2016年9月5日月曜日

常温核融合ベンチャー LENR Cities は破綻して解散

常温核融合のベンチャーとして設立されたLENR Citiesが破綻し、解散してしまったようです。常温核融合に関するエコシステムを作るという面白いコンセプトだったのですが、残念な結果に終わってしまいました。


LENR Citiesについて気になっていたのはEGO OUTに載ったCEOのインタビューで、最初のプロジェクトは核廃棄物の無害化テクノロジーだと答えている点です。以下にその部分を引用します(赤字は引用者による)。


A first Project is to develop in the coming months a first disruptive technology, a Nuclear Waste Remediation technology, that is to say a transmutation technology and the stake is to develop a scalable solution.  We are also looking for funding to implement our PhD program project at full scale as part of this project.
このプロジェクトとは、もしかすると、ロシアのActinidesグループによる微生物核変換のことを指していたのでは・・・と想像もするのですが、発表がLENR Citiesの拠点であったスイスで行われた、という事しか分かっている関連性はありません。

以上

2016年9月4日日曜日

MFMPとBob Higginsさんによる安価な中性子線測定器の試み(2)

以前、MFMPとBob Higgins氏が安価な中性子線測定器を作成しているとお伝えしましたが、いよいよ第1版が完成したようです。

MFMPが以下の記事で伝えています。既に数個の基盤ができていて、MFMPが実際に使ってみるようです。結果が出るのが楽しみですね。


Bog Higgins氏が書いた仕様書が以下に登録されています。中身は難解でよく分かりませんが、たいへんな力作である事は分かります。
http://goo.gl/wuLWH8

以上

核種変換反応膜の再生方法に関する三菱重工の特許

岩村康弘博士が考案したナノ多層膜重水素透過法による元素変換を三菱重工も継続して研究・実用化していくという論文を出している件を以前にお伝えしました

さて、その三菱重工から出願されている元素変換方式を改善するための特許が公開されています。名称は以下の通りです。
核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システム (JP 2016-138807 A 2016.8.4)

要約は以下のようになっています。



(54) 【発明の名称】核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システム 
(57) 【要約】 
【課題】核種変換反応後の核種変換反応膜の再生が可能な核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システムを提供すること。 
【解決手段】核種変換反応膜の再生方法は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも1種の金属を含む基材と、基材上に設けられ、金属に対して相対的に仕事関数が低い低仕事関数物質を含む第1層と金属を含む第2層とが交互に積層された中間層と、中間層上に設けられ、金属を含む表面層と、を備えた核種変換反応膜の再生方法であって、核種変換反応膜を酸溶液で処理して基材上に設けられた中間層及び表面層の全てを溶解除去して核種変換反応後の被変換物質を回収する酸洗浄工程ST11と、中間層及び表面層が溶解除去された基材を純水によって洗浄する純水洗浄工程ST12と、純水によって洗浄された基材上に、中間層及び表面層を積層して核種変換反応膜を再生する積層工程ST13とを含む。
【選択図】図1
どうやら、反応膜に生じた元素を取り出す際に、反応膜全部を壊してしまうのではなく、中間層と表面層だけを溶かして取り出し、その後に再度中間層と表面層を作るという方式のようです。

以上

常温核融合~イタリアでの研究の歴史

これは2009年に発行されたものですが、イタリアでの常温核融合研究の歴史をまとめた資料です。「COLD FUSION~The History of Research in Italy」という題名です。


これもJed Rothwell氏の投稿で知りました。ありがとうございました。


以上

SPAWARの常温核融合論文集が公開される

米国の海軍研究所(SPAWAR)で行われていた常温核融合の研究成果をまとめた論文集が公開されました。全体で約100ページの文書となっています。題名は「Investigation of Nano Nuclear Reactions in Condensed Matter, Final Report」です。


メーリングリストVortex-lでJed Rothwell氏からの投稿で知りました。


最後のページを見ると、2016年6月7日に公開されたことが分かります。


以上

2016年8月21日日曜日

日本原子力学会関西支部で開かれた常温核融合の講演会

既に半年前の話ですが、日本原子力学会関西支部で三菱重工の鶴我薫典氏と東北大学の岩村康弘特任教授を招いた講演会が2016年2月10日に開かれていました。
講演題目1:「新しい元素変換反応現象について」
講演者  :三菱重工業(株) 技術本部 総合研究所 鶴我 薫典 氏
講演題目2:「凝集系核反応研究の現状と今後について」
講演者  :東北大学 電子理光学研究センター  岩村 康弘 特任教授
日本原子力学会の主催で元素変換や凝縮系核反応(常温核融合)の講演会が開かれる時代になったのですね。



以上

三菱重工技報に載ったナノ多層膜重水素透過法による元素変換

三菱重工は、元素変換の研究を岩村康弘博士と共に全て東北大学に移管したのかと思っていたのですが、これは私の誤解でした。「常温核融合は本当だった! その15」に載った記事を見て気が付きました。

三菱重工技報 第52巻第4号に、「重水素透過によるナノ構造多層反応膜上での元素変換反応」という論文が掲載されました(英文はここ)。目次は以下に掲載されています。



この論文は、岩村博士が発見した元素変換のこれまでの成果を振り返るものになっています。


注目すべきは、論文の著者に、鶴我 薫典氏(技術統括本部総合研究所電気・応用物理研究部)等、三菱重工のメンバーが名を連ねているところかと思います。最後の「まとめ」には以下のように記されており、三菱重工としても研究・実用化を継続していくと読み取れます。今後の成果に期待しましょう!
以上述べたように,反応収量の増大など実用化に向けて進展はあるものの,反応の原理を含め本現象の本質はまだ明らかになっていない。しかし,放射性廃棄物処理への展開など,従来にない革新的な新技術になる可能性があり,引き続き現象の解明を行いつつ,実用化に向けた研究を推進していきたい。
なお,東北大学 岩村特任教授,伊藤客員准教授には,当社在籍中より本研究の推進に多大なるご貢献を頂いており,感謝致します。 

以上