2012年4月30日月曜日

Leopoldo Pirelli工業高校の常温核融合装置ATHANOR

イタリアのローマにあるLeopoldo Pirelli工業高校で常温核融合装置を試作し、入力エネルギーの約4倍の熱を検出したというニュースが流れています。
この実験結果が正しいかどうかは今後の検証(追試)を待たねばなりませんが、たとえ間違いがあったとしても、工業高校の生徒が教師の指導を受けながら常温核融合装置を作って実験しているとは何と素晴らしいことでしょう! 世の中で十分に認知されていなくても、革新的で面白いと思う実験を指導する教師がいて、資金を出そうと決断する経営者や父兄がいるとは本当に素晴らしい。これが先駆けとなって、数年後には世界中の高校での必須実験になっていると良いですね。


この実験結果の発表は地味ではありますが、以下の理由から非常に大きな意味を持つ可能性があります。
  • はっきりと常温核融合の効果を確認できる成果だと思われること。まだ検出されたエネルギーの絶対値など具体的なデータは明確に公開されておらず断定できません。しかし、断片的な情報からは絶対的なエネルギー量・温度も高いとの期待が高まります。400%の入出力比があって、誰にでも過剰熱が計測できる実験なら、強い説得力を持つでしょう。
  • 独創的な仕組みであること。彼らは、ロッシ氏のE-Catやデフカリオン社のHyperionの真似(追試)をしたのではありません。かつて、日本の水野博士・大森博士が考案したグロー放電方式に、ナノパウダーを電極として使う改良を加えた独創的な方式を考案しています。素晴らしい学生達だと思います。
  • 特許を出願した上で技術を公開しようとしていること。おそらく技術開発の王道を学ぶ意味があるのだと想像しますが、これによって各所での追試が期待できます。今までも小さい過剰熱発生の実験装置は学術論文として公開されてきましたが、大きな過剰熱を発生する反応装置については、ロッシ氏もデフカリオン社も技術のコアを秘匿したままです。
  • 誰でも入手できる道具と材料を使っていること。これも追試が期待できる大きな要因です。
以下、この発明を知るための手がかり情報を挙げてみました。

http://www.leopoldopirelli.it/
Leopoldo Pirelli工業高校のホームページ

http://www.leopoldopirelli.it/index.php?menu=1&cont=1000
同高校の常温核融合装置を作るプロジェクト「ATHANOR」発表会の様子(ATHANORは日本だとアタノールと読むのでしょうか。同名のコスメ企業があるようです)
同高校の教諭であるAbundo氏, Pieravanti氏, De Santis氏, Cipriani氏が指導したようです(イタリア語なのでGoogle翻訳のお世話になってます)。

http://roma.repubblica.it/cronaca/2012/04/19/foto/il_reattore_costruito_dagli_studenti-33583028/
常温核融合装置の写真がスライドショーで見られます。素人目には、立派な計測器を使って、丁寧に作られた装置のように見えます。


http://www.e-catworld.com/2012/04/cold-fusion-in-italian-high-school/
この発表を紹介するE-Cat Worldの記事です。元々はイタリアの常温核融合ブロガーであるDaniele Passeriniさんのブログで紹介されたのが発端だったのですが、E-Cat Worldの分かりやすい英語で説明して貰ったので助かりました(Danieleさんのブログはたいていイタリア語です)。

http://www.e-catworld.com/2012/04/more-details-about-pirelli-high-school-cold-fusion-experiment/
E-Cat Worldの記事の第二弾です。指導教官の一人であるUgo Abundo氏がDanieleさんに送ったメールの英訳が載っています。
反応炉の特徴が以下の文にあります − 水野博士の考案したタイプの電気的反応炉だが、基本的な相違は、「フリーのナノパウダー」を使っている点にあるとの事。「フリー」とは、特別な前処理をしていないのと、何かにくっつけている訳ではない事を示しているようです(私の理解)。「fluidized-bed reactor」と言っており、後述するように泥状のナノパウダーを示すのかもしれません。
I’ll drop you a hint that it it an electrolytic reactor (Mizuno type, Iorio), but with the fundamental difference that free nanopowders are used, not treated or fixed on supports, that we’ve been able to confine and turn on in a totally innovative fluidized-bed reactor.
以下の文も素晴らしいと思います。様々な分野に跨るスキルを要求する常温核融合の研究にチームで挑むという意図を持っていたんでしょうね。 − 「私たちは技術者(教師)のグループで、各々の得意領域は限定されていますー放射線防護、化学、物理、数学、工学ー しかし、我々は自分たちの強みを統合して、この成果を出しました」
We are a group of (teachers) engineers with sectorial skills in radioprotection, chemical, physics, mathematics, engineering and we have integrated our strenghts in this accomplishment (with the precious help of our students that have acquired important competencies on the field, even if limited to the educational aspects).
http://www.e-catworld.com/2012/04/english-translation-of-build-instructions-for-pirelli-athanor-cell/
E-Cat Worldの記事の第三弾ですが、この記事に本装置の作り方が英語で記されています。原文は以下のイタリア語の文書です。
http://www.22passi.it/downloads/athanor/pdf%20athanor.pdf
この文書の中に装置の写真と図が載っています(下図)。アノード(陽極)とカソード(陰極)が上下に配されており、これでグロー放電を起こすようです。ポイントは、カソードの材質と構造にあるようで、2〜5グラムのタングステンの針(直径0.1mm、長さ3〜5mm)と1〜2グラムのパウダー(100ミクロン〜50ナノメータまでの様々なサイズ)を泥状にしたものが入っているとのことです。様々なサイズの針とパウダーがミックスになっているのが工夫のキモでしょうか?
On the plate is placed a mixture of tungsten needles (length 3 -5 mm and diameter 0.1 mm) of 2-5 grams and powders, in the form of mud, the grain size between 100 microns and 50 nanometers, in variable proportions, of the weight of g. 1 to 2.


この実験については、Vortex-lメーリングリスト上でも話題になっています。Jed Rothwell氏は、以下の投稿で、この実験は大森博士と水野博士のグロー放電実験と同じ仕掛けを使っているが、タングステンのフリーパウダーを使っている点が違うらしいと言っています。水野博士の論文や発表資料へのリンクを紹介してくれています。

http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg65329.html
Re: [Vo]:Pirelli Foundation funds successful LENR Cold Fusion Project
Jed Rothwell
Mon, 23 Apr 2012 17:46:56 -0700

This is definitely an Ohmori-Mizuno style glow discharge experiment. I heard from one of the authors. It employs "confined free powders of tungsten in a reaction chamber by natural convection" with a plasma between the powder and  "an anode jacketed by a porous sintered borosilicate glass filter."

The problem with the O-M experiment was that it was unstable, short-lived, and it caused a large explosion. This technique probably fixes the first two problems. I don't know about the third. When I observed the tests, Mizuno could make the effect turn on for ~5 minutes at most. The heat eroded the cathode in about 15 minutes. It was broken up into black dust at the bottom of the cell. So, the effect appeared to be real, but it was of no practical use. See:

http://lenr-canr.org/wordpress/?page_id=187#PhotosTMizuno

I assume the black color of the dust meant the particles were of small dimensions. I do not think it could be tarnished in a 15-minute experiment.
Once the metal was broken up and it fell to the bottom and there was no way to use it in a circuit. That is to say, it was nothing like a fluidized bed.

This new technique starts off with powder and uses it in a fluidized bed.

- Jed


http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg65346.html
Re: [Vo]:More Details About Pirelli High School Cold Fusion Experiment
Jed Rothwell
Tue, 24 Apr 2012 07:54:56 -0700

Daniel Rocha wrote:

Does that use H or D?
>

Ordinary water, that has been purified with a Milli-Q purifier. See:

http://www.lenr-canr.org/acrobat/MizunoTconfirmatia.pdf

They spend a couple of days cleaning the cathodes and other equipment, using a sacrifice cathode as a getter, and taking other steps to ensure purity. The test only runs for 20 minutes, but it takes 10 hours of preparation. They sometimes prepared several cathodes beforehand, and used the same electrolyte.

Electrochemists tend to be fanatics about reducing impurities.

Ohmori was better at that than anyone I have seen. He had gold cathodes that had been used for months, in plastic boxes. They were still shining, untarnished. I thought they were unused! Most cathodes that have been used for a few weeks are tarnished with galvanized gunk on them. The Milli-Q water purifier and other similar machines work by electrolysis.

- Jed


以上

2012年4月15日日曜日

第10回 水素吸蔵金属異常現象 国際ワークショップ

先週4月10日〜14日にイタリアのシエラで、第10回 水素吸蔵金属異常現象 国際ワークショップ(10th International Workshop on Anomalies in Hydrogen  Loaded Metals)が開かれました。国際常温核融合学会のISCMNSのページに以下のように告知されています。
プログラムはここにあり、アブストラクトはここにあります。
今回は、日本からは高橋亮人博士と北村晃博士が以下のような題名で発表されたようです。
A. Takahashi
Are Ni + H Nuclear Reactions Possible?
A. Kitamura
Summary of the latest results of gas loading experiments

この他にも、先日CERNで常温核融合の講演を行ったCelani博士や、MITのHagelstein博士など、お馴染みの名前が並んでいます。生体内核変換の研究で有名なVysotskii博士の名前もあったのですが、今回は会議の趣旨からして生体内核変換の発表ではなかったようです。残念。
V.I.Vysotskii
About the effectiveness of Widom-Larsen theory for explanation of LENR phenomena
V.I.Vysotskii
Application of correlated states of interacting particles in nonstationary and modulated LENR systems

今回の発表で最も注目しているのは、ニッケル−水素系反応の研究で有名なPiantelli博士の発表ですが、残念ながらプログラムには題名はまだ載っておらず、アブストラクトも公開されていませんでした。Piantelli博士は、Nichenergy社というベンチャー企業を立ちあげており、Nichenergy社は今回のワークショップのスポンサーの一つになっています。何か面白い発表があったのか気になるところです。

また、スポンサーの一つであるCoolescence社のRich Cantwell氏らの発表も入っているのですが、この会社は米国コロラド州ボルダーに設立された常温核融合研究のベンチャーのようです。検索してみると以下のような資料がみつかります。

どのような議論がなされたのか素人には理解が難しいのですが、地道な研究活動が世間に認知される事を願っています。

【追記:2012/04/17】
Piantelli博士のプレゼン内容を気にしていた人がプレゼン資料の所在を教えてくれました。
https://docs.google.com/open?id=0B6id5Hf-xMWOYXVjekJCN1ZkQk0

専門家の解説を聞かないと意味は分かりませんが、Piantelli博士が作成したセルで過剰熱検出の実験を行った結果が述べられているようです。結論のページを見ると、(1)20W以下の入力で71Wの出力が得られている、(2)温度は200度から400度の間である、(3)表面には以前の核変換実験の時と同じような現象が見られている、とあります(原文は以下)。高出力で利得も大きいので、結構すごい結果ではないでしょうか?

We are very close to the auto-sustenance (less than 20W introduced and 71W produced = 91W) (t=260C)
We have seen that the energy production can be obtained between 200C and 400C
We have indication that the phenomenon takes place at the surface of the sample; we have seen in previous experiments a transmutation effect

以上

2012年3月18日日曜日

常温核融合技術が次世代のエネルギーを作る

福島原発の事故をうけ、もはや原発はすべて廃炉にするしかないでしょう。今の政府や電力会社に原発を安全に運用できる技量がないと示されたのですからやむを得ません。
問題は、原発をなくした後、代替となるエネルギー源をどう確保できるかです。しかし、3〜4年先を考えれば、この問題に対する答えは明らかです〜常温核融合技術がその答えです。

常温核融合は少量の燃料(水素やニッケル)から多量のエネルギーを取り出せます。この性質は、従来の原子力(核分裂・核融合)と同じですが、有害な核廃棄物や中性子線は発生せず、発熱モジュールを小型化できる点が今までとは全く異なります。常温核融合技術の登場で、エネルギーコストが従来の十分の一以下に下がり、どの国でも燃料を得られる状態になれば、我々の世界は今とは全く違ったものになるでしょう。

日本にとって問題なのは常温核融合が認知されるまでのこの1〜2年だと思います。常温核融合が認知されれば、それだけで原油の価格は下がるでしょう。なぜなら、誰も石油の枯渇を心配しなくなり、いずれE-Catと同程度のコスト競争力を持つ価格に下がると購買者が期待するからです。一日でも早い認知拡大が日本の国益にもかなうのではないでしょうか。

常温核融合は、今では、低エネルギー核反応(LENR: Low Energy Nuclear Reactions)や凝集系核科学(Condensed Matter Nuclear Science)と呼ばれています。
1989年に、マーティン・フライシュマン博士とスタンレー・ポンズ博士が、この現象を発見したと発表しましたが、追試の失敗が続いたことから発見は間違いだったというの­が一般的な見解となりました。
しかし、この不思議な現象に魅せられた一部の科学者(日本・米国・イタリア・ロシア等)は研究を続け、実験の再現性や理論仮説の精度を高めてきました。今日では3000本­以上の論文・レポート等が集積され、 研究者の間では「常温核融合現象に定性的な再現性はある」とされています。日本でも高橋亮人博士、小島英夫博士、水野忠彦博士、荒田吉明博士、北村晃博士など著名な研究者が活躍されて­おり、工学社から書籍も発刊されています。

とはいえ、2010年末までは、まだまだ実験室レベルで再現性を検証している状況でした。ところが、2011年1月に米国在住のイタリア人エンジニアであるアンドレア・ロッシ氏が、ニッケルと水素を反応させる常温核融合装置「E-Cat」のデモをイタリアのボローニャ大学で行­ったことで状況は大きく変わりました。これは数キロワット以上の熱を発生できる「実用的な」常温核融合装置だったのです。

ロッシ氏は、2012年末には家庭用のヒーターとして商用化し、大量に販売すると宣言しています。ギリシアでは、当初ロッシ氏と提携していたデフカリオン社が同じ方式に基づくと思われるHyperionという名前の常温核融合装置を商用化しようとしています。他にもライバル企業が現れる兆しも出てきています。

ECATの公式ホームページである http://ecat.com/ に今冬発売開始予定のECAT Homeの開発状況が公開されています。少し抜粋して紹介します。
http://ecat.com/news/andrea-rossi-ecat-march-update

  • ロッシ氏は家庭用のECAT Homeを新しいデザインで再設計しており、大きさは33cm x 33cm x 6cmで縦置きも横置きも可能。重量は10 kg。
  • ECAT Homeは、2つの単純な接続インターフェースを持っている:水の入力と出力だ。入力エネルギー(電力)の6倍のエネルギー(熱)を取り出せる。
  • 法律に従い購入者は満足しなければ60日間は返品できる。レオナルド社は法律で要求される保証を提供する。
  • 建設中の新工場の生産能力は、年間100万台である。
  • 水素のための容器は不要になった。安全上の理由から水素は固形材の中に格納される。
  • UL認証を取得中。
  • 放射線はECATの外部では検出されていない。
  • ECATの販売ライセンスは既にライセンシーに提供されているが、まだ公開していない。いずれライセンシーの全ネットワークを公開する予定。

また、E-Catは1MWの熱を発生するプラントを既に商品化して、昨年11月末に初出荷しています(ロッシ氏によると)。このプラントは52台の小型E-Catを1台のコンテナに集積したもので、その写真が以下に公開されています。既に軍事関係の顧客から10台以上の追加注文を受けていると言われています。
http://ecat.com/ecat-products/ecat-1-mw



ギリシアのデフカリオン社は、より詳しい情報を提供しています。以下がHyperionのプレ商用版のデータシートで、昨年11月にデフカリオン社のホームページに公開されました。
http://www.defkalion-energy.com/files/HyperionSpecsSheetNovember2011.pdf
HYPERION KW SERIES SPECIFICATION DATA SHEET- PRELIMINARY

以下、このスペック表からの抜粋です。1モジュールで5kWの発熱を行い、温度は185〜285度。効率は25倍以上で、燃料交換は半年に一回といった大まかな仕様が読み取れます。
Thermal source: Chemically Assisted Low Energy Nuclear Reaction (CALENuR) Ni-H
Thermal power (measured at external heat exchanger outlet)

  • Range: 5-11kW
  • Max Output temperatures (measured at external heat 
  • exchanger outlet) 
  • Series A: 285度
  • Series C: 185度
  • Hyperion Weight ≈19,5 kg
  • Maximum electric energy consumption per hour at ON 
  • mode <200Wh
  • Hydrogen can recharge every 6 months
  • Powders renewal every 6 months
  • COP Better than 1:25


残念ながら、Hyperionについては、まだ公開実験や第三者検証が実施されたことがありません。要は実働することが証明されていないのです。これに対して、デフカリオン社は去る1月23日に第三者検証者を公募すると発表しました。プレスリリースは以下にあります。
http://www.defkalion-energy.com/files/2012-01-23_Independent_Testing_on_Hyperion_Reactors.pdf

この後、Pure Energy Systems NetworkをやっているSterling Allanさんのデフカリオン社訪問記事が掲載されました。
http://pesn.com/2012/02/13/9602039_Hope_from_Athens_found_in_Cold_Fusion/

この記事でデフカリオン社の言葉を伝えているのですが、それによると、先ほどの第三者検証では少なくとも7つの組織が検証を予定しているとのこと。最初の18社とのライセンス契約を近々発表予定で、ライセンスコストは40.5Mユーロ(約40億円)だとも言っています。ライセンス契約を結んだ会社は年間30万台のユニットを生産する工場を設立する所が多いそうです。
更に、デフカリオン社はこの第三者検証を2月24日から開始し、一番手はギリシア政府とも言っていました。その後、とてもポジティブな結果を得たとの速報が2月28日にフォーラムに投稿されました。
http://www.e-catworld.com/2012/02/defkalion-reports-successful-conclusion-of-tests-with-government-officials/

残念ながら、その後、デフカリオン社はフォーラムでの情報発信をやめ、正式な広報のみにすると宣言。他のグループによる第三者検証が続いている筈ですが、残念ながら、その後の情報は得られていません。

デフカリオン社の言葉を信じるならば、この強烈なコストパフォーマンスを持った発熱装置の生産ラインが世界中に揃いつつあることになります。


常温核融合が実現されれば、我々の社会や生活に大きな変革が訪れます。本当に変革は始まるのか否か、認識を深めたいと思う方は是非調べてみてください。

【参考文献】
http://www.lenr-canr.org/BookBlurb.htm
http://lenr-canr.org/acrobat/RothwellJmiraiokizu.pdf
未来を築く常温核融合
Jed Rothwell著
常温核融合関連論文の図書館とも言うべき http://www.lenr-canr.org/ を管理されているJed Rothwellさんによる常温核融合の解説書です。常温核融合を知る上では必読書といえるでしょう。


http://jcfrs.org/file/CFfrontier2011.pdf
常温核融合フロンティア 2011
高橋 亮人(大阪大学名誉教授、(株)テクノバ)著
常温核融合研究全体の最新状況を専門的に解説した本です。非常に専門的で難しい内容ですが、素人にも雰囲気は味わえるかと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=-j2dLk4g5ZY&cc_load_policy=1
常温核融合がもたらす5つの利点を簡潔にまとめた動画に日本語字幕をつけました。科学技術の話題よりも、その社会的な影響に重点があります。

http://www.facebook.com/groups/209258969132018/
Facebookの「常温核融合グループ」です。素人が集まって議論していますので、興味のある方は是非ご参加ください。



以上

Cold Fusion Five −世界を変える常温核融合の5つの利点−

仕事が忙しくて前回の投稿から2ヶ月以上がたってしまいました。この間にも常温核融合関連のニュースは色々と報じられており、一部については、Facebookの常温核融合グループでピックアップされていますので、興味のある方はどうぞご参加ください。

さて、「世界を変革する常温核融合の5つの利点」でご紹介したCold Fusion Now作成の常温核融合紹介ビデオCold Fusion Fiveに日本語の字幕をつけてみました。以下から再生できますので、一度ご覧いただければと思います。
YouTubeの動画に字幕をつけるには、字幕の現れるタイミングとテキストを記述したファイルをアップロードするだけです。作者のRubyさんに許可を取り、元の動画をダウンロードして、それを私の動画として投稿し、以下のファイルをアップロードしました。このファイルの作成には結構手間がかかりますが、Universal Subtitlesというページで提供されている字幕作成ツールを使いました(作成した字幕をファイルとしてダウンロードできます)。


■字幕ファイル開始

0:00:01.312,0:00:04.135
コールドフュージョン(常温核融合)ファイブ

0:00:04.320,0:00:07.942
世界を変える常温核融合の5つの利点

0:00:08.695,0:00:11.027
新しいタイプのエネルギーが

0:00:11.150,0:00:15.813
基礎研究から実用技術へと飛び立とうとしています

0:00:17.367,0:00:18.312
安全で

0:00:18.481,0:00:19.350
クリーンで

0:00:19.535,0:00:22.529
地球上の全ての人々にとって

0:00:23.021,0:00:25.150
平和に持続して生活していく

0:00:25.355,0:00:28.155
第二のチャンスを提供します

0:00:29.126,0:00:31.488
常温核融合の始まりは

0:00:31.580,0:00:33.803
フライシュマン博士とポンズ博士が

0:00:33.880,0:00:35.419
発表を行った1989年でした

0:00:35.659,0:00:37.712
その後も研究は続き

0:00:37.712,0:00:39.920
水素を使う入手容易な

0:00:39.920,0:00:42.232
エネルギー源となりました

0:00:42.686,0:00:45.671
この技術はなぜ革命的なのでしょうか?

0:00:45.809,0:00:50.218
常温核融合(冷たい核融合)が再び熱くなっています

0:00:51.018,0:00:54.554
#1 常温核融合は非常にクリーンです

0:00:54.554,0:01:00.140
危険な放射性物質は使われません

0:01:00.140,0:01:08.219
現在の危険な原発は放射性物質を使って

0:01:08.219,0:01:12.171
蒸気を作っているのです

0:01:12.171,0:01:15.075
クリーンな常温核融合技術で

0:01:15.075,0:01:18.483
これを安全な発電へと置き換えられます

0:01:18.483,0:01:24.085
常温核融合のもう一つの効果は核種の変換です

0:01:26.546,0:01:30.337
研究が進めば、何千トンもの核廃棄物を

0:01:30.506,0:01:37.053
安全な物質へ変換する技術に繋がるかもしれません

0:01:37.576,0:01:40.613
燃料となる水素は

0:01:40.613,0:01:44.165
化石燃料のような二酸化炭素を発生しません

0:01:44.919,0:01:48.671
常温核融合の反応は金属の表面で起こり

0:01:48.912,0:01:51.889
その金属は回収できます

0:01:52.395,0:01:59.137
金属は必要ですが採鉱は管理できます

0:01:59.722,0:02:05.441
#2 燃料が豊富にある

0:02:05.441,0:02:08.314
水素は宇宙の中で最も豊富な元素です

0:02:08.314,0:02:13.869
星間物質の75%は水素なのです

0:02:14.315,0:02:19.464
水素は宇宙でも絶え間なく供給される

0:02:19.464,0:02:24.182
無限のリソースです

0:02:24.890,0:02:31.110
水素は気体や液体として利用されます

0:02:31.248,0:02:44.050
僅かな水素で数千年分の燃料を賄えます

0:02:44.050,0:02:47.192
常温核融合は金属を使います

0:02:47.192,0:02:50.898
ニッケル、パラジウム、プラチナなどです

0:02:50.898,0:02:55.295
ニッケルは地球上で5番目に多い元素です

0:02:55.295,0:03:00.327
これらの金属は月や小惑星や

0:03:00.327,0:03:03.180
他の天体でも見つかっています

0:03:03.180,0:03:06.495
火星探査機オポチュニティの側には

0:03:06.495,0:03:12.495
鉄やニッケルからなる岩石がありました

0:03:13.325,0:03:17.658
#3 高いエネルギー密度

0:03:17.658,0:03:21.851
ほんの少量の燃料が

0:03:21.851,0:03:23.961
多量のエネルギーを生み出します

0:03:24.453,0:03:27.777
水素の核融合現象は同じ量のガソリンの

0:03:27.777,0:03:36.278
35万倍のエネルギーを生み出します

0:03:38.401,0:03:41.182
常温核融合の最初の商用装置は

0:03:41.182,0:03:43.723
ニッケルと水素を使って

0:03:43.723,0:03:46.379
テーブルの上に乗る位の大きさで

0:03:46.549,0:03:50.917
数百ドルで製造できます

0:03:50.917,0:03:54.462
100グラム程度のニッケルパウダーが

0:03:54.462,0:04:01.169
6ヶ月以上も10kWの熱を発生し続けます

0:04:01.169,0:04:06.036
しかも9割以上のニッケルパウダーは

0:04:06.328,0:04:09.248
また再利用できます

0:04:09.295,0:04:14.857
#4 新エネルギーが生み出す新しい経済パラダイム

0:04:15.057,0:04:17.981
常温核融合技術は革命的で

0:04:18.165,0:04:21.484
「新しい火」と呼ぶにふさわしい

0:04:21.668,0:04:25.614
最初の商用装置はほんの手始めに過ぎません

0:04:25.968,0:04:33.543
効率の向上や応用の機会が広がるでしょう

0:04:33.543,0:04:36.702
蒸気を使って発電機もできるでしょう

0:04:36.702,0:04:39.379
新しいタイプのエンジンが作られ

0:04:39.379,0:04:42.366
地上や空や宇宙の輸送に用いられるでしょう

0:04:42.366,0:04:46.600
電力源を小さくできるので

0:04:46.600,0:04:51.434
様々な個人用デジタル機器が開発されるでしょう

0:04:51.434,0:04:54.666
これによって新しい仕事と

0:04:54.666,0:04:57.050
新しい役割が生み出されるでしょう

0:04:57.050,0:04:59.135
常温核融合関連の研究、開発、

0:04:59.135,0:05:03.694
デザイン、工業化は

0:05:03.694,0:05:06.470
社会のあらゆる階層の人たちの

0:05:06.470,0:05:08.463
参画を必要とするでしょう

0:05:09.540,0:05:13.817
電力コストが今日の何分の一かに減少したら

0:05:13.817,0:05:16.726
人々は新しい生き方を

0:05:16.726,0:05:20.750
模索し始めるかもしれません

0:05:21.073,0:05:26.638
#5 常温核融合はコミュニティを元気にする

0:05:27.330,0:05:30.182
エネルギー源が水素になれば

0:05:30.182,0:05:33.728
水と同じように簡単に入手できます

0:05:33.728,0:05:37.866
化石燃料を独占する国や組織から

0:05:37.866,0:05:41.184
権力は去っていきます

0:05:41.184,0:05:44.261
資源の偏在による争いは

0:05:44.261,0:05:47.341
過去の笑い話となるでしょう

0:05:47.895,0:05:52.788
「新しい火」は送電網を必要としません

0:05:53.234,0:05:57.941
地域のコミュニティはエネルギー選択の自由を得て

0:05:57.941,0:05:59.747
ずっと自律的になるでしょう

0:06:00.432,0:06:03.268
エネルギー会社に依存する必要性は

0:06:03.268,0:06:05.038
個人にとってもなくなります

0:06:05.796,0:06:07.758
クリーンな飲料水

0:06:07.758,0:06:11.364
廃棄物の安価なリサイクル

0:06:11.364,0:06:13.659
低コストな輸送

0:06:13.659,0:06:18.295
水力発電ダムの除去

0:06:18.449,0:06:23.242
河川や森や野生の回復

0:06:23.242,0:06:25.711
すべて可能になります

0:06:25.711,0:06:27.688
これらは常温核融合技術がもたらす

0:06:27.703,0:06:29.726
恩恵のほんの一例に過ぎません

0:06:29.986,0:06:32.425
もっと常温核融合を学びましょう

0:06:32.456,0:06:36.850
そしてあなたがエネルギー源を選んでください

0:06:36.942,0:06:39.880
それから語り始めましょう

0:06:39.880,0:06:41.656
政治家に言うのです

0:06:41.656,0:06:45.995
私は常温核融合をエネルギー源に選ぶのだと

0:06:47.675,0:06:50.528
制作とナレーション:Ruby Carat、編集:Eli Elliott

0:06:50.678,0:06:53.437
音楽:Fog Action  Steve Craigに謝意を表します

0:06:53.621,0:06:58.587
和訳:浅学俊郎 協力:Facebook常温核融合グループ
■字幕ファイル終了


以上

2012年1月15日日曜日

E-Cat登場一周年

E-Catが初めて世界に姿を表したのは、昨年1月14日にボローニャ大学で行われた公開実験でした。それからちょうど一年たちました。E-Cat登場一周年おめでとうございます。

この一年、E-Catに関する様々な動きがありましたが、最近フォローできていなかったので、主に以下のサイトのニュースを中心に紹介してみます。
http://cold-fusion.asia/
常温核融合 常温核融合LENRエネルギーのニュース

ちなみに、このサイトは自動翻訳かと思っていたのですが、翻訳の質が良いので、もしかすると誰かが人力翻訳してくれているのかもしれません。この場を借りて御礼申し上げます。特に、作家のFrank Aclandさんが良質の記事を載せているE-Cat Worldの内容を把握するのに助かっています。

ロッシ氏は、昨年暮れにE-Catのビジネス・開発戦略を大きく変更しました。以前は、1MWプラントのような大型の装置の販売を主力とし、家庭用のような小型の装置はまだ先の話と位置付けていました。しかし、今や、家庭用の小型E-Catの開発・販売を戦略の主力に変更し、今年の冬に大量販売を成功させようとしています。
おそらく、デフカリオン社やFrancesco Piantelli博士らがライバルとして市場に名乗りをあげるのは近いとみて、装置の大量製造技術や販売網の整備を先に行う事で、先行者の優位性を固める方針に変えたのでしょう。

それでは順不同で紹介します。

■PESNのSterling Allan氏によるロッシ氏のインタビュー (1月15日)
http://www.e-catworld.com/2012/01/andrea-rossi-interviewed-on-the-smart-scarecrow-radio-show/
一周年を記念した1時間半にわたるロッシ氏のインタビューです。英語を聞きとるのはつらいので、インタビューの要旨をまとめてくれた以下の投稿を勝手に和訳してみます。
http://www.mail-archive.com/vortex-l%40eskimo.com/msg61170.html

10 kW home E-Cat is the size of a portable computer.
10 kW の家庭用E-CatはポータブルPCの大きさです。

Rossi calls the recharges "Energy Sticks", fits with the ball point pen refill statement.
ロッシ氏は、交換燃料を「エネルギースティック」と呼んでいる。ボールペンの替芯(リフィル)のようなイメージ。

Replacement is simple and can be done by anyone.
燃料交換は簡単で、誰にでもできます。

No H2 canisters used. Reactor stores and recycles the H2. Only uses picograms of H2.
水素補給のための容器は使いません。反応装置が水素を保持し、再利用します。ピコグラム程度の水素しか使われません。

Reactor control is via regulation of operational heat point.
装置の制御は、熱源の出力を一定にする事で行われます(意味がよく分かりませんでした)。

Fuel lasts 4,320 operational hours (180 days at 24 hours a day).
燃料は4320時間持つ。つまり、24時間運転で180日間。

E-Cat will signal when refill is needed.
燃料交換が必要な時はE-Catが知らせます。

Customer can purchase several refills and keep them in stock.
顧客は複数本のリフィルを買い置きしておけます。

Cost of the refill to the customer will be $10 plus installation if needed.
リフィルの価格は10ドル程度。

Will be available via internet sales.
インターネットでも販売もします。

Home units will run in self sustain mode.
家庭用装置はセルフサステインモードで運用されます。

512 keV 180 deg Gammas have been detected.
512 keV 180 degのガンマ線が検出されています。

1st 1 MW plant is in modification. Should be operation in 1 - 2 months.
最初の1MWプラントは改修中です。1〜2ヶ月で運用できるようになります。

12 additional 1 MW plants are being built.
12台の1MWプラントを製造中。

1 additional 1 MW plant has been sold to another customer.
もう1台の1MWプラントが別の顧客に売れている。

UL certification of the home E-Cat is in process.
現在、家庭用E-CatのUL認証を得る作業中。

2.7 to 2.9 kWs needed for 1 hour to start the home 10 kW E-Cat.
家庭用E-Catを起動するのには、2.7〜2.9 kWの電力が1時間ほど必要です。

Home E-Cat has only 1 reactor.
家庭用E-Catは1台の反応装置からなります。

Rossi claims the RFG helps the Coulomb barrier work with the reaction and not against it.
ロッシ氏は、RFG(何の事でしょう?)がクーロン障壁を乗り越える手助けをしていると主張しています。

First E-Cat factory is in Florida. Rossi is going to Massachusetts to further discuss building another E-Cat plant there.
最初のE-Cat製造工場はフロリダにあります。もう一台のE-Cat製造工場をマサチューセッツ州に建設する意向です。

Home E-Cat production will start in the US fall. Sales will start in the US winter.
家庭用E-Catの製造は秋に開始予定。冬に米国で販売開始予定。

Rossi is not interested in family investors as the business is still risky.
ロッシ氏は個人投資家(?)に興味はない。まだビジネスがリスキーだから。

Large hedge funds are welcome but only with a small % investment.
大きな機関投資家は歓迎します。但し、小さい割合の投資ならば。

Does plan to go public.
計画は公開していきます。

Home E-Cat has a 30 year expected life.
家庭用E-Catの想定寿命は30年。

Customer price between $400 to $500 for a home E-Cat 10 kW thermal unit.
家庭用E-Cat(10 kWの熱出力)の価格は400ドルから500ドル程度を予定。


■燃料補給計画の変更
http://cold-fusion.asia/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%B7%E6%B0%8F%E3%81%AFe-cat%E3%81%AE%E7%87%83%E6%96%99%E8%A3%9C%E7%B5%A6%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%82%92%E5%A4%89%E6%9B%B4
ロッシ氏はE-catの燃料補給に関しての計画を変更

以前、ロッシ氏は、家庭用E-Catの半年毎の燃料交換は、専門の代理店によって実施する予定と語っていましたが、彼のブログの中でこれを訂正。お客自身の手で燃料交換できるようにすると語りました。
これが上述のインタビューで詳しく語られた話です。

■ホーム・デポとの交渉(1月3日〜4日)
http://cold-fusion.asia/e-cat%E6%B5%81%E9%80%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%9D%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%BC%9A%E8%AB%87%EF%BC%8Dcah-flow%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA
E-cat流通のためのホーム・デポとの会談-Ca$h Flowラジオでジェームズ・マルティネス氏とのインタビュー

元の記事は以下だと思われます。
http://www.e-catworld.com/2012/01/rossi-in-talks-with-home-depot-for-e-cat-distribution-interview-with-james-martinez-on-cah-flow-radio/
Rossi in Talks With Home Depot For E-Cat Distribution — Interview With James Martinez on Ca$h Flow Radio
January 3, 2012

Ca$h Flowというラジオ番組でのインタビューで、家庭用E-Catの流通について、Home Depot(米国最大の住宅リフォーム小売チェーン店)と話をしていると明かしました。
この件には続きがあって、ネット上でかなり話題になったせいか、ロッシ氏は「協議している段階であって、まだ何も契約には至っていない」と追加の声明を出しました(以下)。

http://www.e-catworld.com/2012/01/rossi-on-home-depot-talks-no-agreement/
Rossi on Home Depot — Talks, No Agreement
January 5, 2012

■ナショナル・インスツルメンツ社(NI社)との協業がE-Catの発展に大きく寄与 (1月9日)
http://cold-fusion.asia/%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%84%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%B7%E6%B0%8F%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AFe

元の記事は以下だと思われます。
http://www.e-catworld.com/2012/01/the-national-instrumentse-cat-connection/
The National Instruments/Rossi Connection Strengthens Case For the Validity of E-Cat
January 9, 2012

ロッシ氏は、NI社との協力関係がE-Catに対して非常に良い影響を与えたことを認めています。家庭用E-Catのプロジェクトが現実性を帯びてきたのも、NI社の協力による制御・製造技術の進化が背景にあったからではないかと想像します。
また、Frank氏が文中で指摘しているように、NI社が公式にロッシ氏との関係を認めている事は、ロッシ氏の主張を裏付ける強力なエビデンスです。
以下のように、NI社はプレスリリースの中で、ロッシ氏のレオナルド社がNI社のツールを用いる意向であると公式に認めているのです。

http://digital.ni.com/worldwide/bwcontent.nsf/websearch/2c6b449a3f0f8f3a862579480060a07f
 In physics specifically, NI has contributed product solutions to some of the most advanced projects including the CERN Large Hadron Collider (LHC) and tokamak fusion device control systems. Additionally, the Leonardo Corporation has intentions to incorporate NI tools in its control system.

■E-Catを信頼する理由 (1月12日)

http://cold-fusion.asia/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%A7%81%E3%81%8Ce-cat%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%81%8C%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%82%8B%E3%81%A8%E4%BF%A1%E3%81%98%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%8B%E3%80%80%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3
なぜ私がE-cat革命が起こると信じているか フランク・アクランド

元の記事は以下だと思われます。
http://www.e-catworld.com/why-i-believe-in-the-e-cat/
この記事の中で、著者のFrank氏がE-Catを信じる理由として、Sergio Focardi、Guiseppe Levi、Sven Kullander、Hanno Essenといった科学者達がロッシ氏の主張を支持している点を挙げています。彼らにとってみれば、インチキを看過するのは学者生命に関わる重大事でしょう。もしE-Catがインチキだとして、彼らの目の前で実験をして、それでも嘘をつき通すことができるだろうか、という話です。Frank氏は、E-Catによって世界に変革がもたらされると信じています。もちろん、私も信じています。

最後にFrank氏の本の宣伝です。Frank氏が、What if Energy Was Free? というブログ記事で語ったところによると、以下の小説は、エネルギーが誰でも自由に幾らでも使えるようになった社会を想定して書かれているそうです。残念ながら英語だと読む気力が起きないので、早く日本語訳が出るのが待ち遠しいです。と言いながら、英語のKindle版は購入してしまいましたが・・


以上


2011年12月24日土曜日

生体内核変換を示唆する田崎和江博士のセシウム除染実験

田崎和江博士の微生物による放射性セシウム除染実験を応援します」で触れた件ですが、「日経エコロジーリポート」に以下のようなレポートが載っている事に気が付きました。


http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20111209/110252/
2011年12月15日
動き出す本格除染【3】汚染地で進む実証実験 従来技術の限界に挑戦



このレポートは田崎和江博士の実施した除染実験の成果を述べているのですが、糸状菌による放射性セシウムからバリウムへの「生体内核変換」を示唆する極めて重大な内容となっています。
以下、中核部分を引用します(赤字は引用者による)。
ミニ水田に入れたのは、ゼオライトやケイソウ土など微生物が好みそうな素材だ。その結果、能登で採取したケイソウ土を入れたミニ水田が100cpm(シーピーエム:1分間の放射線を示す単位)近くに下がった。1カ月前(200~300cpm)に比べ半減している。
この土壌を顕微鏡で調べたところ、糸状菌と呼ぶ細長い微生物が繁殖し、生体膜の内側に多量の鉱物粒子が付着していた。同じ現象は原発事故後のチェルノブイリ周辺でも確認された報告がある。
微生物が代謝によって鉱物で覆われていく現象を生体鉱物化作用という。田崎教授はこの作用でできた鉱物塊を「ミクロの石棺」と呼ぶ。「放射性セシウムがミクロの石棺に取り込まれることで、何らかの作用で放射線量が下がったのではないか」と考えている。
この水田の土壌に含む微量元素を分析したところ、通常の値を超える1kg当たり447mgの大量のバリウムを検出した。放射性セシウムが放射線を出し続けると最終的にバリウムになる。実験結果からは、微生物の代謝が放射性セシウムからバリウムへの転換を早めたとも推論できる。こうした見方を「生体内核変換」と呼び、少数ながら報告例がある。だが、現在の物理学ではあり得ないため、議論の対象にさえなっていない。
田崎教授は、「メカニズムは不明だが、ケイソウ土に線量を下げる効果があることは分かった。今後の除染に応用できる」と話す。
放射線量が下がっただけであれば、「ミクロの石棺」に何らかの放射線遮蔽機能があるとも思えるのですが、赤字部分にある「大量のバリウム」の検出は元素変換が起こったとしか考えられない非常に重大な測定結果だと思います。
これは、「田崎和江博士の微生物による放射性セシウム除染実験を応援します」で引用したVladimir I. Vysotskii博士(ヴィソツキー博士)の生体内核変換の論文「Low-energy Nuclear Reactions and Transmutation of Stable and Radioactive Isotopes in Growing Biological Systems」にある観察結果と共通のものです。ヴィソツキー博士の研究の独立した追試になっているとしたら、生体内核変換の強力な証拠として大きな意味を持つでしょう。

記事の冒頭に以下のように記述されているのを見ると、この実験結果が従来の物理学の常識に合わない事は十分に意識されています。単なる「トンデモ」ではない事は明白でしょう。
放射性物質はどんな環境下でも半減期どおりに規則正しく放射線量が減っていく。セシウム137であれば、30年で半分に減る。
除染といっても、放射性物質を流して他の場所に移すか、集めて隔離するしかない。どう処理しても放射能はなくならず、放射性核種ごとの半減期に従って減衰するのを待つしかない。
こんな物理学の常識を覆すような実証結果が公表された。
 
この実験の示す「除染」の価値は、上の一文に書かれている通りです。他の「除染」は実は除染ではなく、放射性物質を集めて隔離する事を除染と言っているだけです。しかし、今回の糸状菌による「除染」は、本当に放射性物質(放射性セシウム)を無くしていると思われます。汚染された大地を蘇らせるためには最高の方法かもしれません。どこまで実用になるかは未知数ですが、この研究には素晴らしい価値があります。国家的な投資をすべき研究案件だと思います。応援しましょう。

以上

2011年12月18日日曜日

マスメディアは何故ロッシ氏の成果を無視するのか

Cold Fusion Nowに、何故、マスメディアがロッシ氏の成果を無視するのかについての印象的な記事がありました。

その中核は、以下のブログ記事のコメント欄に投稿されたJed Rothwell氏のコメントです。Jed氏は、ジャーナリストや科学者の書く記事に常温核融合に対する根拠なき否定があるとできるだけ反論コメントを書くようにしているようです。


今回も、コメント欄での論争に応える形で、このコメントが書かれていますが、とても印象的だったので、例によって勝手に和訳してみました。
I do not think it is “amazing that the media has not paid more attention to” Rossi.
私はロッシ氏に「メディアが注意を払わないのはとんでもない事だ」とは思いません。 
His claims seem astounding.
彼の主張は驚くべきものです。 
They resemble those of many previous energy scams. Reporters and scientists dismiss Rossi for this reason.
この主張は以前からある多くのエネルギー詐欺に似ています。そのため、レポーターや科学者はロッシ氏を取り上げません。 
I would dismiss him myself if I did know that hundreds of other researchers have seen similar effects thousands of times.
もし他の何百人もの研究者が何千回も同様の経験をしていなかったら、私自身も彼を信用しないでしょう。 
I myself have spent weeks in laboratories watching cold fusion gadgets produce heat.
私自身、常温核融合の装置が熱を発生させるのを見ながら何週間も実験室で過ごした事があります。 
It is boring after a while.
これは最初を除けば退屈なものです。 
Knowing that the effect has been widely replicated in hundreds of major laboratories puts everything in a different perspective.
この現象の追試が何百もの大きな研究所で広く行われているのを知れば、全く異なった見解を持たざるを得ません。 
It makes Rossi far more believable.
これがロッシ氏を信用できる理由です。 
Believability in experimental physics is predicated on two things:
independent replication and a high signal to noise ratio.
実験物理学の信頼性は2つのものに基礎を置きます: 独立した追試と高いS/N比です。 
Cold fusion met these goals back in 1990.
常温核融合は1990年にこれらの目標を達成しました。 
There is not a single rational reason to doubt it exists.
常温核融合の存在を疑う合理的な理由は一つもありません。 
The thing is, most reporters and scientists, and people such as Glen Doty know nothing at all about cold fusion.
(それでも否定される)理由は、殆どのレポーターや科学者やGlen Doty氏のような人々が常温核融合に関して全く何も知らないからです。 
They do not realize it exists.
彼らは常温核融合の存在を理解していません。 
They have not read any papers on the subject.
彼らは常温核融合に関する論文を全く読んでいません。 
So naturally they say “I’m confident that this is a fraud…”
だから彼らは自然に「私はこれは詐欺だと確信する」と言うのです。 
In 1906, three years after Kitty Hawk and one year after the Wrights flew in front a large crowd of leading citizens of Dayton Ohio for 40 minutes, every single newspaper and magazine in the U.S. -- especially Scientific American -- denounced them as frauds, charlatans and lunatics.
1906年、つまり、キティホークでの飛行の3年後であり、ライト兄弟がオハイオ州デイトンの有力者達の前で40分間の飛行を見せた1年後のことです。米国の全ての新聞、雑誌、特にサイエンティフィック・アメリカン誌は、彼らを詐欺師、大法螺吹き、変人だと非難しました。 
Not one of those newspapers bothered to send someone to Dayton to ask the bank president and others if they had really seen a flight.
それらの新聞はどれ一つとして、銀行の頭取達が本当に飛行を見たかどうか尋ねにデイトンに行こうとはしませんでした。 
The editors at Scientific American today are no smarter than their predecessors.
今日のサイエンティフィック・アメリカン誌の編集者も前任者より賢くはありません。 
They told me they have never read a paper on cold fusion “because reading papers is not our job” but they are sure it is fraud and lunacy.
彼らは常温核融合の論文を一つも読んだことがないと私に語りました~「論文を読むのは我々の仕事ではないので」。ところが、彼らは常温核融合が詐欺で異常だとは信じているのです。 
(I uploaded that letter.)
(私はその手紙をアップロードしました。) 
The real question is not why is the mass media is ignoring Rossi, but why have they ignored the rest of cold fusion for 22 years?
本質的な疑問は、マスメディアは何故ロッシ氏を無視するのか? ではなく、マスメディアは何故22年間も常温核融合を無視し続けてきたのか? です。 
My answer: because they are stupid, and incurious.
私の答え: 「彼らが愚かで、好奇心を持たないからです」 
JedRothwell, May 4, 2011
JedRothwell、2011年5月4日
如何でしょうか? 今でこそ飛行機が空を飛ぶのは珍しくもなく、そのため、ライト兄弟の業績はすぐに認められたのだろうと思いがちですが、実際には認知を拡げるまで苦難の道程があったようです。
常温核融合については、既に多くの追試成功の論文が公開されているにも関わらず、20年以上も無視が続いています。一方では、大事故を引き起こすリスクを抱えたまま多くの原発を建設し、処理できる見通しのたたない膨大な核廃棄物を作り続けているのにです。

しかし、ロッシ氏の活躍によって、2012年は否が応でも常温核融合に注目せざるを得ない年になるでしょう。早く多くの人々が常温核融合への正しい理解を深めてくれるよう願っています。

以上