2013年2月25日月曜日

ナノ銀による除染効果と常温核融合との関係

すっかりご無沙汰してしまいました。約3ヶ月間、ブログを一つも更新しませんでした。昨年の12月から仕事が非常に忙しくなり、ブログを書いてる余裕が無くなったのが一番大きな原因です。常温核融合の分野では色々と面白い動きがあったのですがフォローできなくて残念でした。
相変わらず余裕の無い状態は続いていますが、少し気を取り直してブログをボチボチと再開したいと思います。

さて、再開の一回目ですが、いわゆる「ナノ銀除染」について、研究会で専門家による実験結果の発表があり、非常に重要だと思うのでまとめます。

去る2月5日〜7日に、つくば市の高エネルギー加速器研究機構で「放射線検出器とその応用」と題した研究会が開かれました。


研究会のアブストラクトは以下のURLで公開されています。
http://rcwww.kek.jp/rdetconf/rd2013-abstracts.pdf

この研究会の中で、非常に興味深い発表がありました。アブストラクトのP69〜P70に掲載されている「ナノスケール純銀担持体の放射性セシウム減弱効果の検証測定」という報告です。

これは、単純に言うと、以下のような驚くべき実験結果を報告しています。
  • 放射性のセシウムを含む屋根洗浄回収水や土壌に、ナノ銀(ナノスケールの大きさの銀の粒)を付着させた骨炭やコラーゲン溶液を混ぜると、放射強度が弱くなる。
  • 放射強度の弱くなり方は、「半減期20日」に相当する。
概要はアブストラクトの「はじめに」にまとめられています。以下、アブストラクトから適時引用させていただきます。(赤字は引用者による)
【追記2013年3月19日 漏れがあったため下線部を追加しました】
1.はじめに
 飲料水浄化やホタル育成環境改善に有効なナノスケール(4〜5nm)純銀(ナノ銀)担持体(骨炭+白御影石)が,福島県を中心に降下残留している放射性セシウムの減弱効果も有するとの実地試験の示唆(仮説)を受け,実験室レベルで調べてきている.家屋除染水にナノ純銀担持骨炭あるいは同白御影石,土壌にはナノ銀担持コラーゲン液の組み合わせで,U9容器に試料(一部は密封)を作り,Csl(T1)検出器+512ch.MCAで対照試料なども組み合わせながら,試料内の不均一(偏在),試料自己遮へい,揮発等の影響を極力小さくする試料検体準備,測定幾何配置等に注意を払い,残留放射能γ線スペクトルを長期にわたり測定し,これらの不確かさの大きさにも注意を払いながら分析し,ほぼ"半減期"が約1~2カ月程度の減弱効果が存在するとの結論を得つつある.途上だが現状報告する.
報告者である岩崎信博士は、元東北大学教授で核計測学を専門にしておられたようなので、まさしく報告内容についてはプロの研究者なのだと思います。そして、以下の文面にあるように、この実験結果が従来の常識からみて異常である事は良くご認識されています。
2.これまでの経緯
もとより,放射性崩壊強度を人工的に変化させることはごく一部の特殊例1)を除けば常識外れである.当効果("阿部効果"と仮称)は,第二著者:阿部により,事故後,ナノ銀担持櫨材のホタル生態環境保全の高い能力から,もしやホタル館周辺の放射能低減もとの発想から11年6月頃線量軽減試行過程で偶然発見された2).その後,阿部グループが「被災地福島にホタルを再び」活動の延長線上で同年後半より複数の市町村の家屋除染水,土壌,焼却灰等の現場試験が実施され,その度にセシウムγ線量減弱傾向が示唆された.しかし,現場での線量計測値や,計測業者依頼の一時点のゲルマ計測値だけでは,学術的背景不足を理由に除染審査専門家から断られた 3).
 極めて偶然の共通知人の仲介で12年3月から第1著者が核工学・放射線計測学の立場から支援的に合流し,同グループの強い「福島を救う」思いに共感し,共同で"阿部効果"の検証を進めてきた.しかし,あまりにも複雑な試料検体と未経験事象で半年暗中模索だったが,同年11月頃から系統的データ取得が可能となった.検証の健は「適切なナノ銀とその担持体が真に有意な減少をもたらす; "効果"が真なら鍵物質はナノ銀で,これが欠けると事象が起らない」の二項目を高い再現性で示せるかであった.試料(対照試料を含む)準備,測定幾何体系,検出器系安定陸,周囲測定環境,データ処理過程等々に忍び込む種々の系統的外乱・錯誤・思い込み要因に注意を払った 4).
測定の方法については、以下のように述べられています。
3.試料検体と測定体系
ここでは,除染水+パウダー状骨炭ナノ銀担持体での阿部効果実験を中心に2ケースを説明する.
屋根洗浄回収水(土埃等を含む)+ナノ銀担持体: ふるいで細かいパウダー状ナノ銀坦持骨炭を得た.試料と測定: 対照試料の非担持骨炭(A)と上記(B)をそれぞれ6gずつ用意.回収水を撹拌した後,10ccをそれぞれU9容器に入れて測定.さらにA, Bをそれぞれの容器に入れて混ぜ暫く置き測定.その後容器の蓋を開け自然乾燥させ骨炭を別容器に移して長期測定試料(共に6g)とした.
各試料は毎回測定直前に匙で良く撹拌した後,全体を一定圧力で押し固め,厚さ一定(約4mm)の試料とした.検出器と遮蔽体系試料容器と測定幾何体系: クリアパルス社Csl(T1)検出器(Mrガンマ2700)を20cm角箱状鉛遮蔽体(壁厚1cm~3cm)内底部に上向き水平に設置し,十字印上を中心に空U8容器(高さ6.6cm)を挟んで上記U9試料を置いた.γ線スペクトルは512chMCAで得た.通常計測時間は3h/1試料,またはその倍数(24hまで)とした.「試料無し」等バックグラウンド(BG)など補助的データも何度も入念に取得した.
土壌+ナノ銀担持コラーゲン液試料(C試料): U9容器内土壌(25g)に20ppmナノ銀担持コラーゲン液を(2.5cc)滴下密封したもの.まず10月30日汚染土壌のみ測定(配置はA,Bと同じ),31日ナノ純銀添加後撹拌密閉して初期測定,その後2カ月間据え置き翌年測定再開し1月15日まで継続.
そして、肝心の実験結果については、以下のように記載されています(赤字は引用者による)。色々と分からない点はあるのですが、放射線強度の減少は明確に現れており、非常に重要な結果だと思います。
4.長期測定の簡易解析結果とまとめ
B試料: B試料の分離可能な3ピーク群 (3P: Cs-134の604keV他; Cs-137の661.6keV; Cs-134:795.7keV他)の計数和と3ピークの下の連続成分(LC)計数和からそれぞれBG分を差し引いた時間変化が図1.

これらの初期減衰の"半減期"は~20日で,一昨年12月に阿部が測定した回収水処理機の骨炭+白御影石濾材の処理後の残留放射能の線量値変化と概ね整合する.一方,対照実験のナノ銀非担持A試料は初期変動(~10%)を除いて期間中安定しており,B試料の種々の系統的不確かさの目安(約5%弱)を与えている.また,B試料の大きな変化が止まったところで,24日日(1月14日)に純水0.6ccを加え撹拌して測定をすると再び大きく減少し始めた.同スペクトルの経時変化:各ピークの相対変化をみると,未確認だが2核種間に若干差がありそうである.
C試料: 上記3Pの計数和の相対強度は,密封後の10月31日測定値を1.0として,翌年1月4日に0.667±0.007,同15日に0.472±0.005に変化した.なお,この2ヶ月半の2核種の放射性崩壊滅衰率はまとめて1月15日で概略0.96と見積もられる.
他の実験結果も踏まえて,現在の所,B試料やC試料の変化は担持しているナノ銀の働きによると判断する.今後も再現性を含め検証を継続する.上下反転可能で小容量の薄型円筒容器入りの試料について最初から最後まで完全密封を保つ究極的体系でも対照実験を進めている.講演ではメカニズムについても可能なコメントをする.高感度測定器を用いた精密な追試を歓迎する.
「日本一新の会」のブログにこの時の講演の様子が少しだけ記載されていますが、岩崎信博士は「常温核融合を起こしている可能性がある」と示唆されたそうです。岩崎信博士が言われるように、是非、追試が現れる事を祈ります。



岩崎信博士は2012年8月9日に「放射能浄化勉強会」で講演されており、その時の記録を載せてくれているブログがありました。


ここでの発言もたいへん興味惹かれるものでしたので、全文を以下に引用させていただきます(赤字は引用者による)
【追記:2013年3月19日 全文を引くのは引用としてはやりすぎでした。著作者の岩崎博士にお詫びすると共に、問題の文章を削除します】

以上


【参考リンク】
■ナノ銀除染の信奉者とそれに対する批判との一連のツィート
http://togetter.com/li/345118
ナノ銀除染を主張する阿部宣男博士の「ホタルは0.5μSv/hの放射線を浴びると光らなくなる」は根拠がない疑惑が指摘されており、私はそれを質問したつもり。残念ながら阿部博士から回答はいただけてません。この時も「データを出して欲しい」というのが私の希望だったのですが、まさにそれが上記の発表で実現した訳です。関係者の皆様に感謝したいと思います。





2012年11月24日土曜日

Hydrobetatronのカンファレンスが12月に開催予定

イタリアのピレリー工業高校で始まった常温核融合の追試プロジェクトについてです。
最初、Athanorという名前の実験装置でしたが、これを改良した第2版はHydrotronと呼ばれています(その後、Hydrobetatronという名前になっているようです)。
ピレリー工業高校の教師であるUgo Abundo氏が中心になって検証を進めているらしく、YouTubeには実験風景を記録した動画が公開されています。

このプロジェクトについて、Ugo Abundo氏は前々からカンファレンスを開催すると言っていたのですが、その日程がダニエル氏のブログに載っていました。

原文はイタリア語なので、Googleで英語に翻訳したものを以下に載せます(赤字は引用者による)。これによると、12月4日にローマで開かれるとのこと。常温核融合研究者として著名なFrancesco Celani博士やW-L理論で有名なAllan Widom博士のインタビューの放映もあるようで、高校だからといって決してレベルは低くないカンファレンスであるように見えます。また、ISPRAのような公的機関が公式に関わるようで、イタリアでの常温核融合の認知の広がりは本格的になってきたようです。

(2)
ROME , Tuesday, December 4 , from 9:00 to 13:30 at the ' IIS Leopoldo Pirelli of Rome conference in the New Energies School  (organized in collaboration with the ' ISPRA .)  is the event that the Engineer. Ugo Abundo had already announced last summer and which for now will only advance the lineup:

0. Introduction to the activities promoted by the Institute in the past (in particular, the solar system for the extraction of drinking water from the atmosphere built by the students of Pirelli and donated to a school in the Congo)
1. Welcome to the IIS Manager L. Pirelli
2. Greetings from the ministerial authorities
3. Presentation of the work plan
4. Reports and / or video interviews:
Emilio Del Giudice  - the theoretical framework of LENR
Francesco Celani  - the experimental framework
Antonella De Ninno  - ENEA experience on the production of helium
Allan Widom - the theory of electronic cooperation
Yogendra Srivastava  - experimental prospects for the best reaction conditions
Domenico Cirillo  - evidence of neutron emission and transmutation
5. Dr. L. Magro (ISPRA) - hypothesis of selective measurements of tracers for LENR
6. presentation by pupils Pirelli, the activities of this school year
7. presentation of movies related to the documentation of the achieved overunity
8. association "All Rights", setting criteria for an environmental impact study (and man) of the new techniques of energy production
9. presentation of the results of the most recent experimental campaign
10. illustration of the operation LIVE in conference room (obviously with electric heating and not LENR)  of equipment built from September to November in Pirelli for measuring energy yield of LENR
11. presentation of an analogy between artificial neural network and structure of the physical space in order to reach a quantum model of orientation for guiding the continuation of research
12. debut of the official website where follow the progress of the trial OPEN SOURCE
For now I'll stop here. I add only that there will be a nice surprise for readers of 22 steps of love and its surroundings.

以上

以上


ICCF-17の写真と講演ビデオ

ICCF-17(常温核融合国際学会第17回)のホームページに、写真と講演のビデオが公開されています。講演の中身は難しくて良く分かりませんが、会場の雰囲気を知るには良い材料だと思います。

写真の全体目次(一括ダウンロードもできます):

例として2枚だけ紹介します。この他にも多数の写真が収められています。
集合写真:

Celani博士の常温核融合セルのデモ風景:

講演のビデオは以下のページに目次が掲載されています。ICCF-17に先立って行われたKAIST EEWS Workshop (ICCF-17 Tutorial)の講演ビデオもあります(写真も上のページで公開されています)。
日本からの登壇者のビデオもあります。
[TuM2-3] Prof. Tadahiko Mizuno 水野忠彦博士
[TuA2-1] Prof. Akira Kitamura 北村晃博士
[TuA2-2] Ms. Naoko Takahashi 高橋直子氏
[WeM1-1] Prof. Akito Takahashi 高橋亮人博士
[ThM1-2] Mr. H. Sakoh 佐藤氏
[ThM2-1] Dr. Tatsumi Hioki 日置辰視博士
[ThM2-2] Dr. Y. Iwamura 岩村康弘博士

また、ジェトさんと、常温核融合はどこまで信じられるかを公開資料で論じたTyler氏も登壇されています。
[FrM1-3] Mr. Jed Rothwell
[FrM2-1] Mr. Tyler van Houwelingen


以上


2012年11月19日月曜日

LENR-CANR.orgの運営費を寄付しましょう

常温核融合についての論文やレポートを見たいと思ったら、まず訪れるべきなのは、
http://lenr-canr.org/
です。このサイトから1000以上の学術論文を無償でダウンロードする事ができますし、3500以上の資料のインデックス情報を自由に検索できます。常温核融合研究の知識の宝庫と言って良い場所です。

さて、このサイトを運営し、論文やインデックス情報の登録という地道な作業を続けておられるジェト・ロスウェル氏(Jed Rothwell氏)が、サイトの運営費用の寄付を募っています。運営に貢献したいと思われる人は、是非、寄付を検討してみてください。ジェトさんのオススメは、$10、$20、または$30です。このサイトにはとてもお世話になっているので、私も$20を寄付してきました。日本円にすると約1600円。今までに得た情報から考えると、随分安い対価だと思っています。

但し!、日本からでは、以下の「Donate」ボタンを押しても送金できないようです。米国では税の控除が受けられる寄付金として扱われるようなのですが、その仕組が日本とは連動していないためか、PayPalで送金しようとしてもシステムから拒絶されてしまいました。

Jed Rothwell氏に尋ねて、日本からの送金方法が分かりましたので、この後に解説します。日本から送金される人はご注意ください。日本では税の控除対象とはなりませんので、その点についてもご注意ください。
また、寄付に関して私は一切の責任を持ちません。寄付をされるあなた自身が寄付して良いかどうかを責任持ってご判断ください。


日本からの送金方法(PayPalの場合)


PayPalでは、PayPalのアカウントを持っている人・組織に対しては、そのメールアドレスを指定すれば送金できるようです。この方法で、寄付受付をしているNew Energy Foundation(非営利団体)に送金できます。New Energy FoundationのGeneral ManagerであるChristy Frazier氏に確認した所、この方法で送金すれば、LENR-CANR.orgへの寄付として認識されるそうです。以下、そのメールアドレスと送金方法です。

  • PayPalにログインします。
  • PayPalのメニューの中に、「支払い」というタブがあるので、これをクリックしてください。支払いの画面が現れる筈です。
  • 支払い画面で、「宛先」に「staff<アットマーク>infinite-energy.com」というメールアドレスを指定してください。(<アットマーク>は@に置き換えて入力してください)
  • 更に支払い画面で、「金額」に寄付する額(例えば20)と、通貨(USD)を指定してください。支払い種類を選択するようになっていますが、これは何を指定するのが正しいのか分かりません。私は「サービス」を選択しました。
  • これで「続行」を押せば、確認画面が出てくる筈です。送る時に、メッセージを添える事もできます。



寄付を募るサイトからの記事の引用と勝手な和訳

LENR-CANR.ORG YEAR-END FUNDRAISING CAMPAIGN
LENR-CANR.ORG年末募金キャンペーン

Please make a tax-deductible contribution to lenr-canr.org. Suggested donation amounts are $10, $20 or $30, but any donation is greatly appreciated.
どうぞ税控除が受けられるLENR-CANR.orgへの寄付をお願いします(★日本では税控除は受けられません)。お勧めする寄付額は$10, $20又は$30ですが、もちろん、どのような額でも喜んで受け取ります。

LENR-CANR.org is an online library of cold fusion papers. We have over 1,200 full text papers and a bibliography listing 3,933 items. Our readers are mainly scientists, engineers and university students. Readers downloaded 401,196 papers in 2011, nearly 8,000 per week on average.
LENR-CANR.orgは常温核融合論文のオンラインライブラリです。1200のフルテキストの論文と3933の項目からなる書誌情報を提供しています。主な利用者は科学者、エンジニア、大学の学生です。2011年には401,196回のダウンロードがありました。これは平均して週8000回に相当します。

Our annual expenses to maintain the website are around $10,000, which consists mostly of office expenses and travel. For the last several years, generous donations from the New Energy Foundation have covered about half of this cost. This year we are asking readers to chip in as well.
ウェブサイトの年間運営費用は約10,000ドルです。主たる用途は、オフィスの賃貸料と旅費です。この数年間は、New Energy Foundationが半分を気前よく寄付してくれていました。今年は、利用者のみなさんにも寄付をお願いする事にしました。

Your donation will be tax-deductible because it will be received by the non-profit New Energy Foundation, earmarked for LENR-CANR.org. Please do your part in keeping this important resource available.
あなたの寄付は税控除を受けられます(★日本では受けられません)。なぜなら、非営利団体であるNew Energy Foundationが受け取り、LENR-CANR.orgのために使われるからです。

In addition to maintaining the library of cold fusion resources, LENR-CANR.org has been actively involved in helping to promote the field. Read our latest paper, "The Future May Be Better Than You Think."
常温核融合の学術資産のライブラリ運営に加えて、LENR-CANR.orgは常温核融合のプロモーションを活発に支援してきました。我々の最新の論文「未来はあなたが思うより明るいかもしれない」を読んでみてください。

Thank you!

Jed Rothwell
Librarian, LENR-CANR.org


以上

2012年11月5日月曜日

ゼオライトとパラジウムを使った常温核融合実験

少し古い記事になりますが、9月30日にCold Fusion Nowに投稿されたインタビュービデオはたいへん興味深い現象を教えてくれています。
このインタビューは、Ruby Caratさんが、カリフォルニアのLaVerne大学の化学部門主席のDr. Iraj Parchamazad博士と海軍の研究者であったMelvin Miles博士に行ったものです。この中では、実にゼオライト(沸石)とパラジウムと重水素によって過剰熱生成が起こるという現象が語られています。この反応でもゼオライトの結晶構造が大きな役割を果たしているようです。再現性も良いようなので面白い研究だと思います。


以上

Celani博士の常温核融合セルの追試に挑むMFMP

マーチン・フライシュマン博士記念プロジェクト「Martin Fleischmann Memorial Project」(以前は追悼プロジェクトと訳してましたが、記念の方が意味に合うと思うので変えました)が立ち上がった事は以前にも書きました。


当初は追悼の意を表するのが目的なのだろうと誤解していました。ところが、実はもっとアクティブな活動で、有志が集まってフライシュマン博士の灯した「新しい灯=常温核融合」を世界に認知させるために、常温核融合実験の追試に乗り出しています。
ターゲットして選ばれたのは、Celani博士がNIWeek 2012やICCF-17でデモを披露した金属ワイヤーを使った実験装置です。以下にその計画書が載っています。



目的は、追試を成功させて、それを世界に広めることですから、設計書から手順から実験結果まで全てオープンにして進めようとしています。例えば、以下のページには、実験に使うセルの詳細な設計が載っています。


また、進捗状況は写真入りで以下のブログに詳細に公開されています。
http://www.quantumheat.org/index.php/replicate/progress-blog

このチームの紹介ビデオはYouTubeに登録されています。様々なスキルを持った人達がチームを結成していて、実に頼もしい感じです。こういうプロジェクトが世界を変える原動力になっていくのだと思います。応援しましょう!



以上

2012年11月3日土曜日

Energetics Technologies社は撤退、資産はミズーリ大学へ

ロッシ氏が現れる前は、「常温核融合ベンチャー」として先頭を走っていたのは、おそらくイスラエルにあったEnergetics Technologies社だったでしょう。CBSの「Cold Fusion is Hot again」という常温核融合を取り上げた番組で、ミズーリ大学のダンカン博士が実験の検証のために訪れた会社です。


Energetics Technologies社はミズーリで活動中」の記事でもお伝えした通り、この会社はダンカン博士のいるミズーリ大学のインキュベーションセンターに居を移して活動を続けていました。
しかし、New Energy Timesに載った記事によると、Energetics Technologies社は常温核融合のベンチャービジネスから撤退し、資産をすべてミズーリ大学に引き渡す事になったそうです。研究者達はミズーリ大学の研究員として引き続き常温核融合の研究を続けられるとのこと。老舗のベンチャーの退場は残念ではありますが、その成果が失われることなく、ミズーリ大学に引き継がれて良かったと思います。


以上