2016年5月29日日曜日

ナノ銀による放射線低減現象の検証実験では対照実験も行われていますよ

「理科の探検(RikaTan)」誌の2016年4月号に「ナノ銀除染のニセ科学」という記事が載りました。目次は以下の通りです。


この記事には納得できない点が多々あるのですが、最も気になったのは、阿部宣男博士と岩崎信博士によるナノ銀による放射線低減実験では全く対照実験がなされていないかのような記載があった事です。「対照実験が皆無である」という題名の節に以下のように書かれています。

<引用開始>発表1では、試料Aが試料Bの対照実験となっ ています。しかし、発表予稿中に、試料Aを測定した結果は書かれていませんし、試料Aと試 料Bの比較も行われていませんでした。発表2と3では、ナノ銀を担持させていない溶液等を用いた結果との比較が必要であるところ、そのような実験をしたという記述はありませんでした。
阿部氏の実験では対照実験が行われていないた め「ナノ銀を担持させた材料を加えたら放射能が減った」という測定結果が得られたとしても、それがナノ銀の効果であるという結論を出すことができません。<引用終了>
この「対照実験が皆無である」という認識は間違いです。私自身、発表予稿だけでは分からなかったので、直接、阿部宣男博士に連絡して色々な実験データを見せていただきましたが、条件が許す限り丁寧に対照実験が行われており、そのデータも取られていました。

更に、2014年7月7日に行われた第51回 アイソトープ・放射線 研究発表会で、岩崎信博士が以下の題名で口頭発表しており、その中で、対照実験との対比についても説明しています

1a-III-01 4-5nm銀粒子の土壌中の134Csと137Csおよび加理肥料中の40K放射能低減効果

見えにくくて恐縮ですが、以下の写真はその時の発表資料を撮影したものです。ナノ銀コラーゲン液を使ったB試料に対して、唯のコラーゲン液を使った対照実験用にA試料を用意し、その放射線低減を比較しているのが分かります。



この点について、Twitter上で、著者の天羽優子氏とやりとりする機会がありました。以下のように、対照実験が行われている事を納得いただけたようです


対照実験の有無やそれを公表しているかについては、阿部宣男博士や岩崎信博士に問い合わせれば直ぐに分かった筈ですが、実際には問い合わせはなかったそうです。通常、雑誌に記事が載る時には、カウンターコメントを取ったり、裏付け取材をするのが必須だと思うのですが、「理科の探検」誌では、そうではないようです。

この点について編集長の左巻健男氏に以下のようなツイートをしてみたのですが、左巻健男氏からは何も返事をいただけず、逆に左巻健男氏からブロックされてしまいました。

以上

MFMPによる中性子検出

少し古い話題です。4月14日にMFMPのFacebook投稿で、常温核融合実験「GlowStick 5.3」の中で熱中性子を観測したというものがありました。下の試験管のようなものの中に生じた泡で検出を判断するようです。


私が常温核融合を学び始めた頃は、常温核融合反応では中性子線は出ないのだと誤解していました。その後、水野忠彦博士に論文を送っていただいたりして、実は、これまでの実験の中には中性子を含む放射線を観測したものがあると知りました。

ただ、どの実験でも出る訳ではないらしく、素人っぽい感覚だと、"穏やかな"反応の実験では殆ど観測されていないように思います。エネルギー源としての実用という観点では中性子線が出ない方が良いので、中性子の発生には要注意です。ベータ線やガンマ線であれば遮蔽で対処できますが、中性子線となると遮蔽が難しく、当たった物質を放射化するので厄介です。

実用の観点では、如何に中性子線の発生を抑止するかが重要になってくるでしょう。

以上

トーマス・ダーデン氏は2012年1月にオバマ大統領に面会していた

2012年1月11日にインダストリアル・ヒート社を率いるトーマス・ダーデン氏はオバマ大統領に面会していたという記録が出てきました。E-Cat Worldにまとめられています。


以下がその記録です。もちろん、議事の中身が分かる訳ではありませんが、常温核融合の存在を米国のハイレベル層が認知している可能性を示す出来事だと思います。



以上

常温核変換と球電現象に関するロシア会議第23回が6月にソチで開催されます

ロシアで行われる常温核融合関連の研究会として有名な「常温核変換と球電現象に関するロシア会議」の第23回(RCCNT&BL-23)が2016年6月19日~26日にソチで開催されるようです。
以下のようにE-Cat Worldに紹介されています。



ロシア語と英語の両方で書かれたプログラムとアブストラクトが以下からリンクされています。
https://yadi.sk/i/_LKSggairushB

今回もParkhomov博士の追試関連で複数の発表があるようです。ごく一部ですが以下のような題名が挙がっていました。

Difficulty in Creating High-Temperature Nickel-Hydrogen Reactors

A.G. Parkhomov
alexparh@mail.ru
Difficulties encountered by the creators of high-temperature nickel-hydrogen reactors are described, caused by produced energy instability, high temperature, pressure and aggressive media in the active zone.

The Parkhomov Reactor by Engineer's Eye Analysis, Hypothesis, Propositions

A.G. Zheleznyak
Business Firm in energy savings field, igrok50@yandex.ru
The report attract attention to the non calorimetric confirm of reaction, and therefore the hypothesis about the conditions for creating the reaction threshold.
Proposed changes and additions to the design of the reactor in order to convert it from purely research to research the layout of low power operating unit with quick design modification.

Demonstration of Large Excess Heat in Ecological Plasma Electrolysis

Yu.N. Bazhutov 1, A.I.Gerasimova 1,2, P.V. Zakharov 1, V.P. Koretsky 1
,G.S. Lyapin 1
1 Scientific Research Center of Engineering Physical Problems (SRCEPhP) “ERZION”, Moscow, erzion@mail.ru;
2 Russian State Agrarian Correspondence University (RGAZU),
SRCEPhP “ERZION”, geras-albina2009@yandex.ru

There are presented the variant of installations Fakel-D2ST series (Demonstration 2 Small Thermostat) for ecological demonstration of plasma electrolysis in public auditorium.

Demonstration of large excess heat, using evaporation calorimetry, was performed by comparison water evaporation of installations Fakel-D2ST & standard termoelectroheater (TEH) at equal power. For nuclear control “Sosna” β-dosimeters, neutron and gammaradiometers were used. There are obviously shown more then 3 time excess heat generation in Fakel-D2ST installations.

Long-term tests of the nickel-hydrogen reactor with flow calorimeter

A.G. Parkhomov
alexparh@mail.ru
Nickel-hydrogen reactor continuously worked for about a month with excess heat of 70
W (heat excess above consumption of electricity was 15-20%). Heat measurement with an
error of about 2% was carried out by water flow calorimeter similar to the StepanovMalakhov device.

以上

2016年5月28日土曜日

ICCF20の中国サテライト大会のホームページ

ICCF20(国際常温核融合学会 第20回大会)が10月に仙台で開催されますが、それに先立って9月28日〜30日の期間、中国の廈門市(アモイ市)でサテライト大会が開催されます。

以下のようなホームページが立ち上がっています。参加される方々は中国から日本へとハシゴされるのでしょうか? サテライト開催はたぶん初めての試みだと思いますが、成功すると良いですね。


以上

2016年5月23日月曜日

ウクライナ科学アカデミーが常温核融合研究に投資

ウクライナでは、ウクライナ科学アカデミー(Ukrainian Academy of Sciences)が、公式に常温核融合研究への投資を行う決定があったそうです。

FacebookのMFMPの以下の投稿で知りました。


この件については、EGO OUTにVladimir Vysotskii(ヴィソツキー)博士の解説が載っています。それによると、投資額は約4万ドル(440万円程度)と小さいものの、良い兆候だと博士は評価しているようです。



以上

2016年5月22日日曜日

米国の下院軍事委員会が国防長官に対して9月22日までに常温核融合の軍事利用についての報告を要請

米国の下院軍事委員会は、2016年5月4日に公開した報告書の中で、米国国防長官に対して、民間での常温核融合(LENR)の進展の軍事利用について9月22日までに報告するよう求めていたことが分かりました。常温核融合のような技術が軍事利用されて欲しくはありませんが、これを機会に認知が広がると期待したいですね。

E-Cat Worldが記事にしています。

US Secretary of Defense Directed to Provide a Briefing on LENR to the US House Armed Services Committee
http://www.e-catworld.com/2016/05/11/us-secretary-of-defense-directed-to-provide-a-briefing-on-lenr-to-the-us-house-armed-services-committee/

この文書は以下の題名がついており、目次を見るとP87に常温核融合の報告を求める要求が書かれている事が分かります。

NATIONAL DEFENSE AUTHORIZATION ACT FOR FISCAL YEAR 2017
REPORT OF THE COMMITTEE ON ARMED SERVICES
HOUSE OF REPRESENTATIVES
ON H.R. 4909 together with ADDITIONAL VIEWS
[Including cost estimate of the Congressional Budget Office]

Low Energy Nuclear Reactions (LENR) Briefing ................................... 87


中身は以下のように記載されています。DIAの報告書では日本とイタリアが常温核融合研究のリーダーだと目されているとも書かれています。尤も、日本では最近まで個人の研究者達の努力が常温核融合研究の灯火を何とか繋いできたのが実情だと思います。


以上