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2014年5月18日日曜日

Defkalion社のICCF-18でのデモの信頼性失墜

常温核融合を報道しているスウェーデンのジャーナリストMats Lewan氏が、新著「An Impossible Invention」のためのWebサイトで重大な記事を公開しました。ICCF-18の会議にライブ中継され、Mats Lewan氏が立ち会ったデフカリオン社のHyperion反応炉のデモ(2013年7月23日)では、出力の熱量測定に問題があり、実際にはHyperionから過剰熱が発生していなかった可能性があると報じています。

この報道の元となった評価レポートは、イタリアのMose社の元CTOであるLuca Gamberale氏が書いたものです。Mose社は、デフカリオン社と共同でジョイントベンチャーのデフカリオン・ヨーロッパ社を起こした会社です。
http://animpossibleinvention.files.wordpress.com/2014/05/dgt-faulty-demo-140502-english.pdf

このレポートで指摘された測定誤差が非常に大きいので、デフカリオン社のこれまでの取組みに対する信頼性をも揺るがす大事件となっています。レポートによると、このデモが終わった後に、同じ設定で、Hyperion反応炉を切った状態で動作させたところ、2.5kWの入力に対して約17kWの出力を得たとのこと。過剰熱があったのかどうか全く分からなくなりました。

元々デフカリオン社は、ロッシ氏のE-Catを販売する計画を持っていた会社で、ロッシ氏とは共同記者会見まで開いた経緯があります。しかし、その後、ロッシ氏とは喧嘩別れして、独自の常温核融合炉Hyperionを開発する道を選びました。

デフカリオン社はこれまでHyperionの実験データの詳細を公開した事がありません。そのため、Hyperionの動作については誰も検証しようがない状態でした。しかし、仕様書や論文は発表してきており、プライベートな他者評価も行なっていると発表していたので、私は、結構信頼できると考えてきました。しかし、今回の事件で、信頼度は全く分からなくなったと思います。それにしても、当初、胡散臭いと思われていたロッシ氏が、完全な第三者検証によって大きな信頼を勝ち得たのと対照的な状況になりました。デフカリオン社が、早く信頼性のあるデータや第三者評価結果を出してくれるよう望みます。

以上

2013年10月28日月曜日

デフカリオン社のHyperion R5の実験結果&理論仮説プレプリント公開


デフカリオン社がICCF-18の際に行った公開デモ(と同じ実験?)の結果と、その理論的な説明を記した論文(プレプリント)が公開されました。
以下のPeterさんのブログからリンクされています。著者の一人のJohn Hadjichristos氏はデフカリオン社のCTOだと思います。

http://egooutpeters.blogspot.ro/2013/10/a-seminal-new-paper-about-new-energy.html

❏引用開始
EGO OUT
Thursday, October 24, 2013

A SEMINAL NEW PAPER ABOUT NEW ENERGY.
The ICCF-18 paper:
"Theoretical Analysis and Reaction Mechanisms for Experimental Results of Hydrogen-Nickel Systems" by Yeong E. Kim and John Hadjichristos can be accessed from now at
http://www.physics.purdue.edu/people/faculty/yekim/ICCF-18-JCMNS-KH-Pre-1.pdf

I consider this paper of paramount importance, both by what it says and by the new ways it opens, trends it suggests- it is a (the) genuine New Wave in New Energy opus.
I hope you will approach it with a positive/open minded attitude; your questions and comments focused on the paper are welcome.
Peter
❏引用終了

Hyperion R5の(詳細は省かれた)設計図が載っています。以下の記述を見ると、含まれているニッケル粒子の大きさは、実は5マイクロメーター程度のようです(ニッケルパウダーと言ってますが、ナノパウダーを使っているのではなく、もっと大きな粒を使っている)。但し、このニッケル粒子は、特別な方法で結晶構造を調整されているようです(これはICCF-17の時に発表された論文に出てきた)。
>The Hyperion reactor contains a reactor core of Ni metal foam with many empty cells with average diameter of ~200 microns (μm). Each core is filled with Ni powders of ~ 5 microns (μm). Ni grains had been modified following a proprietary method as described in [1]. The core is supported with a ceramic structure and mu metal layers.

デフカリオン社は、最初はロッシ氏のE-Catを商品化する方向で動いていたのに、途中で袂を分かち、独自の反応炉を開発し始めた経緯があります。そのため、E-Catの秘密を盗んだのではないかとの疑惑を言う人もいたのですが、少なくともHyperionの起動メカニズムはE-Catとは全く別物になっています。
以下の記載によると、タングステンとTZMの電極に定期的にkHz間隔で10〜24kVの電圧をかけて放電させているようです。ヒーターで温める初期温度は、179℃以上と、意外に低い温度です。
>The triggering of the reactions is performed by a HV DC pulsed discharge between W and TZM electrodes (10-24kV, 60-110mA) at a kHz pulse range. This periodic triggering follows the initial pre-heating of the active material at temperature higher than 179℃, using electric heat resistors embedded in the reactor’s structure as in shown in Fig. 1.

水素ガスの代わりにアルゴンガスを使う対照実験系も組まれています。
>Overall cross checking of the system’s performance was performed with a control test using the same system, operating with identical input and coolant flow parameters, except replacing only the H2 gas with Ar gas at the same initial pump-in pressure.

熱量測定の結果は以下の通り。
正実験系:
COP= 3.08
Consumed: 2359 Wh
Produced: 7257 Wh
対照実験系:水素ガスの代わりにアルゴンガスを使用
COP=0.524
Consumed: 5563 Wh
Produced: 2918 Wh

ガンマ線は観測されなかったと言ってます。ただ、実験データが取られたのは5月6日?と違う実験のような気がするのですが・・?
>3.2 Radiation measurements
>As shown in Fig. 4, no gamma rays outside the energy range of 50 keV–300 keV have been observed from the experiments with the Hyperion R-5 reactor (data are from iso-parabolic calorimeter experiment carried out on May 6, 2013).

今回の実験のハイライトである強力な磁場の測定については以下のように記されています。
・毎回の起動サイクルの間、約18cmの距離での測定で、0.6から1.6テスラという強い磁場が観測された。(磁場の強さの比較については以下が参考になります)
http://ja.wikipedia.org/wiki/磁場の比較
・この磁場は、電流を切った後も3〜4秒持続した。

>3.3. Magnetic field measurements
>After each triggering duty cycle (the triggering sequences producing excess heat), the magnetic fields at ~18 cm from the reactor at all three locations rose from ~0.6 Tesla to ~1.6 Tesla (DC peak) during each reaction period. Such anomalous peak signals were maintained for approximately 3-4 sec after the HV currents were cut off.

また、同位元素については、偶数番号のニッケル(58、60、62、64)が過剰熱を生成する一方、ニッケル61は過剰熱を生成しないと述べられています。
>3.4. Even-isotope effect measurements
>It was reported by Hadjichristos et al. [1] that the Hyperion reactor with each of even isotopes of Ni (58Ni, 60Ni, 62Ni, and 64Ni) produced excess heat as described in sub-section 3.1, while the odd Ni isotope 61Ni did not, even though all single isotope crystals were treated using the same preparation and triggering protocols.
This type of experiments will be repeated, using the real time mass spectrometer described in [28].

以上

❏補足
TZMとは、チタンジルコニアモリブデンというモリブデン合金の事のようです。
http://www.vacs-precision.com/molybdenum-and-its-alloys-tzm.html

タングステンの元素記号がTungstenとは似ても似つかぬWなのが不思議だったのですが、WikipediaにWの由来が以下のように記されていました。
>タングステン (tungsten) とは、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で「重い石」という意味である。元素記号の W はドイツ語の Wolfram にちなむ(エルヤル兄弟の命名もここから)。これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石)wolfart から来ており、これがスズ鉱石の中に混入すると、スラグを作ってスズの精製を阻害することから、スズを狼のようにむさぼり食べるという意味で名づけられた[3]。

Mu-metalとは、77%のニッケル、16%の鉄、5%の銅、2%のクロム(又はモリブデン)からなる合金で、高い透磁率を持つのが特長とのこと。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mu-metal


2012年10月24日水曜日

デフカリオン社の第三者検証結果公表と謎のリーク

デフカリオン社が、かねてから約束していた第三者による検証レポートのプレリミナリ版を公開しました。今日は中身に触れる余裕がありませんが、ざっと状況を振り返ってみます。

公開されたドキュメントは2つ。一つは、検証結果のエグゼクティブサマリです。このレポートを書いた人名は黒塗りされて伏せられています。しかし、実は、公開当初のドキュメントでは、この黒塗り部分のテキストをコピーして、メモ帳に貼り付けると、隠された人名がいとも簡単に分かるようなものになっていました。



もう一つのドキュメントは、詳細な検証方法と結果レポートです。これは、手書きサインの入った文書をスキャンしたもののようです。



検証の様子を伝える動画(2本)も同時に公開されました。


Calorimetry setup



Triggering the reaction

さて、先ほどのエグゼクティブサマリを書いた人物の名前はNASAに勤める「Michael Nelson」氏でした。Forbes誌のMark Gibbs記者が早速取材し、Nelson氏が検証にNASAとして参加したのではなく、New Energy Foundation社の依頼で参加した事が明らかになっています。

更に、どういう経緯か把握できていませんが、このNelson氏が書いた「Executive Summary of visit to Defkalion Headquarters, Athens Greece March 2nd – 6th」という、デフカリオン社の秘密文書が漏洩しました。
http://ecatnews.com/wp-content/uploads/2012/10/Summary-of-Visit-to-Defkalion.pdf

この中には、ロッシ氏のE-Catとデフカリオン社のHyperionの技術的な相違が詳しく述べられており、非常に興味深い内容になっています。私が特に興味を惹かれたのは、以下の一文です。どうもカリウム(Potassium)が謎の触媒の一つと言っているように見えます。
5) Use of the catalyst Potassium as well as other unknown ingredients is required.

以上