2013年5月12日日曜日

デフカリオン社へのインタビューから見える常温核融合に取り組まないリスク

カナダのバンクーバーに移転したデフカリオン社は、昨年夏のNIWeek 2012とICCF-17で常温核融合装置Hyperionの発表を行なって以降、目立ったニュースもなく、沈黙しているかのようでした。このデフカリオン社のCEOであるAlex Xanthoulis氏とコミュニケーション&ビジネス開拓ディレクタのSymeon Tsalikoglou氏へのインタビュー記事がPESNの4月4日版に載りました。

このインタビューの内容が興味深いものだったので、簡単に要点をまとめます(赤色は私が付けました)。
  • 8月に開かれるナショナルインスツルメンツ社のイベントNIWeek2013に実働デモを出展し、技術的なプレゼンテーションを行う。CEOのAlex氏は、ナショナルインスツルメンツ社CEOのJames Truchard氏の物心両面の支援に感謝している。
  • 7月にミズーリ大学で開催されるICCF-18では、準備が難しいためデモは行わず、プレゼンテーションのみを行う。
  • バンクーバー市長は、2020年までにバンクーバー市を世界で最もグリーンな都市にする目標をもっており、デフカリオン社にも良い環境である。CEOのAlex氏は若い頃、バンクーバー市で過ごした事があり、支えてくれる友人も多い。
  • 過去2年間、デフカリオン社は技術ライセンスに興味を持つ約450社からアプローチを受けてきた。その中から対象を20社以下に絞り込み、常温核融合技術の様々な適用を検討している。その20社の分野は以下の通り:
    Water Desalination (淡水化)、Boilers、Trains、Ships、Airplanes、Satellites、Cars、Motorcycles、Hotels、District Heating、Mining、Telecommunications Towers、IT、Metals、Cements、Pipes、Tires
  • デフカリオン社のビジネスは、製品の販売ではなく技術の販売。
  • 但し例外もあって、造船が盛んなギリシアでは、デフカリオン社自身が適用を考えていた。1万8千トンから2万トンの大型貨物船は、毎日2万ドル相当の燃料を消費する。しかし、デフカリオン社の技術(常温核融合)を使えば、このコストは500ドル/日にまで下がる。つまり40分の1だ
  • Alex氏は、この技術を使った新しい原子力発電所のコストは12分の1になると予想している。1キロワット時あたり約0.35セントになるとの予想だ
  • このユニットが家庭のコジェネレーション発電に用いられたとすると、550平方メートルの家の光熱費は半年で300ドルになるだろう。
  • 反応炉の燃料は少なくとも半年は持つ。テストしているモジュールの一つは8ヶ月を過ぎてなおも動いている。
  • もう一つ、デフカリオン社自身が適用を行なっているのは淡水化だ。これは、Alex氏とSymeon氏のお気に入りのプロジェクトだ。世界中の人々に手頃な価格で水を提供できるだろう。エネルギー費用がネックになっているので、この技術が役に立つ。
  • 自動車への適用は欧州最大の自動車会社が取り組んでいる
  • テレコム系への適用は、産業最大級の企業のうちの一社が取り組んでいる
  • 飛行機についても同様だ
  • これらの大企業のうちの一社が、今後6ヶ月以内にこの技術について大きな発表を行う予定だ。最初の商用製品は、2014年の上半期に出てくるだろう
  • デフカリオン社は提携の前に、その分野に同様の適用計画がない事を確認しており、各提携はその分野について排他的になっている
  • ある米国の企業が、デフカリオン社の技術を6ヶ月にわたって評価した。その結果、危険な放射線は出ておらず、若干のガンマ線は観測されるが家庭用トースターより弱い位だったとレポートしている。
  • バンクーバーの本社では約20名の従業員が働いており、世界中に設立した7箇所の研究開発拠点では約17名が働いている。
如何でしょうか? 非常に重要なのは、既に20社近くの企業、しかも、おそらくは各分野を代表するような大企業がデフカリオン社と共同で技術検討を行なっているとの表明がなされている事です。しかも、各分野毎に契約は1社とのみ排他的に結ぶという戦略を取っているとも表明しています。この1社は、常温核融合技術を手に入れる事によって、その業界の中でずば抜けた製品を提供できるでしょう。逸早く常温核融合の可能性に気が付き、技術開発に早く着手した企業が市場で圧倒的な優位性を築くことになるかもしれません。

この記事を読んでいる経営者や投資家のみなさん、常温核融合が世間に認知されてからでは遅いかもしれません。技術評価に着手すべき時が来ています。騙されたり、失望に終わったりするかもしれない? そうですね、そういったリスクは無いとは言えません。しかし、手をこまねいて見ていて着手が遅れるリスクはどんどん大きくなっています。早く可能性に気がついてください。


以上

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