)と密閉系でのトリチウムやヘリウム4の総量が属します。
 散逸型の物理量には、系内で発生した熱量、中性子量などが属します。一般に、散逸型の物理量の測定精度を上げるのは蓄積型に比べて難しいものです。
 たとえば、核変換によって生じた核種の同定とその空間分布の測定は、散逸型の物理量である過剰熱やヘリウム量を正確に測定することに比べて容易です。
 表には書き入れてありませんが、核変換生成物の空間分布などから、CFPの核反応は試料の表面(あるいは境界面)で起ると考えられことは、重要な特徴です。

2.3 実験結果の解釈
 フライシュマンの仮定が正しいかどうかは、いろいろな点で興味のある問題ですが、その科学的可能性を検討しましょう。
 フライシュマンの仮定が正しいとすると、1フェムトメートル(10**-15m)程度の作用距離をもつ核力の作用に、10ナノメートル(10**-9m)程度の距離に存在する荷電粒子が影響を与えることになります(6桁の違いを日常生活空間で想像してみてください)。多くの識者が指摘しているように、このような現象が起ったとすると、現代物理学の基礎原理が改変されなければならないことになります。
 次に、社会的・技術的な影響は、主にエネルギー源に関係したものです。殆ど無限に存在する重水素がエネルギー源として容易に利用できることになりますから、エネルギー利用に一大革命をもたらすことになります(海水中の重水の濃度は0.015%)。莫大なエネルギー(とそれに付随した利益)が簡単に手に入るだろうという予想は、科学には無縁の秘密主義と特許申請競争をもたらしました。
 この二つの要因が、個人的(研究者による)および社会的(諸組織による)なCFPの評価を左右し、常温核融合現象研究を大きな社会問題にしました。
 時代風潮も絡んで、CFPの研究者とその所属する組織は、フライシュマンの仮定が正しいことに大きなメリットを感じとり、その正しさを予測する傾向が強められました。逆に、プラズマ核融合の研究者たちが条件反射的に感じたことは「寝耳に水」の有りえない現象ということで、強い拒絶反応を示しました。
 科学的には、CFPの特性である次の二つの要因が、主な論争点であると考えていいでしょう。一つは実験結果の定量的再現性で、もう一つは現象の理論的可能性です。
 再現性に関しては、不安定核の崩壊過程や高エネルギー粒子を用いたd-d反応でさえ確率法則に従うのです。したがって、複雑系でおこる、核反応を含むCFPには単純な定量的再現性が存在しないことは明らかです。CFPでは確率的あるいは定性的再現性しかないと考えるのが常識だと思えるのですが、定量的再現性の有無だけが論じられてきたのが実情です。
 理論的可能性に関しては、フライシュマンの仮定に捉われた論争が、表1に示した多様な実験事実から離れた、不毛な議論であることは明らかでしょう。この仮定が実験結果と矛盾することは最初の実験データがすでに明らかにしていたことであり、その後得られた実験データが示すCFPの多様な事象は、この仮定とはかけ離れているのです。ですから、科学すること本来の立場からは、全体のデータを総括的に説明する理論的枠組みを模索することが要求されます。
 CFP研究の歴史の教訓は、「世俗的な関心に惑わされてしまうと、科学者といえども科学する心を失ってしまう」ということです。科学する心が、科学研究においてだけでなく、日常生活においても大切なことを訴える意味で、CFPの発展期のエピソードは他山の石とすべき好例なのです。

3. 常温核融合現象の科学

 表1に示したCFPの諸事象の特性は、非常に複雑です。とくに、重水素を含まない系(軽水素)でもCFPが起ることに注意してください。全体が複雑系で起る一つの現象の諸相であると考えるか、それぞれ違った原因で起るいくつかの互いに無関係な事象群と考えるかによって、CFPにたいする科学的態度は違ってきます。われわれは、前者の立場に立って、CFPを統一的に説明する理論を探求することにします。

3.1 モデル--現象論的アプローチ
 このように複雑な現象を科学するときのアプローチの仕方の一つに、現象論あるいはモデル理論があります。実験事実に基づいたいくつかの仮定を骨組みとし、一つの可変パラメータを含むモデル(TNCFモデル)が考案されました[参考文献2-5]。このモデルの基本は、荷電粒子間の直接の核反応を考える代わりに、固体中に捕獲された準安定的な熱中性子を仮定し、それが核反応を媒介すると考えたことです。
 このモデルを使うと、多様な実験事実が定性的に、あるいは半定量的に説明できます[2,3]。特に、いくつかの事象が同時に観測された10例くらいの場合に、それらのデータの間の量的関係が一つのパラメータを決めることによって説明できることが分かりました。これは、モデルの有効性を示していると考えることができます。
 そこで次の段階として、この優れたモデルで仮定している、「固体中に捕獲された準安定的に存在する中性子」の性質を量子力学的に探求することにしました[4,5]。
 そのような視点でCFPに関係する原子核と固体の性質を調べると、そこには次のような未知の領域が残っていて、CFPに深く関係していることが分かります。

3.2 核物理学と固体物理学の未開拓分野

1)核物理学、
まず、原子核のエネルギー準位の中で、中性子の束縛エネルギーが非常に小さい励起準位(evaporation levels)の性質には、未知の領域が広がっています。とくに、個別の核種についての研究は未開拓の状態にあります。次に、中性子数Nが陽子数Zを大幅に超える超多中性子核(exotic nuclei)が見つかり始めました。その例には、10-2He, 11-3Li, 11-4Be, 32-11Naなどがあり、中性子がはみ出した分布neutron haloができています。(図2)

(★図2を省略。原文をご覧ください★)

2)固体物理学、
 他方、水素化遷移金属にも未知の領域が広がっています。その不思議な性質の一つには、結晶型による物性の違いがあります。1)bcc(体心立法型)とfcc(面心立法型)およびhcp(六方稠密型)遷移金属とでは吸蔵された水素の物性(拡散、振動)が全く違います。1)では陽子pあるいは重陽子dの波動関数は局在していますが(図3)、2)では局在していません。他方、CFPは2)のNi,Ti,Pdでは起りますが、1)のV,Nbでは起りません。陽子pと重陽子dの波動関数が遷移金属によって違う特徴を持つことは、その物性とCFPとに深く関係しているようです。
 当面の課題は、原子核と固体のこれらの性質を使って、CFPの諸事象を量子力学的に説明することです。その第一段階は最近のいくつかの論文に結実して、近著[4、5]にまとめられています。そこでは、実験データを整理して、CFPが複雑系の特徴を持つことも示しました。

(★図3を省略。原文をご覧ください★)

3.3 CFPの起るメカニズム-理論的予測

 水素化遷移金属における素粒子と原子核との量子力学的状態は、次のようにまとめられます: (1)fccとhcp型の水素吸蔵性遷移金属の中では、陽子(重陽子)波動関数が拡がっていて、格子核(格子点にある原子核)の波動関数との重なりがある。(2)吸蔵された水素同位体を介して格子核間に核力相互作用(超核力相互作用)が生ずる、(3)超核力相互作用の結果、格子核の励起状態にある中性子が中性子バンド状態(固体内に拡がった波動関数をもつ)に移行する、(4)バンド状態の中性子が表面で高密度の中性子媒質(CF媒質)を形成する、(5)CF媒質中の中性子が格子核および表面の異種原子核と相互作用してCFPを引き起こす。
 複雑系の量子力学的問題を正確に解くことは困難なので、以上の筋書きは定性的にしか基礎付けられていませんが、可能性は示せたと思っています。

3.4 複雑系の現象としてのCFP

 20世紀末の20年間に、これまでの自然科学観を一変させる、革命的な発見がありました。カオスを含む複雑系の科学の発展です。ガリレオやニュートンに始まる近代自然科学の成果は、対象を“解くことのできる現象”に限定して発展してきたのですが、手付かずの状態に取り残されてきた現象-三体問題から乱流まで-が、非線形ダイナミックスの対象として考察され、その特徴が調べられ始めました。自然の豊穣さが明らかにされ、力学的な複雑系から生命を含む超複雑な系までが、一つの視点で捉えられる可能性が示されたと言えるでしょう。
 常温核融合現象(CFP)を複雑系の視点で捉えることによって、今まで「再現性がない」としてネガティブに見られてきた現象が、逆に複雑系の特徴を現す現象としてポジティブに見えてきたのです。その例が、次の三つの法則です。
 1) 核変換生成核の安定性効果
 2) 過剰熱発生の逆ベキ法則性
 3) 過剰熱発生の分岐構造

(★図4を省略。原文をご覧ください★)

1) 安定性効果。CFPにおける核変換で、新しい原子核(原子番号Z)が生ずる頻度P(Z)(∝測定数Nob(Z))が、宇宙に存在する原子核(原子番号Z)の量H(Z)と正の相関を持つことが分かりました。[4,5] 原子核の安定度が高いほど宇宙に存在する量は多いと考えられますから、この法則性は「CFPでの核変換が恒星で起る核変換に似た性質のものである」ことを示唆していると考えられます。(図4)

2) 逆ベキ法則は、複雑系での反応で起ることが知られている法則で、その一例は地震のエネルギーEとその地震の起る頻度P(E)の関係(グーテンベルク・リヒターの法則)です:
  P(E) = AE**-1.7  (A:定数)
筆者の解析では、CFPにおける単位時間当たりの過剰熱Pの生ずる頻度N(P)は
  N(P) = A/P**b
で表わされ、この式のベキ指数bは1~2となります。(図5、6)

(★図5を省略。原文をご覧ください★)
(★図6を省略。原文をご覧ください★)

3) 分岐構造は、単純な非線形ダイナミックス系で詳しく調べられている構造で、系のパラメータを変化させたとき、系の安定状態が分岐して倍加する現象です。CFPの過剰熱を精密に測定することによって、分岐構造に似た現象が観測されていることが分かったのです。(図7)

(★図7を省略。原文をご覧ください★)

 元来、CFPの起る系は、開いた、非平衡状態にある、構成要素が非線形相互作用をしている系です。このような系は複雑系と呼ばれ、カオスや自己形成などのコンプレキシティ(複雑性)と総称される現象が起ることが知られています。上に述べた三つの法則性は、CFPが複雑性を示すことを実験データから明らかにしたと言えるでしょう。
 したがって、CFPでは、定量的再現性が存在しないことは当然ですが、場合によっては定性的再現性も存在しない、カオス状態になることもありえるのです。
 このような筋書きにしたがってCFPが起るとすると、「原子核物理学と固体物理学の境界領域における固体-核物理学と名づけられる学問領域を垣間見せてくれているのが常温核融合現象なのではないか」という期待が持てるのです。
 可能な応用に簡単に触れると、1)過剰熱のエネルギー源としての利用、2)核変換による有害放射性廃棄物の処理(無害化)、3)新しい有用核種の生成などは、最も容易に可能になるものでしょう。その際に必要な配慮は、確率は低いにしろ、核爆発に発展する可能性のある核反応であることを認識して、対応策を講じておくことです。いずれにせよ、常温核融合現象の科学が明らかになった段階で、応用についても考えるのが常道であることは、否定できない真理です。

 事実を正確に求め、その事実に基づいて論理を展開し、得られた結論に従って意思決定をするという科学的思考を身につけることによって、理性を与えられた人間の特権を生活に生かすことが、健全な地球社会を維持するために人類に課せられた義務なのだと思われます。また、それが125年前に理学振興の熱意を持って結集した若き理学士たちの思いを継承する道でもありましょう。[1]

■引用終了

以上











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