SSICCF20では東北大学の岩村康弘博士の発表もありました。以下がアブストラクトの前半です。
東北大学電子光理学研究センターの凝縮系核反応研究部門での進捗状況について興味深い内容が書かれていますので、以下に引用します。日本語は私の感想です。
1) Anomalous excess heat generated by the interaction between nano-structured Pd/Ni surface and D2/H2 gas was observed. These experiments are based on Mizuno’s experiments [1]-[2]. Recently, our experimental set-ups have been improved to be able to make experiments under high pressure D2/H2 gas up to 0.3Mpa.
パラジウム/ニッケルのナノ構造を持った金属表面と重水素/軽水素による過情熱検出は順調に進んでいるようです。これは水野忠彦博士の考案した実験方式に基いていて、これを改良しているようです。
2) Replication Experiments based on Kitamura and Takahashi’s work [3] were performed at Tohoku University. Anomalous heat generation using Nickel-based binary nanocomposites and hydrogen isotope gas was reproduced.
日経新聞の記事の中に、より安価な材料での実験を行いたいという趣旨の事が書いてありましたが、これが該当するのかもしれません。北村博士と高橋博士の実験方法を使って、ニッケルと軽水素を使っての過情熱生成が再現できているようです。
3) 141Pr was confirmed by Rutherford Backscattering Spectroscopy with the statistical significance of about 2.5. 141Pr is supposed to be a transmuted isotope from Cs using Pd/CaO multi-layer foil with D2 gas permeation [4]-[5]. RBS has never been applied to detection of 141Pr, although 141Pr we detected by XPS, ICP-MS, SIMS, TOF-SIMS and XRF [4]-[5].
私としては、この元素変換実験の進捗も大いに気になっていました。パラジウムと酸化カルシウムの多層箔を用いたセシウムの元素変換実験では、プラセオジム141が有意に検出されているとのこと。
4) Transmutation experiments of stable Se, Zr and Pd were performed. The aim of these experiments is to transmute long lived radioisotopes (107Pd, 79Se, 93Zr and 135Cs) into stable ones.
セレン、ジルコニウム、パラジウムの安定元素についても実験が行われているようです。目標は、取扱が厄介な長寿命放射性元素を安定元素へ変換する事だと。期待しましょう。
以上
2016年10月2日日曜日
2016年9月4日日曜日
核種変換反応膜の再生方法に関する三菱重工の特許
岩村康弘博士が考案したナノ多層膜重水素透過法による元素変換を三菱重工も継続して研究・実用化していくという論文を出している件を以前にお伝えしました。
さて、その三菱重工から出願されている元素変換方式を改善するための特許が公開されています。名称は以下の通りです。
核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システム (JP 2016-138807 A 2016.8.4)
要約は以下のようになっています。
以上
さて、その三菱重工から出願されている元素変換方式を改善するための特許が公開されています。名称は以下の通りです。
核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システム (JP 2016-138807 A 2016.8.4)
要約は以下のようになっています。
(54) 【発明の名称】核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システム
(57) 【要約】
【課題】核種変換反応後の核種変換反応膜の再生が可能な核種変換反応膜の再生方法及び核種変換システムを提供すること。
【解決手段】核種変換反応膜の再生方法は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも1種の金属を含む基材と、基材上に設けられ、金属に対して相対的に仕事関数が低い低仕事関数物質を含む第1層と金属を含む第2層とが交互に積層された中間層と、中間層上に設けられ、金属を含む表面層と、を備えた核種変換反応膜の再生方法であって、核種変換反応膜を酸溶液で処理して基材上に設けられた中間層及び表面層の全てを溶解除去して核種変換反応後の被変換物質を回収する酸洗浄工程ST11と、中間層及び表面層が溶解除去された基材を純水によって洗浄する純水洗浄工程ST12と、純水によって洗浄された基材上に、中間層及び表面層を積層して核種変換反応膜を再生する積層工程ST13とを含む。どうやら、反応膜に生じた元素を取り出す際に、反応膜全部を壊してしまうのではなく、中間層と表面層だけを溶かして取り出し、その後に再度中間層と表面層を作るという方式のようです。
【選択図】図1
以上
2016年8月21日日曜日
日本原子力学会関西支部で開かれた常温核融合の講演会
既に半年前の話ですが、日本原子力学会関西支部で三菱重工の鶴我薫典氏と東北大学の岩村康弘特任教授を招いた講演会が2016年2月10日に開かれていました。
以上
講演題目1:「新しい元素変換反応現象について」日本原子力学会の主催で元素変換や凝縮系核反応(常温核融合)の講演会が開かれる時代になったのですね。
講演者 :三菱重工業(株) 技術本部 総合研究所 鶴我 薫典 氏
講演題目2:「凝集系核反応研究の現状と今後について」
講演者 :東北大学 電子理光学研究センター 岩村 康弘 特任教授
以上
2016年5月4日水曜日
ベルギーのプラズマ物理会議にて常温核融合のサテライトミーティング開催
仕事の方が忙しくて、結局、4月は一つも記事を書けませんでした。その間に、E-Catの350日間テストが終わったり、その結果を巡ってロッシ氏がインダストリアル・ヒート社を訴えたりと非常に重要な動きがあったのですが、それは後回しにしてそれ以外のニュースを書いて調子を取り戻したいと思います。
ベルギーで開かれるプラズマ物理会議で常温核融合に関するサテライトミーティングが開かれるようです。
以上
ベルギーで開かれるプラズマ物理会議で常温核融合に関するサテライトミーティングが開かれるようです。
Satellite meeting
Proposed Satellite Meeting to the 43rd EPSMeeting on Plasma Physics on
Low Energy Nuclear Reactions ...
After the media attention of the Pons and Fleishmann “Cold Fusion” announcement in 1989, the activity in this field of research, presently called Low Energy Nuclear Reaction or LENR, appeared to have withered over the following years at least from the point of view of the “main stream scientists”.
However, today, there is worldwide still a relatively small community of researchers trying to characterise the source of the observed Anomalous Heat Effect (AHE) as well as to improve the conditions for reproducibility while seeking to understand what is going on. Here is a phenomenon, reproducible, albeit not easily, with demonstrated hallmarks of nuclear reactions where none are expected and for which there is no trivial explanation today. It is a scientist's dream: to be at the frontier, at the confrontation of observations and theories that do not predict or explain this yet, trying to unravel what nature appears to be able to make happen unexpectedly thereby possibly opening new avenues to physics and science (cfr. Max Planck and the birth of quantum physics).
The meeting aims to inform scientists outside the LENR field about the history and ongoing activity in the field. The meeting will focus on the science of LENR while attempting to avoid gratuitous extrapolations to commercial future applications.アジェンダは以下のようになっています。日本からは岩村康弘博士が発表者として参加されるようです。
Agenda (subject to modifications)
08:30 Registration
09.00 Opening comments / practical issues
09.10 Jean-Paul Biberian : History of Cold Fusion
10.00 Pamela A. Mosier-Boss : Pd/D Co-deposition and LENR
10.50 Pause 20'
11.10 Vittorio Violante : Material Science for Understanding the Fleischmann and Pons Effect
12:00 Yasuhiro Iwamura : Transmutation reactions induced by deuterium permeation through nano-structured multilayer thin film
12.50 Lunch 1h10' (possibly standing to achieve mixing and discussions)
14:00 Graham Hubler : Fundamental Physics Experiments to Microscopically Define the Anomalous Heat Effect
14:50 Sveinn Ólafsson : Rydberg Phase of Hydrogen and Low Energy Nuclear Reactions
15:40 Pause 20'
16:00 Peter Hagelstein : A theoretical approach to modelling excess heat and other anomalies
16:50 Mahadeva Srinivasan : TBC: Past and present research on LENR in India
17:40 Edmund Storms: TBC
18:30 Closing Remarks
18:50 Adjourn scientific meeting
19:00 Reception 1h00' TBC
20:00 Close
以上
2015年6月21日日曜日
凝縮系核反応共同研究部門が日経に取り上げられました
2015年6月15日の日経新聞の「科学記者の目」のコーナーに「核のごみを無害化 「常温核融合」の遺産を利用」という黒川卓氏の記事が載りました。
会員のみに限定された記事(但し、無料会員になるのも簡単です)なので、引用は慎みますが、概ね以下のような内容でした。冷静に書かれた良い記事だと思います。
英語版が出ないのは残念だと思っていたら、6月20日に英語版の記事も公開されました。こちらは全文が公開されています。

日経新聞はこれまでにも岩村康弘博士の研究を報道してきています。例えば、4月には「岩村康弘博士の常温核融合研究が日経新聞に報じられる」で紹介した記事を企業報道部の三浦義和氏が書いています。
インターネット上には、「学術的な内容が全く分からない記事」と批判する意見もありますが、これは一般向けに書かれた記事なので、その批判はあたらないと思います。岩村康弘博士の研究成果や経緯を知りたければ、以下の記事を見るのが速いでしょう。参考文献に論文が挙がっていますので、そこから深く調べて行けます。また、常温核融合の概略が知りたければ、カレントサイエンス誌の特集を見るのが速いと思います。
以上
会員のみに限定された記事(但し、無料会員になるのも簡単です)なので、引用は慎みますが、概ね以下のような内容でした。冷静に書かれた良い記事だと思います。
- 東北大電子光理学研究センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が設立された。
- 放射性廃棄物を放射線を出さない物質に核変換する技術が、政府が昨年度始めた大型研究プロジェクト「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」のテーマに選ばれた。
- これまでの常温核融合研究の歩みを振り返りつつ、「核科学の常識ではあり得ないデータが出ているのだから、メカニズムを解明する必要があると思った」という研究者の思いを紹介。
- 核廃棄物の処理は重要な課題であることから、「いつ実現するかは見通せないが、多様な核変換の研究開発の推移を見守りたい」と締めくくる。
英語版が出ないのは残念だと思っていたら、6月20日に英語版の記事も公開されました。こちらは全文が公開されています。

日経新聞はこれまでにも岩村康弘博士の研究を報道してきています。例えば、4月には「岩村康弘博士の常温核融合研究が日経新聞に報じられる」で紹介した記事を企業報道部の三浦義和氏が書いています。
インターネット上には、「学術的な内容が全く分からない記事」と批判する意見もありますが、これは一般向けに書かれた記事なので、その批判はあたらないと思います。岩村康弘博士の研究成果や経緯を知りたければ、以下の記事を見るのが速いでしょう。参考文献に論文が挙がっていますので、そこから深く調べて行けます。また、常温核融合の概略が知りたければ、カレントサイエンス誌の特集を見るのが速いと思います。
以上
2015年6月6日土曜日
2015年5月14日「凝縮系核科学の現状と将来」コロキウムの講演ビデオ
2015年5月14日に、東工大の大岡山キャンパス蔵前会館にて開催された「凝縮系核科学の現状と将来」というコロキウムでの講演ビデオが公開されました。
長年にわたって常温核融合研究を積み重ねてきた一流の研究者たちによる日本語の講演です(Nagel博士の講演は英語)。日本人に理解しやすい講演ビデオが公開されたのは、たいへん大きな意味があると思います。公開してくれたClean Planet社と、講師の皆様に感謝します。
以上
長年にわたって常温核融合研究を積み重ねてきた一流の研究者たちによる日本語の講演です(Nagel博士の講演は英語)。日本人に理解しやすい講演ビデオが公開されたのは、たいへん大きな意味があると思います。公開してくれたClean Planet社と、講師の皆様に感謝します。
講師と概要
吉野 英樹 氏(株式会社クリーンプラネット 代表取締役社長): 開会の挨拶
小栗 慶之 博士(東京工業大学教授): 開会の挨拶
笠木 治郎太 博士(東北大学 名誉教授): 凝縮系核反応~常温核融合ミラクルへの挑戦
高橋 亮人 博士(大阪大学 名誉教授): 熱発生実験の現状と今後(1/2)
高橋 亮人 博士(大阪大学 名誉教授): 熱発生実験の現状と今後(2/2)
岩村 康弘 博士(東北大学 特任教授): 凝縮系核反応~共同研究部門の目指すもの
Professor David Nagel explains LENR in Tokyo (1/2)
Professor David Nagel explains LENR in Tokyo (2/2)
以上
2015年5月17日日曜日
東工大・原子炉研コロキウム「凝縮系核科学の現状と将来」が開催される
2015年5月14日に、東工大の大岡山キャンパス蔵前会館にて、「凝縮系核科学の現状と将来」というコロキウムが開催されました。その前日には、東北大学の電子光理学研究センターで、凝縮系核反応共同研究部門の設立を記念したミニシンポジウムが開催されており、講演者の笠木博士らは、仙台から移動して来られたようです。
私も仕事を休んで参加してきました。会場には、目視で80名くらいの出席者がいたと思われます。最初の挨拶で、意外に産業界からの出席者が多いという発言がありました。日本でもビジネスマンの方が敏感に反応しているようです。
会議のプログラムは以下の通りです。
日時: 2015年5月14日(木) 13時~17時
場所: 東京工業大学蔵前会館ロイヤルブルーホール (13時~16時 講演)
同上 2階 大会議室 (16時~17時 懇親会・ディスカッション)
司会: 伊藤岳彦(東北大学客員准教授)
挨拶: 小栗慶之(東京工業大学教授)
吉野英樹(株式会社クリーンプラネット 代表取締役社長)
はじめに: 笠木治郎太(東北大学名誉教授)
金属凝集系と水素の異常発熱: 高橋亮人(大阪大学名誉教授)
凝縮系核変換の現状と今後の展開: 岩村康弘(東北大学特任教授)
Low Energy Nuclear Reactions: Robust Results, Promising Potential and Critical Challenges: David Nagel (Professor. George Washington University)
講演には質疑の時間があり、幾つか興味深い議論がありました。一つは、「こんなに驚くべき結果が出ているのに、なぜマスメディアは取り上げないのか?」というものです。うまく答えておられましたが、この質問は、本来はこの会場に来ていないマスメディアの「科学ジャーナリスト」の方々に向けられるものだと思います。私は、日本の大方の科学ジャーナリストは権威付けられたものしか報道しないから、というのが答えだと思ってます。
また、別の質問で、岩村博士が色々な元素の変換を試す中で、非放射性の元素から放射性の元素が生まれた事はないのか、というものがありました。岩村博士によると、残念ながら、今まで、変換先の元素として放射性元素を検出したことは無いとの事。仮に放射性元素が生じにくいのだとすると、そこには常温核融合のメカニズムの秘密が隠されているかもしれませんね。
いずれにしても、このような学術会議が日本で開かれるようになった意義は大きいと思います。今後も継続して開催されるよう期待しています。
以上
5月13日、14日の2日間に渡って、シンポジウム「常温核融合の現状と未来」を、東北大学、東工大と開催致しました。平日の午後の開催にもかかわらず、おかげさまで、160人を超える日本の産官学を代表するオピニオンリーダーの方々にご出席いただきま...
Posted by Clean Planet Inc. on 2015年5月17日
私も仕事を休んで参加してきました。会場には、目視で80名くらいの出席者がいたと思われます。最初の挨拶で、意外に産業界からの出席者が多いという発言がありました。日本でもビジネスマンの方が敏感に反応しているようです。
会議のプログラムは以下の通りです。
日時: 2015年5月14日(木) 13時~17時
場所: 東京工業大学蔵前会館ロイヤルブルーホール (13時~16時 講演)
同上 2階 大会議室 (16時~17時 懇親会・ディスカッション)
司会: 伊藤岳彦(東北大学客員准教授)
挨拶: 小栗慶之(東京工業大学教授)
吉野英樹(株式会社クリーンプラネット 代表取締役社長)
はじめに: 笠木治郎太(東北大学名誉教授)
金属凝集系と水素の異常発熱: 高橋亮人(大阪大学名誉教授)
凝縮系核変換の現状と今後の展開: 岩村康弘(東北大学特任教授)
Low Energy Nuclear Reactions: Robust Results, Promising Potential and Critical Challenges: David Nagel (Professor. George Washington University)
講演には質疑の時間があり、幾つか興味深い議論がありました。一つは、「こんなに驚くべき結果が出ているのに、なぜマスメディアは取り上げないのか?」というものです。うまく答えておられましたが、この質問は、本来はこの会場に来ていないマスメディアの「科学ジャーナリスト」の方々に向けられるものだと思います。私は、日本の大方の科学ジャーナリストは権威付けられたものしか報道しないから、というのが答えだと思ってます。
また、別の質問で、岩村博士が色々な元素の変換を試す中で、非放射性の元素から放射性の元素が生まれた事はないのか、というものがありました。岩村博士によると、残念ながら、今まで、変換先の元素として放射性元素を検出したことは無いとの事。仮に放射性元素が生じにくいのだとすると、そこには常温核融合のメカニズムの秘密が隠されているかもしれませんね。
いずれにしても、このような学術会議が日本で開かれるようになった意義は大きいと思います。今後も継続して開催されるよう期待しています。
以上
2015年4月17日金曜日
ICCF-19の岩村康弘博士のプレゼンテーション(月曜日)
ICCF-19での岩村康弘博士のプレゼンテーションの様子が以下のブログに投稿されていました。
資料は以下にありました。2015年4月に東北大学に設立された常温核融合研究部門の活動計画が紹介されています。
以上
資料は以下にありました。2015年4月に東北大学に設立された常温核融合研究部門の活動計画が紹介されています。
以上
2014年12月2日火曜日
岩村康弘博士の元素変換記事がIsotope Newsに掲載される
日本アイソトープ協会の広報誌であるIsotope News〔No.728〕2014年12月号の「展望」というセクションに、元素変換実験で有名な三菱重工業の岩村康弘博士の原稿が載りました。
論文ではなく一般向けの科学記事として、これまでの元素変換実験の結果を5ページに圧縮してまとめてあるので、オススメです。PDFとして無料でダウンロードできます。科学の世界でメジャーな広報誌に常温核融合の肯定的な実験結果が載るのは素晴らしいことだと思います。
http://www.jrias.or.jp/books/cat3/2014/728.html
論文ではなく一般向けの科学記事として、これまでの元素変換実験の結果を5ページに圧縮してまとめてあるので、オススメです。PDFとして無料でダウンロードできます。科学の世界でメジャーな広報誌に常温核融合の肯定的な実験結果が載るのは素晴らしいことだと思います。
http://www.jrias.or.jp/books/cat3/2014/728.html
Isotope News 〔No.728〕2014年12月号目次この記事の最後の方で、MITの講演でも報告されていた元素変換反応の収量の格段の増加に触れられています(以下に引用します)。マイクログラムオーダーまで収量は増加しているようで、たいへん素晴らしい進展だと思います。
展望
ナノ構造金属において重水素透過によって観測される“元素変換”現象について
岩村 康弘
4 収量増大への取り組み以上
これまでの反応収量は通常数ng〜数十ng オーダーに留まっており,実用化のためには,反応収量の増大が必要である。そのため,最近は実用化を目指した,変換量の増大研究に取り組んでいる。実験結果から,以下の要因が変換反応に重要であるという仮説を立てて研究を進めている。
1)表面の重水素密度
2)Pd 表面層の電子状態
1)の重水素密度が高い方場合に変換量が増大することは重水素透過実験から確認できている。ただし,ガス透過法では付加できる圧力には限界があり,収率の飛躍的向上は困難と判断し,以降の重水素透過は電気化学的手法を採用し,等価的に高い重水素圧力を Pd 表面に加えることで重水素密度の向上を図った。図 8 は重水素のガス透過法と電気化学的手法を用いて透過的に重水素を高圧で透過させる手法の比較を示している。両者は重水素を透過させるという意味において同じであるが,表面の重水素密度が異なる。図 9 はこの両者の実験による元素変換反応の収量の違いをまとめたものである。このように従来 ng オーダーであった収量が電気化学的重水素透過法により 2〜3 桁程度増大していることが分かる。
2014年10月13日月曜日
材料研究機構による岩村康弘博士の元素変換実験の追試
「元素変換 現代版<錬金術>のフロンティア」を読んで、以下の研究報告書があることを知りました。岩村博士の元素変換実験の追試に相当し、更に収量を上げるための要因を見出そうとしています。概要の部分を引用します。
https://kaken.nii.ac.jp/pdf/2012/seika/C-19_1/82108/22560744seika.pdf
セシウムの場合だと、以下のように質量数139,140,141,142あたりの元素が現れていると報告されています。
また、タングステンの場合だと、以下のように質量数190の元素の増加がシャープに現れていると報告されています。
これまで、日本の常温核融合研究では、豊田中研による追試しか行われていないと思っていたので、私にとっては新たな情報でした。この本に感謝したいと思います。
それにしても、このような重要な研究に科研費がたった442万円しか支出されていないのは、納税者としては不満です。未来の無い原発関連の研究費用を削って、もっとこちらに研究費を増やすべきだと思います。また、この報告書のPDFファイル内のテキストが検索対象となっていない事にも不満です。広く検索できるように、テキスト情報を付けた状態で公開すべきだと思います。
以上
https://kaken.nii.ac.jp/pdf/2012/seika/C-19_1/82108/22560744seika.pdf
科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書この報告書では、パラジウム層を含む多重膜に重水素を透過させて、その際に、表面に注入したセシウムとタングステンからどのような元素が生じるかを定量的に分析しています。
平成25年 6月 17日現在
機関番号: 82108
研究種目: 基盤研究(C)
研究期間: 2010~2012
課題番号: 22560744
研究課題名(和文) 重水素透過誘起希土類元素生成反応の現象理解と収率向上
研究課題名(英文) Clarification and yield enhancement of deuterium-permeation-induced generation of rare earth elements.
研究代表者
西村 睦(NISHIMURA CHIKASHI)
独立行政法人物質・材料研究機構・水素利用材料ユニット・ユニット長
研究者番号: 20344434
研究成果の概要(和文):
重水素透過誘起元素生成反応で用いられてきた複合膜の重水素透過特性を明らかにした。ガス透過法で、圧力が高いほど生成物の収率が向上することを明らかにし た。電気化学的に重水素透過した試料を SIMS および ICP-MS 法で分析し、133Cs から質量数 139,140,141,142 の物質への変換を示唆する結果が得られた。また W をイオン注入した複合膜においては、質量数 190 の物質への変換を示唆する結果が得られた。
研究成果の概要(英文):
Deuterium permeation characteristics were determined for composite membranes used in transmutation reaction by deuterium permeation. Higher deuterium gas pressure resulted in higher yield of transmutation. Surfaces of electrochemically deuterium-permeated samples were analyzed by SIMS and ICP-MS. Peaks of Mass number 139, 140, 141, 142 were clearly observed in deuterium-permeated samples with 133Cs implantation. Peak of mass number 190 was observed in deuterium-permeated samples with W implantation.
セシウムの場合だと、以下のように質量数139,140,141,142あたりの元素が現れていると報告されています。
また、タングステンの場合だと、以下のように質量数190の元素の増加がシャープに現れていると報告されています。
これまで、日本の常温核融合研究では、豊田中研による追試しか行われていないと思っていたので、私にとっては新たな情報でした。この本に感謝したいと思います。
それにしても、このような重要な研究に科研費がたった442万円しか支出されていないのは、納税者としては不満です。未来の無い原発関連の研究費用を削って、もっとこちらに研究費を増やすべきだと思います。また、この報告書のPDFファイル内のテキストが検索対象となっていない事にも不満です。広く検索できるように、テキスト情報を付けた状態で公開すべきだと思います。
以上
2014年10月12日日曜日
元素変換 現代版<錬金術>のフロンティア
2014年10月9日に角川EPUB選書として、「元素変換 現代版<錬金術>のフロンティア」という本が発行されました。著者は吉田 克己さんというダイアモンド・オンラインで企画・執筆をされている方で、常温核融合研究者として有名な三菱重工業の岩村康弘博士が「協力」という形で関わっておられます。
一般の読者向けに、岩村博士の研究してこられた元素変換の研究の足跡をたどるのが主な内容となっています。早速買ってきて読んでいるところです。Kindle版が出ると知っていればKindle版にしたのですが、先週頭に予約したので紙の本を買ってしまいました。EPUB選書と銘打っているのだから待っていれば良かった(笑)。Amazonで入手できます。
Amazonにあった内容紹介から引用させていただきます。中身については、ちょっと納得できない所もあるのですが(笑)、それについては後日時間があれば書かせていただきます。一般向けの常温核融合研究に関する書籍として貴重なものだと思います。お勧めです。
一般の読者向けに、岩村博士の研究してこられた元素変換の研究の足跡をたどるのが主な内容となっています。早速買ってきて読んでいるところです。Kindle版が出ると知っていればKindle版にしたのですが、先週頭に予約したので紙の本を買ってしまいました。EPUB選書と銘打っているのだから待っていれば良かった(笑)。Amazonで入手できます。
Amazonにあった内容紹介から引用させていただきます。中身については、ちょっと納得できない所もあるのですが(笑)、それについては後日時間があれば書かせていただきます。一般向けの常温核融合研究に関する書籍として貴重なものだと思います。お勧めです。
内容紹介
放射性元素を無害な元素に変換? 安価な金属からレアメタルを生成? 「元素変換」研究の第一人者である岩村康弘氏(三菱重工)への徹底取材を通じて、とてつもない可能性を秘めた現代版〈錬金術〉の最前線を追う!
内容(「BOOK」データベースより)以上
ありふれた金属を貴金属に変換することができたなら?―古くから人々が憧れを抱いてきた“錬金術”が現実のものとなりつつある。三菱重工で「元素変換」研究を続けてきた岩村康弘に徹底取材し、テクノロジー化を目前に控えたこの現象の可能性を探る。放射性セシウムの無害化、レアメタルなど希少元素の生成、エネルギー源としての利用など…「元素変換先進国・日本」に開かれた未来像とは?
2014年9月13日土曜日
日経エコロジーに取り上げられた岩村康弘博士の元素変換研究
小島英夫博士が設立した常温核融合研究所が発行するCFRL Newsの第87号(2014.09.01)が発行されていました。
その記事で知ったのですが、 日経新聞でも報道された三菱重工の岩村康弘博士の常温核融合研究が、日経エコロジー2014年7月号に紹介されていました。「日本発、世界で稼げ 研究開発 ここまで進行中」という特集記事の中の「元素変換」という1ページの記事です(以下の図はこの記事からの引用です)。

内容は既に日経新聞で報じられたものと同じですが、このような形でメジャーな雑誌に常温核融合研究の成果が取り上げられたのは良いことだと思います。今後もフォローしてほしいですね。
以上
その記事で知ったのですが、 日経新聞でも報道された三菱重工の岩村康弘博士の常温核融合研究が、日経エコロジー2014年7月号に紹介されていました。「日本発、世界で稼げ 研究開発 ここまで進行中」という特集記事の中の「元素変換」という1ページの記事です(以下の図はこの記事からの引用です)。
内容は既に日経新聞で報じられたものと同じですが、このような形でメジャーな雑誌に常温核融合研究の成果が取り上げられたのは良いことだと思います。今後もフォローしてほしいですね。
以上
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