気づかないうちに、国際常温核融合学会の学会誌であるJCMNSの第15巻が発行されていました。中身は国際常温核融合学会第18回大会(ICCF-18)のProceedingsとなっています。
Vol 15.の目次は以下のようになっています。盛りだくさんです。
(末尾の数字はページ番号です)
RESEARCH ARTICLES
Flux Effects in Metal Hydrogen Loading: Enhanced Mass Transfer 1
M.C.H. McKubre and Francis L. Tanzella
Nuclear Products of Cold Fusion by TSC Theory 11
Akito Takahashi
Anomalous Exothermic and Endothermic Data Observed by Nano-Ni-Composite Samples 23
Akito Takahashi, A. Kitamura, R. Seto, Y. Fujita, Taniike, Y. Furuyama, T. Murota and T. Tahara
Energetic Particles Generated in Earlier Pd + D Nuclear Reactions 33
D.Z. Zhou, C. Wang, Y.Q. Sun, J.B. Liang, G.W. Zhu, L.P.G. Forsley, X.Z. Li, P.A. MosierBoss and F.E. Gordon
Excess of Power during Electrochemical Loading: Materials, Electrochemical Conditions and Techniques 44
V. Violante, E. Castagna, S. Lecci, F. Sarto, M. Sansovini, T.D. Makris, A. Torre, D. Knies, D. Kidwell, K. Grabowski, D. Dominguez, G. Hubler, R. Duncan, A. El Boher, O. Azizi, M. McKubre and A. La Gatta
Conservation of E and M, Single Cavitation Heat Events 55
Roger S. Stringham
Amplification and Restoration of Energy Gain Using Fractionated Magnetic Fields on ZrO2–PdD Nanostructured Components 66
Mitchell Swartz, Gayle Verner, Jeffrey Tolleson, Leslie Wright, Richard Goldbaum and Peter Hagelstein
Imaging of an Active NANOR®-type LANR Component using CR-39 81
Mitchell R. Swartz, Gayle Verner, Jeffrey Tolleson, Leslie Wright, Richard Goldbaum, Pamela Mosier-Boss and Peter L. Hagelstein
Incremental High Energy Emission from a ZrO2–PdD Nanostructured Quantum Electronic Component CF/LANR 92
Mitchell Swartz
Entrepreneurial Efforts: Cold Fusion Research at JET Energy Leads to Innovative, Dry Components 102
Mitchell Swartz
Femto-Helium and PdD Transmutation 106
A. Meulenberg
Pictorial Description for LENR in Linear Defects of a Lattice 117
A. Meulenberg
Radiation Coupling: Nuclear Protons to Deep-Orbit-Electrons, then to the Lattice 125
A. Meulenberg
Revisiting the Early BARC Tritium Results 137
Mahadeva Srinivasan
Piezonuclear Fission Reactions Simulated by the Lattice Model 149
A. Carpinteri, A. Manuello, D. Veneziano and N.D. Cook
Hydrogen Embrittlement and Piezonuclear Reactions in Electrolysis Experiments 162
A. Carpinteri, O. Borla, A. Manuello, D. Veneziano and A. Goi
Neutron Isotope Theory of LENR Processes 183
John C. Fisher
Pressurized Plasma Electrolysis Experiments 190
Jean-Paul Biberian, Mathieu Valat, Walter Sigaut, Pierre Clauzon and Jean-François Fauvarque
Numerical Modeling of H2 Molecule Formation within Near-surface Voids in Pd and Ni Metals in the Presence of Impurities 195
O. Dmitriyeva, R. Cantwell and M. McConnell
Possibility of Tachyon Monopoles Detected in Photographic Emulsions 203
Keith A. Fredericks
A Mass-Flow-Calorimetry System for Scaled-up Experiments on Anomalous Heat Evolution at Elevated Temperatures 231
A. Kitamura, A. Takahashi, R. Seto, Y. Fujita, A. Taniike and Y. Furuyama
Hydrogen Absorption and Excess Heat in a Constantan Wire with Nanostructured Surface 240
U. Mastromatteo, A. Bertelè and F. Celani
Celani’s Wire Excess Heat Effect Replication 246
Mathieu Valat, Ryan Hunt and Bob Greenyer
Water-free Replication of Pons–Fleischmann LENR 256
William H. McCarthy
Surface Preparation of Materials for LENR: Femtosecond Laser Processing 268
Scott A. Mathews, David J. Nagel, Brandon Minor and Alberto Pique
LENR Excess Heat may not be Entirely from Nuclear Reactions 279
David J. Nagel and Roy A. Swanson
The Case for Deuteron Stripping with Metal Nuclei as the Source of the Fleischmann–Pons Excess Heat Effect 288
Thomas O. Passell
Explaining Cold Fusion 295
Edmund Storms
Progress in Development of Diamond-based Radiation Sensor for Use in LENR Experiments 305
Charles Weaver, Mark Prelas, Haruetai Kasiwattanawut, Joongmoo Shim, Matthew Watermann, Cherian Joseph Mathai, Shubra Gangopadhyay and Eric Lukosi
Investigation of Possible Neutron Production by D/Ti Systems under High Rates of Temperature Change 314
Charles Weaver, Mark Prelas, Joongmoo Shimn, Haruetai Kasiwattanawut, Shubhra Gangopadhyay and Cherian Mathai
Lessons from Cold Fusion Archives and from History 321
Jed Rothwell
以上
2015年3月23日月曜日
2015年1月3日土曜日
ヴィソツキー博士による微生物による元素変換実験(ICCF-18の発表から)
2013年に開かれた国際常温核融合学会第18回大会(ICCF-18)にで、ウクライナのヴィソツキー博士が、微生物による元素転換実験についての発表を行いました。この資料は以下に公開されています。

この発表は、これまでのヴィソツキー博士のBiological Transmutationの研究成果をまとめたもののようで、たいへん貴重な資料だと思います。以下に私の感想を交えつつ簡単に紹介します。
微生物による元素変換は、放射性物質にのみに起こるだけでなく、安定した元素でも観測されているとのこと。色々な実験の改善を経て、22頁の記述によるとマンガン55から鉄57への変換実験では、1グラムあたり10マイクロミリグラムと相当な量の鉄57が検出されてるようです。
この結果は、MCT (microbial catalyst-transmutator) と著者が呼んでいる色々な細菌と元素の複合体によって得られています。なぜ、単一種の細菌ではなく、複雑な系を用いるのか不思議だったのですが、その理由も17~18頁に書いてありました。以前は単一種の細菌を使っていたらしいのですが、それよりもMCTの方が効果が大きく、かつ、長期間実験可能、というのが理由のようです。面白いですね。
そして、28頁から、原子炉で放射能汚染された水に対してMCTを使って、放射線低減効果を検証した結果が出ています。非常に重要な結果だと思います。
29頁(下図)には、原子炉から取り出して10日経った放射能汚染水のガンマ線のスペクトルが示されています。様々な核種が含まれている事が分かります。
30頁は処理のフローチャートです。といっても、一方は水のままで、他方はMCTを適用するという単純な構図です。
31頁に上記の2つの水の放射線を示すグラフが出ています(横軸は経過日数で、5日毎に計測しています)。何も加えていないQcontrolに対してMCTを加えたQcultureの方が放射線の低減が大きくなっているのが分かります。最初の10日間は両者に殆ど差がないのも面白いところです。
そして、次に出てくるのが、以前にも紹介したCs137の放射線低減実験です。33頁に実験のフローチャートが示されています。対照系2種類を含む8種類のケースで放射線を計測しています。
結果は以下の通り。MCTを混ぜたケースでは、その他の添加物(NaClやCaCO3)に応じて違いがあるものの、Cs137の半減期30年よりずっと速いペースで放射線が弱まっています。最大の効果が得られたケースでは、半減期は約310日と観測されており、通常より35倍速いペースで放射線が弱まっています。
最後に、39頁にある重要な文章を引用します(和訳は引用者がつけました)。
以上
https://mospace.umsystem.edu/xmlui/bitstream/handle/10355/36823/TransmutationStableRadioactivePresentation.pdf
Transmutation of Stable and Radioactive Isotopes in Biological Systems (short prehistory, phenomenology, experiments, reasons and perspectives)講演ビデオは以下にあります(が、聞き取りが難しくて見てません・・^^;)。
Vladimir I. Vysotskii Kiev National Shevchenko University, Kiev, Ukraine
Alla A. Kornilova Moscow State University, Moscow, Russia

この発表は、これまでのヴィソツキー博士のBiological Transmutationの研究成果をまとめたもののようで、たいへん貴重な資料だと思います。以下に私の感想を交えつつ簡単に紹介します。
微生物による元素変換は、放射性物質にのみに起こるだけでなく、安定した元素でも観測されているとのこと。色々な実験の改善を経て、22頁の記述によるとマンガン55から鉄57への変換実験では、1グラムあたり10
The total mass of Fe-57 isotopes that was created is about 10 mg per each g of dried biological substance or by 20 times more than in the case of "one-line" culture.23頁には、分かりやすい元素分析の結果グラフが載っています。Fe57(鉄57)の量が増える一方で、Mn55(マンガン55)の量が減ってる事を示しています。
この結果は、MCT (microbial catalyst-transmutator) と著者が呼んでいる色々な細菌と元素の複合体によって得られています。なぜ、単一種の細菌ではなく、複雑な系を用いるのか不思議だったのですが、その理由も17~18頁に書いてありました。以前は単一種の細菌を使っていたらしいのですが、それよりもMCTの方が効果が大きく、かつ、長期間実験可能、というのが理由のようです。面白いですね。
そして、28頁から、原子炉で放射能汚染された水に対してMCTを使って、放射線低減効果を検証した結果が出ています。非常に重要な結果だと思います。
29頁(下図)には、原子炉から取り出して10日経った放射能汚染水のガンマ線のスペクトルが示されています。様々な核種が含まれている事が分かります。
30頁は処理のフローチャートです。といっても、一方は水のままで、他方はMCTを適用するという単純な構図です。
31頁に上記の2つの水の放射線を示すグラフが出ています(横軸は経過日数で、5日毎に計測しています)。何も加えていないQcontrolに対してMCTを加えたQcultureの方が放射線の低減が大きくなっているのが分かります。最初の10日間は両者に殆ど差がないのも面白いところです。
そして、次に出てくるのが、以前にも紹介したCs137の放射線低減実験です。33頁に実験のフローチャートが示されています。対照系2種類を含む8種類のケースで放射線を計測しています。
結果は以下の通り。MCTを混ぜたケースでは、その他の添加物(NaClやCaCO3)に応じて違いがあるものの、Cs137の半減期30年よりずっと速いペースで放射線が弱まっています。最大の効果が得られたケースでは、半減期は約310日と観測されており、通常より35倍速いペースで放射線が弱まっています。
最後に、39頁にある重要な文章を引用します(和訳は引用者がつけました)。
The presented results show perspectives of use of the effect of stable and radioactive isotopes transmutation in biological systems for natural and industrial applications.
実験結果は、自然界や産業にとって、生態系の中で安定同位体および放射性同位体へ与える影響を利用できる展望を示しています。
These results can give the answer to the question of the reasons of abnormal accelerated decrease of environmental radioactivity in some isolated areas inside Chernobyl accident zone with initial high level of radiation pollution.
これらの結果は、初期に放射線汚染が高水準であったチェルノブイリ事故地帯の幾つかの孤立した地域で、環境放射線が異常な速度で減少した謎への答えなのかもしれません。この事実の詳細を把握できていませんが、もし本当なら、福島原発災害で放射能に国土を汚染された日本にとっても大きな福音になるでしょう。こういった研究にはもっと予算をつけて推進して欲しいものだと思います。
以上
2014年5月18日日曜日
Defkalion社のICCF-18でのデモの信頼性失墜
常温核融合を報道しているスウェーデンのジャーナリストMats Lewan氏が、新著「An Impossible Invention」のためのWebサイトで重大な記事を公開しました。ICCF-18の会議にライブ中継され、Mats Lewan氏が立ち会ったデフカリオン社のHyperion反応炉のデモ(2013年7月23日)では、出力の熱量測定に問題があり、実際にはHyperionから過剰熱が発生していなかった可能性があると報じています。
この報道の元となった評価レポートは、イタリアのMose社の元CTOであるLuca Gamberale氏が書いたものです。Mose社は、デフカリオン社と共同でジョイントベンチャーのデフカリオン・ヨーロッパ社を起こした会社です。
http://animpossibleinvention.files.wordpress.com/2014/05/dgt-faulty-demo-140502-english.pdf
このレポートで指摘された測定誤差が非常に大きいので、デフカリオン社のこれまでの取組みに対する信頼性をも揺るがす大事件となっています。レポートによると、このデモが終わった後に、同じ設定で、Hyperion反応炉を切った状態で動作させたところ、2.5kWの入力に対して約17kWの出力を得たとのこと。過剰熱があったのかどうか全く分からなくなりました。
元々デフカリオン社は、ロッシ氏のE-Catを販売する計画を持っていた会社で、ロッシ氏とは共同記者会見まで開いた経緯があります。しかし、その後、ロッシ氏とは喧嘩別れして、独自の常温核融合炉Hyperionを開発する道を選びました。
デフカリオン社はこれまでHyperionの実験データの詳細を公開した事がありません。そのため、Hyperionの動作については誰も検証しようがない状態でした。しかし、仕様書や論文は発表してきており、プライベートな他者評価も行なっていると発表していたので、私は、結構信頼できると考えてきました。しかし、今回の事件で、信頼度は全く分からなくなったと思います。それにしても、当初、胡散臭いと思われていたロッシ氏が、完全な第三者検証によって大きな信頼を勝ち得たのと対照的な状況になりました。デフカリオン社が、早く信頼性のあるデータや第三者評価結果を出してくれるよう望みます。
以上
この報道の元となった評価レポートは、イタリアのMose社の元CTOであるLuca Gamberale氏が書いたものです。Mose社は、デフカリオン社と共同でジョイントベンチャーのデフカリオン・ヨーロッパ社を起こした会社です。
http://animpossibleinvention.files.wordpress.com/2014/05/dgt-faulty-demo-140502-english.pdf
このレポートで指摘された測定誤差が非常に大きいので、デフカリオン社のこれまでの取組みに対する信頼性をも揺るがす大事件となっています。レポートによると、このデモが終わった後に、同じ設定で、Hyperion反応炉を切った状態で動作させたところ、2.5kWの入力に対して約17kWの出力を得たとのこと。過剰熱があったのかどうか全く分からなくなりました。
元々デフカリオン社は、ロッシ氏のE-Catを販売する計画を持っていた会社で、ロッシ氏とは共同記者会見まで開いた経緯があります。しかし、その後、ロッシ氏とは喧嘩別れして、独自の常温核融合炉Hyperionを開発する道を選びました。
デフカリオン社はこれまでHyperionの実験データの詳細を公開した事がありません。そのため、Hyperionの動作については誰も検証しようがない状態でした。しかし、仕様書や論文は発表してきており、プライベートな他者評価も行なっていると発表していたので、私は、結構信頼できると考えてきました。しかし、今回の事件で、信頼度は全く分からなくなったと思います。それにしても、当初、胡散臭いと思われていたロッシ氏が、完全な第三者検証によって大きな信頼を勝ち得たのと対照的な状況になりました。デフカリオン社が、早く信頼性のあるデータや第三者評価結果を出してくれるよう望みます。
以上
2014年4月20日日曜日
Jed Rothwell氏の「常温核融合の文献と歴史からの教訓」
インターネット上の常温核融合論文ライブラリ lenr-canr.org を管理されているJed Rothwell氏が昨年に開催されたICCF-18で発表した時の資料の和訳が公開されました(PDF版をダウンロード可)。
英語版は、Lessons from cold fusion archives and from history から、
日本語版は、常温核融合の文献と歴史からの教訓 からダウンロードできます。
15ページの文献ですが、常温核融合について非常に興味深いエピソードが沢山つめ込まれています。私が興味を惹かれたのは、再現に失敗した例として挙げられたカミオカンデの実験例です。何が失敗の原因なのか知りたいと思っていたのですが、その答えが書いてありました。(興味のある方は上記の日本語版をお読みください)
この手の失敗は常温核融合の歴史の中で繰り返されてきたようです。初期の電気分解方式の常温核融合の研究には、少なくとも核物理と電気化学の知識が必要でした。でも、両方の知識を兼ね備えた科学者はおらず、片方について生半可な知識しかもたずに実験を行うと失敗します。常温核融合の研究には、複数の異なる分野の専門家の協力が不可欠なのです。
発表の模様は以下の動画で見ることができます。
最後に要約を引用します。
混乱とした状況にもかかわらず、論文や報告には、常温核融合が本物であることの証拠が示されており、再現する方法も説明されている。
文献には失敗に終わった実験が数多く掲載されている。その失敗には二種類ある: 素人の単純ミスと勇敢な試みである。カミオカンデの地下観測装置で行った実験で はパラジウムを素手で持ち出したりして、多くの単純なミスを起こした。こんな間 違いを避けるためには、まず教科書を読むことと、LENR-CANR.org に収録された 過去の論文や報告を読むこと、電気化学者の助言を得ることである。勇敢な試みの 例としてスリニバサン(Srinivasan)の報告を挙げよう。スリニバサンはミルズが報 告したニッケルで発生する過剰熱をインドの BARC 国立核エネルギー研究所で再現 した。BARC で得た結果をもう一度 SRI で再現しようとして 6 か月苦労した挙句、 有意な結果を得られなかった。そのため、BARC で得られた前の結果も問い直すべ きだと判断した。これこそ本当の探究心の現われだ。こんな失敗のおかげで成功が 生まれるだろう。
最後に、研究には警戒すべきことがある。それは広く信じられている根拠のない仮定に捕まってしまうことだ。誰でもその仮定が当たり前のことだと思い込んでいるから、疑問に思わないわけだ。間違いだと気が付かない。最後の章で遺伝学の歴史からの例をあげる。我々は、常温核融合研究の進歩が、そのような仮定によって遅れないことを望む。
以上
英語版は、Lessons from cold fusion archives and from history から、
日本語版は、常温核融合の文献と歴史からの教訓 からダウンロードできます。
15ページの文献ですが、常温核融合について非常に興味深いエピソードが沢山つめ込まれています。私が興味を惹かれたのは、再現に失敗した例として挙げられたカミオカンデの実験例です。何が失敗の原因なのか知りたいと思っていたのですが、その答えが書いてありました。(興味のある方は上記の日本語版をお読みください)
この手の失敗は常温核融合の歴史の中で繰り返されてきたようです。初期の電気分解方式の常温核融合の研究には、少なくとも核物理と電気化学の知識が必要でした。でも、両方の知識を兼ね備えた科学者はおらず、片方について生半可な知識しかもたずに実験を行うと失敗します。常温核融合の研究には、複数の異なる分野の専門家の協力が不可欠なのです。
発表の模様は以下の動画で見ることができます。
最後に要約を引用します。
常温核融合の文献と歴史からの教訓
要約
常温核融合の研究分野はやや混沌とした状態である。実験結果は一貫性がない場合もあれば、まったく矛盾した結果の場合もある。いろいろな理論が提案されているが一般に受け入れられているものがない。しかし、歴史を顧みると、新発見の研究分野に起こるこういう混乱は問題ではなくて、むしろ健全な証拠だと言える。プラズマ核融合などの定着した分野は幅広い合意としっかりした理論的基礎があるにも関わらず、あまり進展がない。私たちは、混沌を受け入れ、喜ぶべきである。混乱とした状況にもかかわらず、論文や報告には、常温核融合が本物であることの証拠が示されており、再現する方法も説明されている。
文献には失敗に終わった実験が数多く掲載されている。その失敗には二種類ある: 素人の単純ミスと勇敢な試みである。カミオカンデの地下観測装置で行った実験で はパラジウムを素手で持ち出したりして、多くの単純なミスを起こした。こんな間 違いを避けるためには、まず教科書を読むことと、LENR-CANR.org に収録された 過去の論文や報告を読むこと、電気化学者の助言を得ることである。勇敢な試みの 例としてスリニバサン(Srinivasan)の報告を挙げよう。スリニバサンはミルズが報 告したニッケルで発生する過剰熱をインドの BARC 国立核エネルギー研究所で再現 した。BARC で得た結果をもう一度 SRI で再現しようとして 6 か月苦労した挙句、 有意な結果を得られなかった。そのため、BARC で得られた前の結果も問い直すべ きだと判断した。これこそ本当の探究心の現われだ。こんな失敗のおかげで成功が 生まれるだろう。
最後に、研究には警戒すべきことがある。それは広く信じられている根拠のない仮定に捕まってしまうことだ。誰でもその仮定が当たり前のことだと思い込んでいるから、疑問に思わないわけだ。間違いだと気が付かない。最後の章で遺伝学の歴史からの例をあげる。我々は、常温核融合研究の進歩が、そのような仮定によって遅れないことを望む。
以上
2013年6月24日月曜日
ICCF-18の発表予稿(Abstracts)
どこからリンクされているのか良く分からないのですが、ICCF-18の発表予稿がミズーリ大学のサイトに掲載されています。沢山あって、まだ一つも目を通していませんが・・一覧だけ載せておきます。
以上
以上
2013年6月23日日曜日
ICCF-18のキーノート発表者にNI社社長のDr.T登場
18回目を迎える国際常温核融合会議(ICCF-18)は、米国のミズーリ大学で7月21日〜27日に開催されます。開催プログラムは、ここ に掲載されています。プログラムの内容については、Shinsuke Onoさんが日本語の解説を書いてくれています(ここ)。日本からの講演者としては、岩村康弘博士、高橋亮人博士、日置辰視博士の名前が挙がっています。
今回の会議で私が目を惹かれたのは、キーノート・スピーチに、ナショナルインスツルメンツ社の社長であるDr. James Truchardの名前があった事です(知る人の間では、Dr. T として呼ばれているそうです)。
Dr.Tは、昨年夏のNI社のイベントNIWeek 2012のキーノート・スピーチの中で、常温核融合研究者への支援を公式に表明し、常温核融合研究者を招いて発表の場を設けました。今年のNIWeek 2013には、早々とデフカリオン社が実働デモを出すと表明しています。常温核融合研究にとって大きな存在となったナショナルインスツルメンツ社を率いるDr.Tが何をスピーチするのか、非常に興味あるところです。
以上
今回の会議で私が目を惹かれたのは、キーノート・スピーチに、ナショナルインスツルメンツ社の社長であるDr. James Truchardの名前があった事です(知る人の間では、Dr. T として呼ばれているそうです)。
Dr.Tは、昨年夏のNI社のイベントNIWeek 2012のキーノート・スピーチの中で、常温核融合研究者への支援を公式に表明し、常温核融合研究者を招いて発表の場を設けました。今年のNIWeek 2013には、早々とデフカリオン社が実働デモを出すと表明しています。常温核融合研究にとって大きな存在となったナショナルインスツルメンツ社を率いるDr.Tが何をスピーチするのか、非常に興味あるところです。
以上
2013年3月17日日曜日
ICCF-18の参加登録始まる
第18回の国際常温核融合会議は、アメリカのミズーリ大学で開催されます。その参加登録が開始されました。私は行く予定はありませんが、前回よりも参加者が増えること、特に若手研究者の参加が増えることを願っています。
ちなみに、今回も生体内核変換のパネルが設けられており、ヴィソツキー博士達の最新の研究状況が出てくるのではと期待しています。
以上
ちなみに、今回も生体内核変換のパネルが設けられており、ヴィソツキー博士達の最新の研究状況が出てくるのではと期待しています。
以上
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