ゴミの焼却灰の放射性物質濃度が高いために埋め立て処分できず、いつまでも一時保管庫に置かざるを得ないという問題が起こっています。この実験は、放射線物質を含む焼却灰にナノ銀(ナノ純銀)担持材を混ぜることで放射線の低減を図り、その効果を計測したものです。千葉県柏市南部クリーンセンターにて、2012年3月28日9:30〜11:45に実施されました。
この実験の結果をまとめたレポートは以下です。阿部宣男博士からいただいたレポートを元に、見やすいように筆者が少し手直しをしました。海外の方にも分かるように英語を補ったのは筆者です。また、何かご迷惑をかけるといけないので、阿部宣男博士以外の個人名を削除しました。
実験の概要は以下の通りです。
- 焼却灰12Kgずつをペール缶に取り出し、3種類の試験濾材を混ぜ、25分後と30分後に放射線を計測した。
- 25分後の計測では、試験濾材を混ぜた灰をジップロックポリ袋に数百グラム程度取り出したものを計測した。30分後の計測では、試験濾材を混ぜた灰をペール缶に入れたまま計測した。
- 3種類の試験濾材は以下の通り:
A 水道水3.6リットル(対照実験として)、
B ナノ純銀担持コラーゲン溶液10ppm 3リットル+ナノ純銀担持骨炭3Kg、
C ナノ純銀担持コラーゲン溶液20ppm 3リットル+ナノ純銀担持骨炭3Kg
(BとCはナノ純銀担持コラーゲン溶液の濃度が異なる)。 - この結果、BとCのケースでは放射線の強度が低下。例えば、Cの30分後のペール缶の計測では、当初6.12μSvあったものが、試験濾材を混ぜた直後に4.00μSVに低下。30分後の放射線強度は直後と大きな差は見られない。
岩崎信博士が研究会で発表された予稿に載っている実験では、同じように、ナノ銀骨炭を試料に混合した直後に大きな放射線の低減が起こっています。また、その後、放射線の減少は止まったかに見えるのですが、再度水を入れて攪拌すると再び低減が起こっています。
この事から考えると、今回紹介した焼却灰を使った実験でも、再度攪拌すると更なる低減が起こったのではないかと期待できます。残念ながら、この実験時には時間的な制約から30分後までの計測だったようです。
今も毎日、埋め立て処分できないほど汚染レベルの高い焼却灰が増え続けています。今後何十年にもわたって危険な灰を保管し続けるリスクを考えれば、ナノ銀を使った放射線低減は試す価値があると思います。ゴミ焼却に関心を持たれる方々には、是非、試してみていただきたいと願う次第です。
以上